ヤム
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解説
ヤムの人生における目標は、帝国内においてエイリアンが達することのできる最高位にまで登り詰めることであり、実際に彼はかなり良くやっていたと言えた。この若いデヴァロニアンは、コア・ワールドで学ぶことのできる賢者の資格を持った、アウター・リムではごくわずかしかいないエイリアンの1人だったのだ。彼はリナルのダンスーン修道院でビジネス管理と法律学の学位を習得し、人材資源管理者として植民地や企業セクター共同体の巨大企業へと働きに出たのである。
彼は適切なときに適切なことを言い、適切な友人を作る才能に長けていた。エイリアンに対して激しい憎悪を抱いていた人間でさえ、やがて彼には好意的になったのだ。
ヤムの作業能力と人材管理能力は仕事を転々としている間にも非常に役に立った。彼はセスウェナ・セクターの首都で外交任務に就いていた当時のモフ・ターキンに見出され、わずか数ヶ月で彼の新しい研究所の管理責任者のポストを打診される。そのとき、ヤムはこの地位が再び浮上するための絶好の機会であると考えた。彼は定期的に帝国の高官たちと接触し、正当な理由なしにグランド・モフの申し出を拒絶するようなことはしなかった。熟考の末、ヤムはそれが正しい道であるという結論に達していたのである。彼はモー研究所に在籍する期間は2年、長くても3年程度だろうと予測し、その間に帝国内での自分の地位を高め、あわよくばコルサントで働きたいと考えていた。しかし、モー研究所に来たことが大きな過ちだったことに気づいたのはその直後だった。彼は高度なセキュリティを期待していたが、手遅れになるまで研究所全体が完全に隔離された状態で運営されていることに気づかなかったのである。ヤムは長い、極めて忙しい歳月をモー研究所で過ごすはめになったのだった。
デヴァロニアンの一般的特徴でもある新しい環境への本能的欲望は、政治やビジネスの世界との接触や関わりを20年間無駄に怠ってしまったという事実によってますます増大させられた。彼はただ景色を変えるだけのために、長い在任期間の半分で22回も自分の部署のオフィスを移動させている。この絶え間ない移動は皆(特にヤムとその部下のために引っ越しを余儀なくされた者たち)を発狂させたが、彼は全員のオフィスをうまく再割り当てしていたので、不満の声は少なかったのだ。
ヤムは主に人材資源(奴隷についてはウェーミンの管轄なので除く)と、トール・シヴロンの大量のデスクワークから出される文書類の管理を行っていた。また、法律部門と娯楽施設の管理も彼の担当である。モー研究所のスタッフや兵員のためのホロ通信を含む書信や書庫、その他の物も、何度もリサイクルされる前はより一般的な物だったのだ。また、ヤムはサバックのリーグ戦を開催したり、個人ファイルから選りすぐったアマチュア演奏家による小規模な室内オーケストラを開いたり、地方の演劇を上演したりすることで、研究所全体の雰囲気を楽しくしようとし、そこそこの成功を収めていた。ヤムは頻繁にオフィスを移動させることへの謝罪の一環として、シヴロンや他の科学者たちに楽しみを与えつづける責任を負っていたのである。このことは彼にとってモー研究所の全スタッフに対する永遠の借りだった。しかし、その借りを返し終わる前に、ヤムはプロトタイプ・デス・スターに乗り込み、他の科学者たちと共にモー星団のブラックホールの1つに飲み込まれてしまったのである。