ユージーン・トールモント
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ユージーン・トールモントは、モス・アイズリー宇宙港の帝国軍知事である。父の後を継ぎ、彼は絶えず辺境の惑星や都市に割り当てられていたが、それも彼自身の冴えない過去の実績によるものだった。モス・アイズリーへの赴任が決まったとき、彼はこの任務を下等生物や下層民たちを改革して従順にするための好機と見ていた。だが時間的余裕がなく、トールモントは手にした資源をすべて移動のためだけに浪費しはじめたのである。
赴任当初は、トールモントも自分の領地に迷い込んできた反乱軍の逃亡者に目を光らせていたが、彼は次第にモス・アイズリーで正当なビジネスの妨害を行うハット・カルテルとの戦いに没頭することになる。このセクターで最も強大な力を持つジャバ・ザ・ハットとの戦いにおいて、彼には買収や不正ビジネスへの介入を行うことにも良心の呵責はなかった。トールモントは手始めに誠実な銀河帝国市民を雇い、ジャバの組織に潜入させたが、この行動はツアー・アリオン総督の関心を惹きつけることになった。彼女は帝国保安局、帝国情報部、そして調査官たちと接触し、知事の行動の背後にある事実を調査しはじめた。トールモントは災いを回避することはできたが、ヤヴィンの戦いの4年後まで、ジャバの帝国の壊滅に忙殺されることになる。
目次 |
経歴
赴任
ユージーン・トールモントは父と同様に銀河帝国に忠誠を誓っていたが、父の平凡な評価と控えめな経歴によって、絶えず目立たないポストを転々とさせられていた。そのため、彼は父を下級の人間と考えるようになり、父への恨みを膨らませていたのだった。そしてヤヴィンの戦いの直後、彼は砂漠の惑星タトゥイーンの宇宙港都市モス・アイズリーに異動させられ、知事に就任した。だが、彼の前任者オラン・デップが暗殺ドロイドIG-72よって殺害されと聞き、彼はこの任務から抜け出すための一連の計画を発案することになる。まず、彼はタトゥイーンで暮らす野蛮な原住民たちを飼いならす機会として仕事を与えようと考えた。しかしその後、彼は政府上層部に自分を嫌っている人物がいることを疑いはじめたのだった。分民官であるトールモントはストームトルーパー1個師団の指揮権を持っていたが、部隊を動かすには師団長であるハーブリック中尉からの正式な要請を受け取る必要があった。彼はモス・アイズリーの汚い地方オフィスでの勤務を強いられ、部下や市民との面会に明け暮れていたのである。
ハン・ソロの追跡
就任から1年ほどで、トールモントの力はツアー・アリオン総督のそれに匹敵するほどにもなり、彼は既に惑星全体の支配権を掌握していた。だが、彼はそれでもなお栄転を求め、上司たちに好印象を与えるための計画を立案する。帝国のお尋ね者、＜ミレニアム・ファルコン＞のハン・ソロ船長を捕らえようというのだ。トールモントの部下たちは、ジャバ・ザ・ハットが逃亡中のソロの首に賞金を賭けていることを知り、彼が借金返済のためにタトゥイーンに戻ってくるだろうと考えていた。そこでトールモントは3人の賞金稼ぎ、デンガー、アディン、エロン・ストーンフィールドを雇い、彼らをジャバの宮殿の外で待ち伏せさせ、ソロの到着を待ったのだった。トールモントはこの神出鬼没のテロリストを捕らえればより良いポストが約束されると信じており、賞金稼ぎたちにも法外な報酬を約束したのである。
ところが、この本質的にシンプルなはずだった計画は、ハットの誘拐、惑星革命、貿易紛争などと複雑に絡み合う銀河系規模の追跡劇へと発展してしまう。自分のアー＝ダモ（ハッティーズ語で甥の意）がソロの手中にあることを知ったジャバがこの追跡に関心を示し、トールモントと接触してきたのだ。知事にはハットの友人など不要だったが、彼は3人の賞金稼ぎが総じて有能であることを確信していた。しかし、ジャバが介入してきたことで、トールモントの計画にほころびが生じてしまった。賞金稼ぎたちは最終的にハンを捕らえたが、彼らはハンの身柄を帝国軍に変装した反乱軍に引き渡してしまったのだ。その結果、モス・アイズリー中で式典が開かれたが、トールモントは待ち望んだ異動を手にすることができなかったのである。
ハット・カジディクに関する報告
同年、トールモント知事は帝国保安局（ISB）に呼び出され、ハット・カジディク、すなわち彼らの氏族についての調査を命じられた。トールモントはそれに従い、カジディクに関する極めて重大な恐るべき報告書を書き上げた。彼はその中でハット・ミラーと呼ばれる心理学的理論について触れたのである。トールモントの報告書はISBに届けられ、次いでマキシミリアン・シールドン中佐からグランド・ヴァイジア・セイト・ペスタージへと送られたのだった。
ベスティンでの活動
ヤヴィンの戦いの1年後、アリオン総督の秘書、ウィラルム・スクリムがトールモントに流れ者の帝国軍スペーサーを紹介した。ベスティンを訪れていたトールモントは、このスペーサーが喜びそうな仕事をいくつか抱えていたのだ。まず、彼はスペーサーをアカー・プリントの暗殺のために送り込んだ。プリントは帝国官僚ゴーン・ビミンのために働いていた悪党である。ビミンにはトールモントが贈収賄事件に関与していることを示す証拠を捏造した疑いがあり、この事件の裁判に出席するためベスティンへ向かっていたのだ。スペーサーはこの任務を遂行し、トールモントはしばらくの間無事となった。その後、彼はスペーサーにビミンの暗殺も依頼し、自分に害を及ぼす主張を完全に封じたのである。
スペーサーの働き振りに感心したトールモントは、この流れ者をハットたちとの戦争に協力させようと考え、次の暗殺任務に送り出した。今回の標的はハットの子分、スナーラッガだった。そしてスペーサーはまたしても成功し、トールモントはこの小規模な抗争で自分が優位に立ったという確信を抱くことになる。だが、アリオン総督はトールモントの動きに対する疑いを強めており、知事に目を光らせるため帝国保安局の高官を呼び寄せていた。トールモントはボサンのスパイ、ヌウィラ・サリャットがISBの高官に自分の行動について詳細に報告していることを知り激怒する。彼はスペーサーにサリャットの殺害を命じたのだった。
サリャットは消えたがアリオンは諦めず、ISBの能力に見切りを付けて帝国情報部にこの仕事を依頼した。トールモントは情報部の高官と取引できると確信していたが、高官の衛兵クラウア・ジックが問題を起こしてしまう。なんとしてもスペーサーの存在を隠しておきたいトールモントは再び彼を呼び寄せ、ジックの暗殺を依頼した。ジックは即座に抹殺され、トールモントは自由に動けるようになったのである。さらに不満を募らせたアリオンは調査官を呼び寄せ、トールモントの側近たちの尋問を依頼した。知事は錯乱し、ハーボ・リンを抹殺するためにスペーサーを送り出す。ハーボ・リンは知事公邸で働く高官の1人であり、彼が調査官の手にかかればトールモントにとって極めて不利な情報が暴露されてしまうのだ。スペーサーは任務に成功したが、トールモントは動揺のあまり満足することができなかった。
ジャバの排除計画
トールモントは、ジャバ・ザ・ハットとモス・アイズリーにはびこる彼の犯罪事業を排除しなければならないと認識していた。まず手始めに彼は帝国軍スパイを雇い、ジャバの宮殿に潜入させ、この犯罪王が帝国官僚を買収していることを示す情報の入ったデータ・ディスクを盗ませようとした。トールモントは努力を続けたが、度重なる妨害にも関わらず、ジャバはそれらを容易に回避してしまう。さらなる失敗はアンザーティの殺し屋、ダニク・ジェリコを雇ったことだった。ジェリコはトールモントとレディ・ヴァラリアンの両方に雇われており、知事は深い落胆と混乱を味わうことになる。そしてヤヴィンの戦いの4年後、彼はジャバの組織の2人のメンバー、テセックとリー＝イーズに接触した。リー＝イーズはアルコール中毒になったキニエン出身の殺人者であり、故郷で三度の死刑判決を受けていた。だが、トールモントはこのグランにジャバを殺せば死刑の記録を抹消すると請け負ったのである。その後、トールモントは部下を使って爆弾の部品を少しずつリー＝イーズに届けさせた。彼はグランがそれを組み立て、ジャバを殺害してくれることを期待していたのだ。
ジャバの会計士、クオレンのテセックもトールモントと別の取引をしていた。テセックがモス・アイズリーの巨大倉庫にあるスパイスの積荷をジャバに確認させ、そのときトールモントと部下たちが違法行為の現場に踏み込み、ハットを逮捕するという筋書きである。トールモントはジャバを抹殺すればいずれにせよ他の惑星に転属になるだろうと信じていた。そして決行の日の前日、数人の部下を連れてラッキー・デスポットを訪れていたトールモントは、ジャバの取り巻きの1人、エファント・モンに遭遇した。このシェヴィンが2人組の悪党を倒す光景を見たトールモントは、エファントの格闘能力を賞賛する。しかし、彼はテセックの計画について知っているとほのめかし、トールモントを苛立たせたのだった。そしてその翌日、知事にとって幸運なことに、ジャバはレイア・オーガナによってカークーンの大穴で殺害されたのである。
人物と特徴
ユージーン・トールモントは憎悪に満ちた男であり、その激しい敵意は父親と上司に特に強く向けられていた。彼によると、父は常に赴任地やポストについての選択肢を与えられていたが、トールモント自身にはそれが一切なく、いつも辺境に追いやられていたのだ。さらに酷いことに、トールモントは自分が父よりもはるかに怒りに満ちた男だと自認していた。彼は自分にタトゥイーンのポストが与えられたのは偶然ではなく、上司たちが単に彼を苦しめるためにこの閑職を用意したのだと確信していたのである。当初、トールモントはモス・アイズリーで乱暴な市民たちを服従させる機会が得られるかもしれないと考えていた。だが、彼はすぐさまこの都市が事実上何の発展の可能性もない、極めて危険な不毛地帯であることに気づかされたのだった。
トールモントは賄賂を受け取ることにも良心の呵責はなかったが、職権乱用で告発を受けた事実によって周囲から完全に愛想を尽かされていた。また、知事はアリオン総督とも頻繁に衝突しており、普段は彼女を避けようとしていた。だが、彼が汚職事件の関係者の暗殺に関与している疑いが強まると、総督も調査を開始している。トールモントはこれに取り乱し、より多くの暗殺を指示するようになった。やがて多くの者が殺害され、この問題は解決したのである。彼は自分の地位にある者にとって収賄はまったく普通のことであると信じており、モス・アイズリーのあらゆるビジネスからクレジットを受け取ると、その見返りとして見て見ぬ振りを行っていた。彼の目的はモス・アイズリーを平穏に統治することではなく、上司の目を引くような大事件を起こすことにあった。彼はタトゥイーンを嫌っており、異動を切望していたのである。トールモントはそのために実に様々な作戦を練り上げたが、実際にはそのすべてが失敗に終わっている。
痩せ型だがたくましい体つきをしたトールモントは、特に堂々とした印象のない人間であり、近眼でもあった。モス・アイズリーでの最初の年に、彼はカツラを付けていたが、ヤヴィンの戦いの翌年には総督の制服にあわせて将校の帽子を被るようになった。また、彼は歩く際に杖を使っていたが、赴任2年目までには杖なしでも歩けるようになっていた。
