ザム・ウェゼル
(ザム・ウェセルから転送)
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解説
エキゾチックで謎めいたザム・ウェゼルは、素顔を常に布のヴェールと死の欺瞞に満ちた覆いで隠していた。彼女にとって「ザム・ウェゼル」という名は通称の1つに過ぎず、その正体は見た目どおりの若い人間の女性ではなかった。女性の姿は完全な偽装であり、事実、銀河系に僅かしか存在しないクローダイトのウェゼルは変身能力によってどんな姿にも化けることができたのだ。
ザムの極端な利益追求主義は生粋のゾランダーに相応しくない考え方である。彼らの強い宗教的信念はザムのような職業をひどく嫌っていたのだ。だが、自らを進歩主義者と称していたウェゼルは変身能力を暗殺や賞金稼ぎなどの血の商売に役立てることによって大金を稼いでおり、こうした利益を故郷に住むクローダイトの過激派組織に注ぎ込んでいた。
ウェゼルはマーバリと呼ばれるゾランの古代戦士団のなかで腕を磨いた。マーバリの格闘技で第3レベルまでの技を習得した彼女は、その後ビジネスの中心地としてはコルサントに次ぐ大都市であるデノンで商売を学んだ。このような工業惑星でスパイとして働くことは大きな危険を伴うが、ザムは慎重な傭兵であり、すぐに卓越したボディガードとして台頭したのだった。これ以前にも、彼女はより高額な報酬を求めて暗殺や賞金稼ぎの仕事を請け負っていたこともあった。
クローダイトの持つ変身能力は銀河系でも珍しい存在だが、ウェゼルのライバルたちは彼女の種族をよく研究していたため、その弱点をうまく利用することもできた。ウェゼルは共和国の文化にも精通していたことから、プロテアンやポリドロクソルではないと推測されており、巧みな変身能力からステネス・シフターである可能性も指摘されている。同様に、彼女をシードーだと考えていた者も多かったが、ウェゼルはそれらについて一切反論をしていなかった。しかし、他の大抵の種族に変身することができたウェゼルでも、個人の特徴まで真似る能力には限界があった。
旧共和国の時代、ザムは賞金稼ぎや殺し屋として悪名を馳せた。彼女は依頼主と取引きする際には魅力的な人間の女性「ザム・ウェゼル」として接触し、これは彼女が名声を得たり、人間の男から冷静さを奪うことに役立っていた。逆に追跡の際には、長距離型狙撃ライフルや改良型プローブ・ドロイドを用いて遠くから獲物を仕留めることを好んでいた。彼女の伝説的とも言える捕獲率は正確無比な狙撃術と衰えることのない任務への執着心を証明していたのだ。
ウェゼルは旧共和国で最も偉大な賞金稼ぎと言われたジャンゴ・フェットとよく共闘関係を結んでいた。ウーヴォIVで出会った彼らはある小惑星に造られた刑務所に侵入し、ベンディクス・ファストと名乗る密輸業者を解放したことがあった。その後、2人はバンド・ゴラの首領に賭けられた懸賞金を追い求め、またあるときはテロリストの手に恐ろしい武器が渡った際に惑星規模の禍を阻止したこともあった。フェットは彼女の変身能力が有用であることに気付き、より大きな仕事で自分の片腕として使うために彼女を側に置いていたのだ。その一方で、ザムはオーラ・シングやヴァナ・サージなどの他の賞金稼ぎとも行動を共にしたことがあった。
ドゥークー伯爵による分離主義運動によって銀河系が不穏な情勢に包まれていたとき、ザムはジャンゴからナブーのパドメ・アミダラ元老院議員の暗殺の仕事を請け負った。彼女にとっては依頼主が誰であるかなどは無意味であり、重要なのはクレジットだけである。この任務に成功すれば彼女の名声はますます上がり、この世界の第一人者としてデノンに凱旋することができるのだ。
まず彼女はアミダラがナブーのロイヤル・クルーザーでコルサントに到着した直後を狙い、着陸した船を爆破する。だが、議員は護衛の戦闘機に乗っていたため、計画は失敗に終わった。次にザムはアミダラの宿泊するアパートに1体のプローブ・ドロイドを送り込み、フェットから預かった数匹のクーハンを解き放った。だが、クーハンは獲物に到達する前に、護衛を行っていたジェダイのアナキン・スカイウォーカーに発見されてしまった。一方で、オビ=ワン・ケノービは窓から飛び出し、空中にいたザムのドロイドに掴まった。ウェゼルはドロイドを爆破してオビ=ワンを落下させようとしたが、彼はアナキンのスピーダーに助けられ、2人でザムの追跡を開始したのだった。
アナキンとの空中戦の末、彼女はコルサントの繁華街に墜落した。ウェゼルはさらに下の階層に逃げ込み、追跡者をかわそうと試みた。そして彼女はナイトクラブでオビ=ワンに奇襲を仕掛けたが、ジェダイはライトセイバーで彼女の右腕を切断した。2人のジェダイは尋問のためザムを連れ出し、アミダラ暗殺の首謀者を追及した。しかし、彼女が雇い主であるジャンゴの名を口にしようとしたそのとき、フェットはカミーノ・セイバーダートでザムの口封じを行った。首に刺さったダートの毒素は彼女のアモルファスの肉体に行き渡り、ザムは一切痛みを感じることなく絶命したのである。これはジャンゴが長年の友人に対して見せた最後の情けだったのだ。