エグゾゴース
(宇宙ナメクジから転送)
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俗にスペース・スラッグと呼ばれるエグゾゴースは、歯の生えた巨大な腹足類である。彼らはシリコン質の生命体であり、真空の宇宙空間でも小惑星の空洞やクレーターを棲家として生存することができる。エグゾゴースは小惑星の鉱物や様々な星間エネルギー・フィールド、さらにはマイノック(もう1種のシリコン質生命体)を摂取しているのだ。平均的な成体はおよそ10メートルほどにまで成長するが、なかには大型艦船に匹敵する大きさにまで成長する個体も存在し、それらの体重は百万キロを超えることもある。
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生態
スペース・スラッグは分裂による無性繁殖を行う。成体のスラッグは一定の大きさに達すると化学反応を引き金にして2匹の異なる個体へと分裂するのだ。遺伝子的特長なのか、親の記憶を受け継いでいるのかは不明だが、新しい2匹のスラッグは即座に自立する。また、スペース・スラッグは成長に伴って脱皮も行う。
スペース・スラッグは小惑星を押しのけ、宇宙空間を浮遊して別の小惑星に着地することで小惑星帯の中を移動する。また、彼らは宇宙空間を移動する際に太陽風も利用している。彼らは高度に発達した空間認識力を使って、速度、軌道、周囲で動く危険な天体との距離を正確に計算しており、この能力は獲物を狩る際にも役立っている。彼らは小惑星に体を巻きつけるようにして洞窟内に定着し、小惑星から直接栄養を摂取する。また、スペース・スラッグは1つの小惑星で生涯を全うすることがないため、自分たちの体に大きな外傷を受けることなく、棲家を離れることができると考えられている。
ときおり自然発生する化学反応によって、スペース・スラッグは周囲に存在するすべてのものを破壊することがあり、この奇妙な現象は1キロメートル四方にまでおよぶことが知られている。この巨大なスラッグは自分の棲家に接近しすぎた大型艦船に激しく噛み付く習性があり、小さな船になると丸ごと飲み込んでしまうのだ。その威力はスター・デストロイヤーの装甲さえも貫くほどである。またその大きさから、スラッグに食べられたマイノックは食料というよりもむしろ内部で寄生虫となることが多く、通常スラッグの洞窟のような食道内には大量のマイノックが生息している。なかには消化器系内部で他の生物を交えた生態系が形成されていることさえある。
一方で、スペース・スラッグの天敵としてはコロッサス・ワスプが知られている。
エグゾゴースの亜種
スペース・スラッグには、ジャンアント・スラッグ、クリムゾン・スラッグ、キュラリン・スラッグなど、無数の亜種が存在する。ジャイアント・スペース・スラッグは平均的なスペース・スラッグよりも大きいが、この生物が一般的なスペース・スラッグから独立した別種なのか、あるいは単に通常の報告にあるものよりも大きい個体であるだけなのかは分かっていない。
クリムゾン・スラッグは、タパニ・セクターの小惑星帯に生息しているスペース・スラッグの亜種である。彼らは体の片側に付いている赤い筋によって区別することができる。
キュラリン・スペース・スラッグは、キュラリン星系で見られるエグゾゴースの亜種であり、比較的調教しやすいことで知られている。一説によると、彼らは家畜化されていたスペース・スラッグの末裔なのだという。一方で、これらのエグゾゴースはキュラリン星系の小惑星帯(オブリス)に住んでいた原住民たちの成れの果てであり、小惑星帯が滅びた後も生き延びた個体群が真空環境に適応したのだという説もある。また、この生物は衛星エスカロンの内部に生息するスペース・ワームの近縁種、あるいは同種である可能性もある。
歴史
シス大戦以前に、アダスカ王室は、アーカニアのアダスカ・バイオメカニカル社(通称、アダスコープ社)の科学者たちからエグゾゴースとして知られていたスペース・スラッグを制御する方法を発見した。ゴーマン・ヴァンドレイクの調査に基づき、アダスコープ社はこの生物の食欲、成長率、分裂による繁殖の過程を制御することができたのである。そして、アーコー・アダスカはスラッグの一群にこの制御機構とハイパードライブ・エンジンを移植し、超兵器として共和国、マンダロリアン、あるいはレヴァンチスト党のいずれかに売却しようと考えた。アダスコープ社によって改造されたエグゾゴースは、ハイパースペースを経て特定の星系へ行くことができた。さらにその成長率と分裂による増殖率をもってすれば、宇宙ステーション、小惑星、衛星、そしておそらくは惑星をも破壊してしまうことが可能である。そして最初のエグゾゴースが分裂して別の星系へ行くことで、短期間で何百もの惑星を荒廃させ、破壊することが可能となるのだ。この新兵器の使用に関心を持ち、入札しようとする勢力は皆無だったが、どの勢力もこの兵器を他勢力の手に渡してはいけないと考えていた。だが、アダスコープ社から脱走したヴァンドレイクがエグゾゴースを使って<アーカニアン・レジェンド>の艦橋にいたアダスカを殺害し、この生物をワイルド・スペースに解き放ったのである。
そして数千年後、悪名高きムガーリの海賊クラバーン・ジ・エルダーが秘密の密輸基地を守るため、ホス小惑星帯にスペース・スラッグを植えつけた。ある記録によると、この小惑星帯には全長900メートルにまで成長したスラッグが生きていたという。この個体は、スペース・スラッグを捕獲することで生計を立てていたクリッシュのギャンガロンによって発見され、公式に記録されたものである。
そのスラッグは、ホスの戦い後、帝国軍から逃走中だったハン・ソロが意図せずして<ミレニアム・ファルコン>を隠してしまったスペース・スラッグと同一の個体だと考えられてる。エグゾゴースは小惑星の奥深くに自分たちを隔離し、独自の熱源を持っているため、レイア・オーガナ、ハン・ソロ、チューバッカは酸素を供給する呼吸マスクだけでスペース・スラッグの体内に出ることができた。ソロは何年も前に巨大スラッグの話を聞いたことがあり、その危険性についても警告を受けていたが、単なる迷信として無視していた。しかし、実際にそのスラッグに出くわしたことで、彼は考えを改めたのだった。
宇宙空間に作られた一部の施設では、厄介なマイノックの数を減らすために近くでスペース・スラッグを飼育していることが多い。こうした特別な用途に用いられるスラッグは、繁殖や異常な大きさへの成長を阻害させるために体内に定期的にカトリウムが注入されている。また、スペース・スラッグはそれ自体の商品的価値も非常に高い。結晶質の内臓は数多くの電子装置に用いられ、強靭な皮膚は上塗りやきめ細かい研磨材として使用されている。他にも人間の女性たちが美しい装飾品の原料として使っている部分もある。これらの結果、スペース・スラッグは小惑星採掘者などによって乱獲されており、マイノックによる被害を減らすため法律によって保護している星系もあるほどである。