重強襲型自走式戦車A6ジャガーノート
(HAVw A6ジャガーノートから転送)
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クローン・ターボ・タンクとも呼ばれる重強襲型自走式戦車(HAVw)A6ジャガーノートは、A5ジャガーノート重強襲戦車の上位機種である。
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特徴
クローン大戦中に導入された最も巨大な共和国の軍事車両の1つであるターボ・タンクは、10個の車輪と数々の兵器を搭載した装甲戦車である。無骨なデザインの上、一見したところシンプルな技術しか利用されていないように思えるターボ・タンクだが、この戦車にはクローン・トルーパーたちが好む、阻止できない荒々しい戦術が凝縮されていた。ターボ・タンクはリパブリック・アタック・クルーザーによって運用され、行く手にあるすべての障害物を粉砕しながら敵対勢力へと突き進む。そして、多彩なレーザー・タレットとミサイル・ポートで、あらゆる方向に攻撃を行うことができたのだ。
AT-TEの大型版として開発されたHAVw A6は、実際にAT-TEから多くのテクノロジーを流用して作られており、その扱いにくさや、かさばった外観から、親しみをこめてローリング・スラッブ(転がる厚板)というニックネームを付けられていた。また、ジャガーノートの重装甲プレートは、AT-TEを覆っているプレートとほぼ同一のものであり、安全司令キャビンもAT-TEのコクピットとよく似た設計がなされていた。しかし、決定的な違いは、ジャガーノートがウォーカーとしての外見を留めておらず、耐衝撃システムとサーボ機構に接続された10個の耐久性のある車輪を採用していたということである。
10個の車輪による推進システムは一見原始的に見えるが、そこには利点も存在した。地面と直接接していることで、ジャガーノートは電磁的な攻撃やシールドによる放電から車体を守ることができたのだ。また、各車輪は3つの独立した回転セグメントに分けられており、これによって荒れ果てたほぼすべての地形上を進むことができた。さらに、巨大なバンプ・フレクサーによって、ターボタンクは起伏のある地面でも長時間停止することが可能だが、牽引装置や独立した駆動装置を持っていないため、不安定で変化の激しい地形を克服するだけの速度がない場合は立ち往生してしまうこともあった。
ジャガーノートは平らな地形であれば最高で時速160キロメートルの速度にまで到達することが可能であり、また、意外なほどに小回りが利く一方で、旋回速度は時速25キロメートルほどでしかなかった。そのため、このタンクは前部と後部に2つのコクピットを搭載し、それぞれに搭乗した乗員が個別に操縦することによって、ターンすることなく同じ速度で前進と後退を行うことができるようになっていた。しかし、ジャガーノートの最大の欠点は、その難解な制御システムにあった。両方のコクピットから操縦システムを制御することができるため、車輪が矛盾した位置でロックされないよう片方のパイロットたちが調整する必要があったのだ。第1世代のジャガーノートは砲手を除いて12人の乗員を必要としたが、後の機種にはオートメーション機構が採用され、必要な人員はそれぞれのコクピットについて2人ずつにまで減らされていた。
AT-TEや後のAT-ATと同様に、ジャガーノートの主要な目的は兵員を輸送することであり、空洞の多い内部には乗客室の状況や目的に応じていたるところに50から300人のクローン・トルーパーを収容することができた。また、帝国軍の上陸艇と同様に、スピーダー・バイクやアサルト・スピーダー、あるいは他の小型リパルサーリフト艇を輸送できるように再構築することも可能だった。
歴史
秘密の子会社ロザナ・ヘヴィ・エンジニアリング社ではなく、クワット・ドライブ・ヤード社自身によって開発されたターボ・タンクは、分散する各惑星に効率よく軍事資源を分配したいと考えた共和国による実験的運用の一環だった。クローン大戦が銀河系に急速に広まると、銀河元老院は各惑星が共和国による完全な援助と財政支援のもと、独自の防衛軍を設立することを認める決議を採択し、KDY社も政府による監視がほとんど無い状態で車両開発を行うことができるようになったのだ。KDY社はそれらの兵器を同盟惑星の政府へ分配するために独自の販売網を利用した。こうして、共和国は辺境の惑星にも十分な武装を行わせることができ、独立星系連合からの防衛を可能にしたのである。しかし、長い流通網には多くの穴があることも事実であり、敵対勢力や犯罪組織の手に渡ったターボ・タンクも確実に存在していた。
共和国の晩年になると、ジャガーノートは実戦で使用されている地上用兵器としては最も強力なものの1つとなっていた。ジャガーノートは強靭な装甲以外にも回転式を含む合計6基のレーザー・キャノンを装備しており、これらはより高性能なAT-ATのレーザー・キャノンの3分の2におよぶ射程距離を有していた。また、タレットに据え付けられたヘヴィ・レーザー・キャノンは航空兵器による攻撃から身を守るために使用され、2門のロケットおよびグレネード発射管は、兵員を降ろしているときの支援爆撃に使用された。そして、ジャガーノートの背部からは伸縮式の高いセンサー・マストが突き出ており、そこには監視員とセンサー技師が1名ずつ乗り込んでいた。このマストは360度の視界を確保しており、ここから戦場における重要なデータをタンクの指揮官や砲手に提供することができた。しかし、不幸にしてこのマストは目に付きやすいため、敵軍にとっては格好の標的となっていたのである。
ジャガーノートは数年間にわたって広く使用されていたが、やがてクローン大戦が終結すると、帝国地上軍の武装戦隊でも、より汎用的でスマートな形状をした地上用強襲車両が使用されるようになった。帝国軍はジャガーノートの駆動システムを原始的であると考えており、その最大の理由として、密集した地形を横断できないということを挙げていた。銀河内乱の時代になると、ジャガーノートの設計思想は再び歩行システムを採用したAT-ATウォーカーへと引き継がれていったのである。こうして軍隊でジャガーノートを敬遠する動きが加速していくと、業者も交換用部品の供給を停止させるようになった。ジャガーノートは段階的に姿を消していき、主な活躍の場はアウター・リムの戦場へと移っていったのである。後にユージャン・ヴォングによる既知銀河系への侵略が開始されてからも、ごく僅かなジャガーノートが使用され続けてたが、当然、これらは熟練した整備士による定期的な点検が欠かせない状態にあった。