TIEファントム
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TIEファントムは、銀河内乱の最中に銀河帝国によって開発されたTIEシリーズ・スターファイターである。V38アサルト・ファイターの改良型であるTIEファントムは、マーティオ・バッチ大提督による開発計画の成果であり、偏向シールドとハイパードライブ、そしてこれまでの数十年に見られなかったテクノロジー、スタイジアム・クローキング装置を装備していたのだった。
開発工程はヤヴィンの戦いにおける反乱同盟軍の勝利に触発される形で開始された。初期にはいくつかのトラブルもあったが、バッチはクローキング装置に必要となるスタイジアム・クリスタルの安定供給の確保に成功し、この戦闘機はインダー・アルファでの生産工程に入ったのだった。そしてテスト工程もホスの戦い後に完了し、ダース・ヴェイダーはこの新型戦闘機を同盟軍艦隊の殲滅に利用しようとした。しかし度重なる遭遇によって、この新しい脅威は反乱軍に知れ渡ってしまう。危険を感じた同盟軍は研究用にこの戦闘機を確保するため、2人のパイロット、ルーキー・ワンとルー・マーリーンを派遣したのだった。
2人のパイロットは同盟軍に対してTIEファントムの出撃準備を行っていたエグゼキューター級スター・ドレッドノート<テラー>へ侵入し、この戦闘機を1機奪って脱出することに成功する。さらに彼らは奪ったTIEファントムを使って、<テラー>とこの戦闘機が生産されていた工場を破壊したのだった。しかし、同盟軍はTIEファントムについて調査することができなかった。反乱軍が解析を行う前にTIEファントムに内蔵された自爆装置が移動し、そのテクノロジーは失われてしまったのである。
特徴
TIEファントムの火力は同クラスの宇宙戦闘機をわずかに上回る程度だが、このステルス戦闘機は攻撃準備ができるまで、レーダーからも敵機のパイロットからも完全に姿を消すことができる。またこの戦闘機の最大の長所は、パイロットがいつでも自由にレーザー・キャノンを発射できるメカニズムが組み込まれていたことである。クローキング装置が一斉射撃の際に自動的に停止し、終了後再び作動するようになっていたのだ。これによってTIEファントムは事実上、航行中の99パーセントの時間を不可視の状態でいることができたのである。
しかし、これらが敵の手に渡った場合のことを考慮すると、TIEファントムは帝国にとっての潜在的脅威でもあった。このような状況を防ぐため、各戦闘機には遠隔操作で作動する自爆装置が組み込まれていたのである。仮にTIEファントムを盗むことができても、そのテクノロジーの詳細は誰にも複製できないのだ。
歴史
TIEファントムはマーティオ・バッチ大提督が生み出した創造の産物である。バッチはシス・インフィルトレーターで成功を収めたスタイジアム・クローキング装置の再開発を待ちつつ、スーパーレーザー・プラットフォーム<ターキン>に惑星エイテンIIへ向かうよう命じた。この惑星は貴重なスタイジアム・クリスタルの産出地としてのみ知られていたが、鉱山が既に枯渇していたのだった。そこでバッチは<ターキン>によってこの惑星を粉砕し、新しいプロジェクトで使用する大量のクリスタルを採集したのである。
V-38アサルト・ファイターと呼ばれるTIEファントムのプロトタイプは、ドレイトン星雲の近郊でテストされた。そして予備テストが終了すると、ダース・ヴェイダーがこのプロジェクトの主導権を握るようになり、即座に大量生産を命じたのだった。やがて、シグマ中隊と名づけられた最初の製品群が完成する。TIEファントムが初めて実戦投入されたのは、反乱同盟軍がBウィング・スターファイターを実戦投入した直後であり、最初の戦いで早くも3機のXウィングを撃墜したのだった。このとき、YT-1300軽貨物艇<コレリア・スター>がTIEファントムの脅威を目の当たりにしたが、この貴重な情報を同盟軍艦隊へ持ち帰る途中に帝国軍によって拿捕されてしまう。その後、2機のBウィングが調査のために送り込まれたが、生存者はルーキー・ワンのコールサインを持つパイロットただ一人だった。彼は<コレリア・スター>を奪回し、帝国軍の手から逃れることができたのである。
また、帝国軍の採鉱施設が破壊されたときにも再びTIEファントムが使用された。このときTIEファントムは3機のXウィングのうちの2機を撃破したが、またしてもルーキー・ワンに逃げられてしまう。この戦いで彼のXウィングの航行記録装置にはTIEファントムの能力が記されており、アクバー提督にTIEファントムの製造施設となっていたサーン提督指揮下のエグゼキューター級スター・ドレッドノート<テラー>の破壊作戦を促すことになる。その後、2人の反乱軍パイロット、ルーキー・ワンとルー・マーリーンが指揮する反乱同盟軍の奇襲部隊によって、インダー・アルファの製造工場が破壊された。さらに彼らはTIEファントムを盗み出すことに成功し、サーン提督の<テラー>を破壊したのである。
こうしてTIEファントムは同盟軍艦隊にもたらされたが、これも設計者たちにとっては既に予想されていた事態に過ぎなかった。これら戦闘機にはすべて銀河帝国のコードでのみ解除可能な自爆装置が組み込まれていたのである。反乱軍が手に入れた機体もこの装置によって破壊されてしまい、クローキング・テクノロジーの複製は失敗に終わったのだった。TIEファントムの実機がすべて失われたことで、そのテクノロジーも永久に失われたかのように思われた。しかし、ファントム・ファイターのブルー・プリントはコルサントに残されており、パルパティーン皇帝の側近たちはいつでもそれを利用することができたのだ。事実、このテクノロジーは後にスローン大提督によって発掘され、新共和国への反抗作戦の際に効果的に使われることになる。
一方、TIEファントム計画が失敗した後、バッチ大提督は責任の追求を恐れてアウター・リムへと逃亡した。その後、彼は逃亡先で副官によって処刑されている。