マンダロリアン・アーマー
(ベスカーギャムから転送)
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マンダロリアンの好戦的な文化は、その長い歴史の中で多種におよぶ装甲服の開発を促してきた。これらは総じてマンダロリアン・アーマー、またはマンドア語でベスカーギャムと呼ばれている。
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歴史
マンダロリアン・アーマーのデザインは、タウングが惑星マンダロアに最初に入植してから7,000年後に大きな変化を遂げた。
当初、広く認識されていたバージョンはクルセイダー・アーマーであり、これはシス大戦の間にマンダロア・ジ・インドミタブル率いるマンダロリアン・クルセイダーが使用していた識別用の装甲服である。クルセイダー・アーマーは格闘戦の際に着用者を守ることを最優先にデザインされており、個々の兵士で異なる棘の付いた有機的な形態をしていた。格闘戦はマンダロリアンにとって最も名誉ある戦闘形式だと考えられていたのである。
マンダロア・ジ・アルティメットがマンダロアに就任していたとき、ネオ=クルセイダー運動に身を投じた多種多様な種族間の結束力を強化するため、キャサス・フェットによってマンダロリアン大戦で使用するネオ=クルセイダー・アーマーが開発された。タリスへの侵略が始まるまでに、ネオ=クルセイダーの信念はマンダロリアンの氏族に広く浸透し、より個人的なものだった従来の装甲服の大半がネオ=クルセイダー・アーマーへと取って代わられたのだった。ネオ=クルセイダー・アーマーには3種類の色があり、それぞれが使用者の階級に対応していた。金色は陸軍司令官、真紅色はラリー・マスター、青色がその他である。さらに戦後には、ネオ=クルセイダー・ショック・トルーパーなどの特殊部隊のための新しい装甲服も開発されている。
そしておよそ1,000年後、旧デザインに代わるマンダロリアン・スーパーコマンドー・アーマーが開発された。これは後にマンダロリアン・ショック・トルーパー・アーマーと呼ばれるようになる。この装甲服はフル・ボディ・アーマーではなく、四肢がほぼ無防備な状態だったが、胸部、頭部、急所などの重要な箇所が重点的に強化されていた。この新型装甲服はマンダロリアン鉄またはデュラプラスト製の耐ブラスト・プレートを連結し、それらを防水性の強化フライトスーツに取り付けたものである。さらに、超小型エネルギー・フィールド・プロジェクターを内蔵したリニア・シャツと2層式のセラミック・プレートによって、胸部、背中、腹部の周辺が強固に守られていた。また、この複数の層で慎重に分けられたアーマー・プレートによって機動性も確保され、ジェットパックの取り付けも可能だった。それ以来、マンダロリアンは装甲服の外部に取り付ける武器に大きな価値を認めるようになり、シンプルなダート・シューター、グラップリング・ワイヤ、肘に取る付けられたロケット・ランチャー、火炎放射器などを追加することで、マンダロリアン・スーパーコマンドーの戦闘能力を大きく向上させたのである。
伝統的なマンダロリアンのデザインはクローン・トルーパーの装甲服にも流用され、標準的なクローン・トルーパー・アーマーやカターン級コマンドー・アーマーから帝国軍のストームトルーパーや皇帝のロイヤル・ガードの装甲服へと進化を遂げている。また、ARCトルーパーや少数の指揮官は腰の部分にカーマ(長いスカートのようなベルト・スパッツ)を着用していたが、これらは旧式のマンダロリアン・アーマーの一部で使われていたものであり、武器を隠すためのポケットが付いていることが多かった。ゴラン・ビヴァイン、ファイ・スキラータ、イサベット・ルーなどのマンダロリアンもカーマを着用していたことが知られている。
銀河内乱の間、デス・ウォッチはブラック・サンと共謀し、エンドアのバンカーでクルセイダー・マークIII・アーマーを製造した。これはエイラム製のマンダロリアン・アーマーの一種であり、帝国と反乱同盟軍に販売するための2つのバージョンが作られている。
第2次銀河内乱までに、マンダロリアン・アーマーは更なる進化を遂げた。ホンドー・カーやテス・ヴェヴェックなどが使用していた装甲服はさらに分割が進み、保護範囲と機動性が最大限に高められている。
デザイン
マンダロリアンの歴史を通じて、マンダロリアン・アーマーのデザインには以下の3つの大きな特徴が残されている。
- 着用者はあらゆるブラスター砲火の大部分から身を守ることができる。装甲服の素材はマンダロリアン鉄であり、これはブラスター砲火を偏向し、ライトセイバーへの耐性も有している。
- ヘルメットの多くにT字型のバイザーと高性能ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)が取り付けられている。
- マンダロリアンの戦士たちは各自の装甲服に、個人の記録、氏族の由来、あるいは単なる個人的なパフォーマンスを反映した装飾を施している。また、彼らは階級や氏族、そしておそらくは現在の地形に応じた色で装甲服を塗装することも多い。さらに彼らは自分の装甲服を、現在取り組んでいる具体的な目標を表す伝統的な色で塗装することも知られている。だが、これらの色が常に特定の意味を持っているわけではない。単なる好みで選ばれることもあれば、生死を問わず親族を称えるために彼らの装甲服の一部を身に着けるマンダロリアンたちもいる。クローン大戦中には何らかの意味を持つ色として以下が知られていた。
- 灰色=死んだ恋人への哀悼
- 赤色=父への敬意
- 黒色=正義
- 金色=復讐
- 緑色=任務
- 青色=信頼
- 橙色=生への執念
マンダロリアン・アーマーは伝統的に破壊することがほぼ不可能なマンダロリアン鉄(ベスカー)から作られているが、これは非常に希少かつ高価な素材であるため、ジャンゴ・フェットやボバ・フェットを含む多くのマンダロリアンたちは、その代わりにやや耐久性の劣るデュラスチールやデュラプラストを使用していた。さらに銀河帝国がマンダロアの地表から大量のベスカーを採掘してしまったため、しばらくの間は入手がほぼ不可能な状態だった。しかし、ユージャン・ヴォングの砲撃によってマンダロアに生成されたクレーターから、後にいくつかの新しいベスカー鉱床が発見されている。
マンドア語でのマンダロリアン・アーマーの名称、「ベスカーギャム」の意味は「鉄の皮膚」(通常の皮膚を持たない種族のマンダロリアン・メンバーに対しては「鉄の甲殻」)である。マンダロリアン鉄はクローン大戦の直前まで、数千年にわたってアーマー・デザインの極めて重要な部分を担っていた。また、マンダロリアン鉄から装甲服を作る際の製法はマンダロリアンの氏族の間で長年秘密にされていた。一部のマンダロリアンは装甲服の外側にマントを羽織っていた。
ヘルメットは装甲服が持つ能力の大半の制御を担っており、多くは一般的なアップグレード装備としてレンジファインダーが取り付けられている。このレンジファインダーは同時に30人以上の標的を追跡することが可能であり、一方で着用者はヘルメットに内蔵された戦闘コンピューターを通じて音声で装甲服の武器、センサー、ジェットパックを制御することができる。黒いマクロバイノキュラー・ビュープレートは赤外線モードを含めた様々な視覚モードを備えている。松かさ状のアイ・センサーにはオーバーレイ・ディスプレイが内蔵されており、360度の追跡情報が表示される。また、ヘルメットには動体センサー、暗号式内蔵コムリンク、広帯域アンテナが備わっており、これらすべてが着用者の武器や宇宙船に接続可能である。さらに、ヘルメットは環境フィルター・システムとしても働き、タンク内にはマンダロリアン戦士の呼吸に必要な2時間分の空気が蓄えられている。
銀河内乱の時代には特に有名なマンダロリアン・アーマーがいくつか存在している。最も有名なものは賞金稼ぎボバ・フェットとジョドー・カストの装甲服だが、これらは伝統的なマンダロリアン・アーマーとは異なり、デュラスチールで作られていた。また、モントロスもマンダロリアンから追放され、賞金稼ぎとなったが、それ以降もマンダロリアン・アーマーを使用し続けていた。クローン大戦におけるジャンゴ・フェットの死はこの装甲服の設計上の弱点を露呈させたが、ヤヴィンの戦いのおよそ40年後には素早い首への攻撃を防ぐための首あてやカラー・ピースが取り付けられたのだった。