ドゥークー
(ティラナスから転送)
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解説
およそ80年間にわたってフォースの道を研究し続けたドゥークー伯爵は、1,000世代にもおよぶジェダイ・オーダーの歴史にあって有数の実力者の1人とされている。しかし、彼の究極的な忠誠はジェダイ・オーダーの構造化された規範ではなく、むしろ彼自身の直感と理想に向けられていた。彼の強い独立心は多くの人々に影響を及ぼし、良き指導者であったヨーダでさえ、彼を御するのに苦悩したほどである。彼のかつての師であるヨーダはジェダイ評議会の最も高い地位に就いていたが、ドゥークーの決然とした思想は評議会の考えとしばしば対立を起こしていたのだ。そしてこの反抗的姿勢は彼の弟子であり、師と同じくたびたび評議会を無視していたもう1人のジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンにも引き継がれ、幾度となく論争を繰り返すことになる。
ドゥークーは13歳のときにジェダイ・マスター、テイム・セルリアンの弟子に選ばれた。この結果、彼は幼い頃からの友人でもあった仲間のジェダイ訓練生ロリアン・ノッドとの間に亀裂を生じさせてしまう。ノッドはドゥークーと同じく頑固で反抗的な少年であり、腹いせにドゥークーがシス・ホロクロンを盗んだとして非難を浴びせるのだった。これを発端として2人は長年にわたるライバル争いを繰り広げるようになり、最終的にノッドがジェダイ聖堂を追放されるという結果を迎えたのである。
こうした頑固さに反して、ジェダイ公文書館のデータはドゥークーを恐るべきジェダイとして記録している。彼は銀河系に散在する無数の惑星で幾多の紛争を解決しており、古式に則ったライトセイバー戦においても強力無比の存在だった。だが、政治的理想主義者であるドゥークーは、ジェダイ・オーダーが銀河共和国と同様に腐敗した制度に従うことによって自らを弱体化させていると考えるようになる。そして良き理解者だったクワイ=ガンがナブーの戦いでシス卿に殺害されると、すべてに失望した彼は自らの意思でオーダーを去ったのだった。
ドゥークーが自らの務めを放棄したことは、ジェダイ・オーダーにとっても大きな痛手だった。オーダーを離れた後、彼は数年にわたって姿を消していたが、やがて銀河系に反乱の炎を巻き起こす政治的たいまつとなって、ラクサス・プライムに姿を現している。彼はそこで元老院とジェダイ・オーダーが共和国によるモラルと理想の明白な侵食を傍観しているとして痛烈に批判した。さらに彼は驚くほどの短期間で共和国分裂の危惧を増大させる分離主義運動を展開し、自らの行動によって数千の星系を集結させたのである。故郷セレノーの伯爵として既得権を得ていたドゥークーは信じられないほどの富を有しており、彼はそれを分離主義指導者としての政治資金に流用していたのだ。その後もドゥークーは銀河系各地を移動しながらあらゆるセクターで理想を唱え続け、分離主義運動の波を広げていったのである。
ドゥークーの名において行動する日和見主義者たちは日増しに増大し、ついには武力による小規模な反抗さえも行われるようになっていった。もはやこうした混乱の時代に秩序を保てる存在はジェダイ・オーダー以外に残されていなかったが、ジェダイ評議会にはかつての同胞であるドゥークーがこの抗争の黒幕であるという事実を受け入れることができなかった。彼らはドゥークーが自らの訓練の一環としてこのような行動に出たのだと信じていたのである。
しかし、ジェダイたちはドゥークーの重大な秘密に気づいていなかった。その優雅なカリスマや理路整然とした政治的主張とは裏腹に、ドゥークーはダークサイドの力によって腐敗させられていたのである。彼がシス・ホロクロンに隠された教義を研究しているという噂は以前から囁かれていたが、ジェダイ・オーダーから袂を分かった後、彼は実際にシスの暗黒卿ダース・シディアスと接触し、誘惑されていたのだった。シスの伝統に従ってダース・ティラナスを襲名したドゥークーは新たなシスの暗黒卿となり、既に手にしていた数多くの武器に虚偽と背信を加えていたのである。
表と裏の舞台において、ドゥークーは共和国に死をもたらすべく同盟者を募っていた。ダース・ティラナスとしての彼は、カミーノで秘密裏に製造されるクローン軍の素材として悪名高き賞金稼ぎジャンゴ・フェットを雇う。そしてドゥークーとしての彼は共和国に挑むための軍事力を強化すべく、銀河系で最も有力な企業家たちの貪欲さに共和国からの脱退を訴えていたのだ。
やがてジオノーシスの巨大な尖塔の奥深くで、ドゥークーは独立星系連合を正式に発足させるための会合を開き、議長を務めた。コマース・ギルド、通商連合、企業同盟、インターギャラクティック銀行グループ、テクノ・ユニオンなどの大企業の代表者たち、そして彼の主張に同意する分離主義の元老院議員たちは、銀河系で最大規模の軍隊を形成するために互いの資源を共同で出資することに同意する。分離主義者たちは既に戦争の準備を整えていたのだ。
この恐るべき事実を知ったオビ=ワン・ケノービは直ちに評議会に事実を報告するが、ジオノーシアンに発見され、分離主義勢力の捕虜となってしまう。その後、彼を救出するために急遽ジオノーシスへ到着したアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラも合流し、盛大な処刑が開始されるのだった。ドゥークーは捕らわれの身となった3人を処刑闘技場へと連行するが、彼らの処刑は絶好のタイミングで救助に駆けつけたジェダイたちによって阻止されることになる。
分離主義勢力のドロイド軍がジェダイと激突し、続いて新たに作られた共和国のクローン軍も戦いに参加した。圧倒的な共和国グランド・アーミーの戦力の前に分離主義勢力は総崩れとなり、ドゥークーはジオノーシスから逃れようとするが、アナキンとオビ=ワンによって行く手を阻まれる。2人のジェダイは彼にライトセイバーでの戦いを挑むが、熟練した旧式のスタイルでライトセイバーを繰り出すドゥークーの前に、苦戦を強いられるのだった。そして若い2人が傷を負い、動くことさえできなくなったとき、もう1人のジェダイがドゥークーの秘密の格納庫に姿を現したのである。
ジェダイ・マスター、ヨーダがかつてのパダワン、ドゥークーと対面したのは10年ぶりのことだった。2人は互いに駆け引きなどすることなく、巨大なフォースの力で激突する。やがて戦いはライトセイバー戦へと移り、2人のフォースの達人はスピードと光が錯綜するなかで壮絶な戦いを繰り広げるのだった。しかし、勝ち目が無いと悟ったドゥークーはヨーダの気を逸らすためにクレーンを動かし、アナキンとオビ=ワンを襲う。ヨーダがフォースを使って2人を助ける間に、ドゥークーはその場から逃走したのだった。
ヨーダはドゥークーがフォースのダークサイドに屈服したことに気づいていたが、彼のシス・カルトへの忠誠はジェダイにも知られていなかった。ドゥークーの風変わりな星間帆船はジオノーシスを脱出し、やがてコルサントの老朽化した倉庫区画へと到着する。彼はそこで師であるダース・シディアスと面会し、吉報を報告するのだった。クローン大戦が始まったのである。
その後もドゥークーは次々と共和国の星系を分離派へと導き、クローン大戦は激化の一途を辿っていた。彼は最初の反抗計画としてシスの古代兵器であるダーク・リーパーを解き放ち、共和国グランド・アーミーとジェダイに大きなダメージを与えている。さらにドゥークーはジャンゴ・フェットの後継者としてダーク・ジェダイのアサージ・ヴェントレス、不死身の賞金稼ぎダージ、最強のサイボーグ戦士グリーヴァス将軍などを招き入れ、ジェダイ・オーダーに恐るべき試練を与え続けることになるのだった。
3年もの間続けられた戦争は、銀河系をばらばらに引き裂いていった。連合軍と共和国は多種多様な惑星で激しい戦いを繰り広げていたのである。ドロイド軍の軍事機構は、ドゥークー自らがジェダイの技を訓練した恐るべきサイボーグ司令官、グリーヴァス将軍の指揮下に置かれていた。ドゥークーが洗練された正確な技術によってライトセイバーを扱うのに対して、グリーヴァスは奇妙な機械的構造を駆使した野蛮で荒々しいエネルギーを全開にし、最高で4本のライトセイバーを使用するのだった。
そしてクローン大戦の終盤に、分離主義勢力は共和国の首都に対する大胆な奇襲を試みた。連合軍はコルサントの防衛網を突破し、誘拐されたパルパティーン最高議長と共に消えたのである。
しかし、これらはすべて策略の一環だった。パルパティーンこそがドゥークーのシス・マスター、ダース・シディアスだったのだ。だが、ドゥークーはパルパティーンの本当の計画に気づいていなかった。この誘拐劇には、後の新しいシス・アプレンティスを試すテストの意味合いが含まれていたのである。そして、ドゥークー伯爵とその重要な囚人を乗せて逃走するグリーヴァス将軍の旗艦<インヴィジブル・ハンド>に、ジェダイの英雄オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーが乗り込んだ。ドゥークーはこの2人のジェダイと再び剣を交えることになる。彼はまずケノービを打ちのめし、残虐なフォースの力で彼の意識を失わせたが、スカイウォーカーに打ち勝つことはできなかった。決闘の間、ドゥークーは激しい気性を抑制していた若者を執拗に駆り立てていたが、アナキンが伯爵の裏をかくまで、彼は自分が優位に立っていると考えていたのである。
スカイウォーカーはドゥークーの両腕を切断し、シス卿の赤い光刃のライトセイバーを奪い取った。ドゥークーがスカイウォーカーの足元に跪くと、アナキンは2本のライトセイバーを伯爵の喉下に突きつける。そして、パルパティーンが彼を殺せと助言したとき、ドゥークーはようやく裏切りこそがシスの本道であることを完全に理解したのである。伯爵は自分の役割が終わったことを悟った。真に価値ある者はスカイウォーカーであり、彼こそが天分のある新しいシスとなるのだ。アナキンが光刃を振ってドゥークーの首を切り落としたとき、ドゥークーは自分の運命を受け入れたのだった。