トレンチ
| ||||||||||||||||||||||||||
|
トレンチは、クローン大戦中に独立星系連合で大きな功績を収めたハーチの艦隊提督である。トレンチは指揮を通じて部下たちからは尊敬を、敵からは畏敬の念を集めていた。彼の冷酷さは共和国全体にわたって浸透していたのである。彼に与えられた任務は平和な惑星クリストフシスを封鎖することだった。だがトレンチは、アナキン・スカイウォーカーの巧みな作戦の前に敗れ去ることになる。スカイウォーカーはトレンチの船から放たれた魚雷を発信源に送り返すことによって、船を完全に破壊したのだった。
目次 |
経歴
初期の経歴
クローン大戦勃発の10年前、トレンチ提督は後にマラステア・ナロウの戦いと呼ばれるようになる戦いに参加した。彼が軍歴の一部に名を刻んだのもこのときである。企業同盟が惑星マラステアを封鎖し、トレンチが企業から提供された艦隊すべての指揮を任されたのだ。この戦いで、トレンチは参加者全員に決して忘れることのできない記憶を植えつけることになった。共和国のウルフ・ユラーレン提督もその1人であり、このとき彼は艦隊に撤退を命じている。事実、この恐るべきハーチの提督の艦隊によって多くの命が失われ、多くの艦船が引き裂かれたのだった。しかしその後、ジェダイの機動部隊が投入され、激しい攻撃によってハーチの旗艦は消滅してしまう。このとき彼も船と共に死亡したと思われていたが、後のクローン大戦の最中、クリストフシスの封鎖の際にトレンチは再び姿を現したのである。
クリストフシスの封鎖
クローン大戦の勃発後、銀河共和国はクリストフシスの人々への救援活動を開始した。クリストフシアンへの救援任務を率いたのはオルデランのベイル・オーガナ議員である。だが不運にも、この惑星はトレンチ提督と彼の軍隊によって再び攻撃に晒されることになるのだった。
トレンチの第一目標は惑星下で行われている救援活動の補給線を分断することだった。彼は極めて独自の迷彩塗装を施した分離主勢力ドレッドノート<インヴィンシブル>から艦隊に命令を下し、圧倒的な火力で地表に向かおうとする補給船を次々と破壊したのである。
アナキン・スカイウォーカーと彼の艦隊も救援活動に参加していた。彼はトレンチのドレッドノートから放たれる激しい砲火を目の当たりにし、クリストフシスの月の裏側へと退去を強いられる。ジェダイが撤退し、月の裏側で部隊の再編を行う一方で、トレンチはこの戦いの勝利を感じていた。その後、彼は兵士たちに敵の追跡をしないよう命じたが、シールドの最充填とキャノンのフル・パワーへの再充電だけは怠らなかった。提督は戦果に満足し、艦橋の椅子に座ると、敵艦が再び姿を現すのを心待ちにしたのである。
やがてスカイウォーカーとユラーレン提督自らが操縦するステルス・シップによって、共和国の反撃が開始された。見えない船の存在に取り乱したトレンチは大量のハイエナ級ボマーを発進させ、惑星の地表、特にベイル・オーガナの司令センターへの重点的な爆撃を命じる。トレンチはこの爆撃によって共和国の隠れている「臆病者たち」をあぶり出し、殲滅しようと計画していたのだ。
トレンチにはステルス・シップの存在を見破ることはできなかったが、彼は外の様子が何かおかしいことに気づいていた。そしてアナキンの船が姿を現し、提督のクルーザーにプロトン魚雷を発射すると、彼の推測が正しかったことが判明した。だがアナキンの作戦にはほとんど効果がなかった。ハーチの提督が素早く反応し、船の熱シールドを起動させたのである。この愚かな行動に激怒したトレンチは、ステルス・シップに対してプロトン魚雷で応戦した。スカイウォーカーは素早く4方向への発砲を命じることで魚雷を回避し、辛うじて死を免れた。彼はとっさの判断でトレンチの怒りから自身と乗員たちの命を救ったのである。その後、ステルス・シップは再び隠れた。敵機を見失った提督は激怒のあまり四方八方へレーザーを乱射するが、効果はなく、スカイウォーカーはレーザー砲火の中へと突き進む。長引く戦闘に焦ったトレンチは、敵機を操縦しているのがクローン・パイロットではなくジェダイであることに気づいたのだった。その後、彼はコムリンク・チャネルを通じてメッセージを送り、共和国側に自己紹介した。トレンチは可能なうちに撤退しろと助言し、ステルス・シップの乗員を震撼させる。そして彼は死の警告を打ち切ったのだった。
最後の抵抗
トレンチはジェダイの次の攻撃を予見し、それに備えた。やがて、見えない船が姿を現すが、今度はトレンチもクローキング装置を装備した船への戦術を用意していた。トレンチは船の磁気追跡シグネチャーを使ってそれらを追跡し、破壊する。一方、ステルス・シップもトレンチの旗艦に向けて発砲するが、それは陽動に過ぎず、アナキンの船は再び姿を消したのだった。その後、トレンチは敵機の磁気シグネチャーに照準をロックし、戦術ドロイドのTI-99に、指示と同時にシグネチャーの発信元へ魚雷を撃つよう命じる。しかし、そのためにはシールドを落す必要があった。TI-99はその点を指摘するが、怒りが頂点に達していたトレンチは砲撃を命じ、魚雷が発射される。だが、スカイウォーカーはまさにこのタイミングを待っていたのだ。ステルス・シップは魚雷に追われたまま方向転換し、トレンチの司令船の艦橋を目指した。大胆な攻撃に驚いた提督はシールドの再起動を命じるが、フル・パワーには間に合わず、船は無防備のままとなる。ハーチの提督は共和国の船が一直線に向かってくる光景をなすすべなく見守るしかなかった。彼は最期を悟り、6つの目を閉じて静かに死を待った。ステルス・シップはトレンチのいる艦橋へ一直線に突き進み、それを追っていたすべての魚雷が艦橋を直撃する。トレンチの旗艦は破壊され、封鎖艦隊は大混乱に陥ったのだった。そして、誰もがトレンチは死んだと信じていた。だが、彼は生き延びていたのである。
人物と特徴
トレンチは敵に対して無慈悲で冷酷な提督であり、彼やその艦隊に遭遇する者すべてにとって恐怖の存在だった。彼は戦場における戦術と効果的な作戦によって独創的かつ天才的な采配を見せ付けてきたのである。彼の使命は多数の共和国艦隊を破壊することあり、その戦利品には共和国のバトル・クルーザー<ライティアス>とフリゲート艦<スウィフト・リターン>も含まれていた。彼の才能はステルス・シップへの対処法を見ても明らかであり、その記録はウルフ・ユラーレン提督がクリストフシスの封鎖中に見た情報部のデータにも記されていた。
トレンチは独自の紋章を持っており、配下のすべての船にそれを描かせていた。そのため、この紋章を見た者は敵の正体を直ちに知ることになる。この紋章はトレンチの顔に似せて作られており、多くの船の乗員たちにとって、それは人生で最後に見たものとなるのだ。度重なる勝利によって、トレンチは自分が常に敵の一歩先を行っているという驕りを抱いていた。だが、最終的に彼はこの過剰な自信によって身を滅ぼすことになる。