ケッセル
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ケッセル(シムの帝国の時代にはゾーズ・アイと呼ばれていた)は、ハット・スペースと危険なモーの中心部に近い、アウター・リム・テリトリーのケッセル・セクターに位置する惑星である。この惑星は流刑惑星であり、銀河系最大のグリッタースティム採鉱事業の拠点でもあった。銀河帝国の支配下において、ケッセルでは多数の奴隷労働者たちが働かされていたのである。
この惑星はリトル・ケッセルと隣接しており、1つの衛星を従えていた。だが、この衛星はデス・スター・プロトタイプを使ったトール・シヴロンによって破壊されてしまった。
解説
アウター・リムに浮かぶ悪名高きケッセルは、辛うじて惑星としての体をなしているに過ぎない小さな卵型惑星である。軌道上にいくつかの巨大な衛星を従えたこのいびつな惑星は、あまりにも小さいため重力が弱く、呼吸に必要な大気を地表付近に留めておくことができない。唯一の救いは地殻を構成している鉱物に大量の酸素が含まれていることであり、住人たちは地上に造られた無数の工場でこうした鉱物から人工的に酸素と二酸化炭素を作り出していた。そのため、屋外で活動する人々も全環境型スーツを着用する必要はないが、人工酸素も次々と宇宙空間へ流失してしまうため、呼吸マスクの着用を欠かすことはできなかった。だが、専門家の試算によると、ケッセルの鉱物資源もエンドアの戦いの数百年後には、この均衡を保つことができなくなってしまうという。
ケッセルの屋外での活動を危険なものにしているのは、呼吸可能な大気の欠乏だけではない。ケッセルの大地には、遥か上空に広がる燃えるようなガス状のモー星団から容赦なく強烈な放射線が降り注がれており、通常の人々は長時間その身をさらしているだけで確実に命を削られてしまうのだ。そのため、当局は軌道上に強力な放射線シールドを設置し、致命的なX線やガンマ線のほとんどを遮ることで危険を最小限に抑えていた。
また、ケッセルの地表は大気中に含まれていた微粒子が長年にわたって堆積したために白みがかった粉に覆われており、至るところが焼け焦げ、ひび割れている。事実、この惑星は極度に不毛な惑星であり、陸地にも小さな塩分の多い海にも動物の姿は全く見えない。どこにでも芽を付けるような数種類の強い雑草や苔類を除けば、地表は完全に死の世界となっている。
歴史
極めて危険な惑星であるにもかかわらず、ケッセルは常に銀河系の多くの人々の関心を集めており、人や物資の出入りも頻繁に行われていた。それはこの惑星が銀河系で最も高価なスパイスの1つであるグリッタースティムの唯一の産地であるからに他ならない。事実、グリッタースティムはケッセルで発見されたスパイスであり、適切な加工を施すことによって高度な興奮作用だけでなく、吸引者に一種のテレパシー能力を与えることでも知られている。そのためこのスパイスは極めて需要が高く高価であり、入手するためには殺人や、自らの命さえも賭ける価値があるとされているのだ。
銀河共和国に代わって銀河帝国が台頭するようになると、帝国は銀河系全域で行われているスパイス採鉱事業を全て支配下に置き、地下企業の不正な利益を大幅に制限しはじめた。なかでも特に重要視された惑星がケッセルであることは言うまでもない。帝国はこの不毛な惑星に刑務所を建設し、政治犯たちを鉱夫として酷使するようになったのである。グリッタースティムはあらゆる種類の光によって活性化してしまうため、採鉱およびその加工作業は常に絶対的な暗闇の中で行われなければならない。したがって囚人たちは地下深くに掘られた洞窟の中で強制労働を強いられることになり、与えられた呼吸マスクや温度調整装置も整備不良で機能不全を起こしていることが多かったのである。
しかし、こうした劣悪な環境も、囚人たちにとっての最大の脅威ではなかった。ケッセルの洞窟の奥深くにはエネルギー・スパイダーと呼ばれるおぞましい巨大生物が生息しており、不幸にして犠牲者となった鉱夫は一瞬にしてその鋭い牙に突き刺され、生命エネルギーを吸い取られてしまうのだ。エネルギー・スパイダーの存在は囚人たちにとって大きな脅威だが、その後グリッタースティムの正体がこの生物によって排出される蜘蛛の巣の糸であることが発見されると、この脅威も暗黙の危険へと摩り替わっていった。幸いにしてエネルギー・スパイダーが地表付近にまで上がってくることはほとんどなく、また彼らの主食は同じくこの惑星の地下に生息するボギーと呼ばれる発光生物であるため、十分な警戒がなされるようになってからは、囚人たちが犠牲になることもほとんどなくなったのである。だが、洞窟で働く囚人たちにとって、二度と頭上の星々を見る希望が訪れない現実には変わりがなかった。警戒厳重なケッセルからの脱出はほぼ不可能であり、さらには無数のブラック・ホールの集合体であるモー星団の存在も、この星系の孤立状態を後押ししていたのだ。
一方で、暗黒街の犯罪組織は帝国のスパイス取引きから利益を得る方法を編み出していた。腐敗したケッセルの役人は容易に買収することができ、クレジット次第ではブラック・サンやハットの密輸組織の貨物船内でたびたびスパイスの積荷を「見失って」くれたのだ。他にもグリッタースティムで一攫千金を夢見る密輸業者は後を絶たず、無鉄砲な彼らは文字通り命を賭けて帝国のパトロール艇との競争を繰り広げていた。モー星団のブラック・ホールによって歪められた不安定な航路は密輸業者たちの間でケッセル・ランと呼ばれるようになり、この極めて危険なルートを最短距離で疾走することが密輸の成否に直結することになった。例えば、ここを18パーセクの距離で通過した密輸業者は辺境の酒場で武勇伝を自慢できる立場にいられたのだ。一部ではハン・ソロが<ミレニアム・ファルコン>で12パーセクという記録を打ち立てたと囁かれているが、真偽の程は確かでない。
また、ケッセル星系はスパイス鉱山以外にももう1つの戦略的価値があった。それは、この星系がグランド・モフ・ウィルハフ・ターキンによって設立された秘密のシンクタンク、モー研究所への出入り口となっていたことである。この外界から完全に切り離された研究施設には帝国軍の最新テクノロジーを研究するために銀河系全域から多くの科学者たちが集められており、デス・スター、ワールド・デヴァステーター、サン・クラッシャー、イオニック・リング、亜空間ホロトランシーバなどのプロトタイプが開発されていたのだ。
やがてエンドアの戦いで帝国が敗れると、ケッセルの強制収容所にも小規模な革命が勃発し、帝国の看守をしていたライベットのモルース・ドゥールが実権を掌握するようになった。卑劣なドゥールは以前から賄賂を受けて多額のスパイスを横流ししており、一方ではこうした商売相手の密輸業者を帝国当局に密告することで点数を稼いでいたのである。彼は軌道上の放射線シールドを武器に囚人たちを抑圧し、7年間にわたってケッセルを支配し続けた。そして、その間は銀河内乱からも完全な中立を守っていたが、新共和国によってモー研究所の存在が明らかにされたことで、不本意ながらも戦いに巻き込まれてしまう。研究所を出た帝国軍のプロトタイプ・デス・スターはケッセルを攻撃し、スーパーレーザーの試作品によってドゥールの軍事基地のある衛星の1つが完全に破壊されてしまったのである。さらにその後起こった小規模な戦闘によって、逃走中だったドゥール自身もエネルギー・スパイダーの餌食となったのだった。
最終的にケッセルの鉱山施設は実業家ランド・カルリジアンのものとなった。彼はエンドアで共に戦った友人ニエン・ナンにスパイス事業を任せており、現在は囚人の代わりに労働ドロイドを利用した効率的な採鉱事業を展開したのである。