イリク・イズマレン
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解説
パルパティーン皇帝の愛人の1人とされるロガンダ・イズマレンは、息子のイリク・イズマレンをパルパティーン自身の息子だと語っていた。だが実際には、イリクは彼女と帝国統治評議会の一員だったサーケヴ・クエストとの間に生まれた子供である。幼いころから強いフォースに恵まれていたイリクは、ナスドラ・マグロディによって脳にAIチップを移植されたとき、母によってその能力をさらに増幅させられた。このチップによって、彼は実践的観点からも、フォースの能力に関しても同様に、素早く熟練した状態に到達したのだった。
亜電子変換チップが脳内に移植されたのは、イリクが5歳のときのことである。そして、7歳になるまでには、彼は正式なフォースの訓練を開始していた。13歳のときは、望めば物理科学の上級課程の学位も容易に取得することができただろう。だが、彼はただ1つの目的、すなわち見捨てられた<アイ・オブ・パルパティーン>を回収するためだけに育てられたのである。長く皇帝に仕えていたロガンダは、この船を復活させるためにはフォースで船との接触を実現させる精神力が必要であることを認識していた。そのため、彼女は自身を成功へと導く道具として息子を利用したのである。イリクはフォースを通じて機械を制御する能力を身に付けており、彼女は息子がこの能力を使って<アイ・オブ・パルパティーン>をベルサヴィスに召還することを望んでいた。だが、イリクの能力はまだ未熟であり、彼は自分がその基本構造を記憶し、理解している物しか制御することができなかった。たとえ基本的な部分であっても変更があれば、彼はその物体を操作することができないのだ。やがて、ルーク・スカイウォーカーとその弟子クレイ・ミングラ、ニコス・マー、そして<アイ・オブ・パルパティーン>のコンピューターと精神を同化させていた旧共和国のジェダイ・ナイト、カリスタによって船が破壊されると、イリクは母と共にその場を逃れ、以後しばらくの間、姿を消したのだった。
ベルサヴィスでの戦いで衰弱していたイリクは抵抗することさえできず、母のなすがままにコルサントへと連れて来られていた。ロガンダは首都惑星のブルーネック地区と呼ばれる場所にイサラミリによって守られた地下研究所を作り、イリクの心と体に改造を加えていたのである。彼の骨と筋肉は限界を超えて成長し、さらに発達し続けることを余儀なくされた。やがてイリクは想像を絶する身長と体重へと成熟し、かつての面影を完全に失うことになる。脳内に移植されたAIチップもさらに高度化され、フォースのダークサイドとの結びつきを与える精神の深層に焦点を合わせることができるようになっていた。さらに、彼の肉体には、両手首、両膝、両肩に、収集したライトセイバーが埋め込まれており、さらなる制御力を維持するために与えられた移植片にそれらを接続させたのだった。
その後、イリクはロガンダに雇われた謎のダーク・ジェダイから武器の使い方に関する訓練を受けていた。そしてこの訓練の最中、彼は師であるダーク・ジェダイに激しい怒りを覚え、決闘の末、彼を殺害した。だが、この戦いでイリクは脳にライトセイバーを突き刺され、瀕死の重傷を負うのだった。そのため、ロガンダは改造の第2段階を開始させ、息子を脳死状態から回復させると共に、その精神を取り戻させることを強いられた。しかし、改造が完全に終わる前にイリクはその場から姿を消してしまう。正気を失った彼は母親を惨殺し、自分の身に起こったことに関する記憶も基本的な理性もないまま、コルサントの地下に広がる闇の世界へと逃亡していったのである。
その後も怪物と化したイリクはコルサントの迷宮内で殺戮を繰り返し、その姿を見た生存者たちから、コレリアの古い民間伝承に登場する亡霊の名にちなんでナイアックス卿と呼ばれるようになる。彼に埋め込まれたプログラムはまだ未完成だったが、ナイアックスはフォースのダークサイドと深い繋がりを保持しており、それによって必要な知識を容易に学ぶことができたのだ。そしてベルサヴィスの事件から15年後、ナイアックスはユージャン・ヴォングの手によって陥落したコルサントでも生き延びており、心の弱い生存者たちを支配するために精神操作を行い、彼らのエネルギーをユージャン・ヴォングの捜索に利用したのだった。また、彼は手袋や体の各関節に連結された何本ものライトセイバーの使い方も学んでおり、敵対する者たちから恐ろしい戦士として見られるようになる。さらに、ナイアックスはかつてコルサントにそびえ立っていたジェダイ聖堂の名残を発見し、その下から信じられないほどのフォース・エネルギーの存在を感じとっていた。彼はそのエネルギー井戸から力を引き出し、それをダークサイドに偏向させることによって、さらなる力の成長を実現させたのである。
ルーク・スカイウォーカーと彼の率いるコルサント潜入チームは、ナイアックスを発見すると、この暗黒卿が新共和国に対する更なる脅威となることを阻止するため、戦いへと突入した。彼らもライトセイバーを使って戦うことはできなかったが、岩や投石で彼を気絶させようという作戦は十分な効果をもたらした。ナイアックス卿は両足と背中に切り傷を負い、ジェダイ聖堂の下の穴へと落ちていった。そして、穴の中で瀕死の状態となった暗黒卿は最後の力を振り絞って可能な限りのダークサイド・エネルギーを集積し、穴からそれを解き放った。大量の砕石が空へと噴出し、それらがコルサントの地表へと降り注ぐ。やがて落石が収まったとき、ルークはナイアックスの肉体が滅んでいるのを発見した。だが、この巨大な生物の持つダークサイドのエネルギーは、いつまでもその場に漂い続けたのだった。