スーンター・フェル
(フェル大佐から転送)
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解説
史上最年少で帝国宇宙軍大佐に抜擢され、戦艦の指揮権を与えられたスーンター・フェルは、帝国軍の兵員募集ポスターに謳われている通りの逸材である。彼は肩幅が広くハンサムなコレリアンであり、かつては農夫をしていたが、やがて伝説的なTIEファイター・パイロットとして数々の勲章を手にすることになる。
しかし、彼は自ら進んで帝国アカデミーに入学したわけではなかった。故郷での祭りの夜、地元の有力者の息子が起こした犯罪を目撃したフェルは、口封じのために愛する農場を追われ、アカデミーに送られたのである。だが、彼はこの状況を最大限に活用しようと決心した。カリダの帝国アカデミーでは同期生のハン・ソロやロカ・ハースクらと出会い、互いに競い合うようになった。やがてフェルはクラスの首席となる優秀な成績でアカデミーを卒業し、帝国軍のドレッドノート級ヘヴィ・クルーザー<プライド・オブ・セネイト>の指揮を任された。しかし、彼はそこで上官のウィンステル・グリーランクス提督によるナー・シャダー攻撃計画に悩まされることになる。
モフ・サーン・シルドから彼らに与えられたベース・デルタ・ゼロと呼ばれる指令は、文字通り標的の殲滅を意味していた。しかし、フェルの部隊はこのような作戦に対する実地訓練を全く受けておらず、適性を欠いていたのである。さらに、彼自身もナー・シャダーを壊滅させることの合理性に疑いを持っていたのだ。それでもこの戦いは迅速にフェルにのしかかっていった。そしてグリーランクスによって示された最小限の戦闘計画は、密輸業者たちによる驚異的な反撃を予想しておらず、結果的に帝国艦隊を撤退へと導いたのだった。甚大な被害とグリーランクスによる撤退命令に驚いたフェルは、艦隊と再合流する前に可能な限りのパイロットを回収しようと努め、遅れをとっていた。グリーランクス提督はこれを軍規違反としてフェルに激怒したが、フェルは帝国軍上層部に対して敗北の原因が提督の作戦ミスであるという報告を送った。その結果、グリーランクスは処刑され、フェルも<プライド・オブ・セネイト>の指揮権を取り上げられたのである。
フェルは第37帝国戦闘機大隊に配属され、その後フライト・インストラクターとしてプレフスベルトIVに転属となった。彼はそこでも多大な勲章を獲得し、後に銀河の英雄となるタイコ・ソークー、ビッグズ・ダークライター、デレク・クリヴィアンらを指導した。さらにはモフ・ターキンから直々に彼の護衛部隊へと招かれたが、ビッグズとホビーが軍から逃走したことで責任を追及され、エヴァー・デリコート将軍配下の第181帝国戦闘機大隊へと左遷されてしまうのだった。
ヤヴィンの戦いと同じ日、フェルの部隊はオード・ビニアで名目だけの勝利を上げた。それでも彼は帝国軍の士気高揚に貢献したとされ、コルサントで表彰されたのである。フェルはそこでホロドラマ・スターのウィンサ・スターフレア(実はウェッジ・アンティリーズの実の妹だった)と出会い、やがて2人は強く愛し合うようになる。帝国情報部長官、イセイン・アイサードがフェルの存在を知ったのもその直後のことだった。アイサードは彼を誘惑し、その忠誠心を試そうとした。フェルがそれを拒否するとアイサードは彼の帝国への忠誠心を誉め称えたが、それと同時にフェルに憎しみを抱くのだった。フェルは彼女の策略を通じて帝国の本質を知り、それを軽蔑するようになったのである。
また、スローンが瞬く間に出世を重ねていくと、フェルはパルパティーン皇帝による非人間蔑視政策がそれほど意味をなしていないと感じるようにもなった。事実、彼はデラIV付近で反乱同盟軍の補給船団を壊滅させたスローンの作戦を絶賛していたが、それでも皇帝のエイリアン種族に対する疑念は解消されなかったのだ。
やがてフェルは大佐に昇進し、第181帝国戦闘機大隊の全権を与えられた。エンドアの戦いでは自らもTIE/INインターセプターで出撃したが、帝国軍は大敗を喫し、彼の帝国に対する落胆はますます加速していった。ローグ中隊をブレンタルへおびき出すために戦闘機大隊をまるごと犠牲にするというアイサードの作戦も、彼には到底容認できるものではなかった。第181大隊がブレンタル防衛の援軍として派遣されると、フェルはついにこれで潮時だと決心したのである。ブレンタルの戦いが始まる直前、フェルは妻ウィンサのために戦死を装っていた。そしてこの戦いで新共和国は帝国軍を打ち破り、ホートン・ソーム大佐がイオン・キャノンでフェルのTIEインターセプターを航行不能にしたことによって、彼は新共和国の捕虜となってしまうのだった。
フェルはウィンサの捜索を手伝うことを条件に新共和国への協力を提案し、新共和国の戦闘機部隊もそれに同意した。しかし彼は即座に共和国を裏切り、帝国軍へと帰還する。フェルはスローン大提督によって編成された軍に加わり、銀河帝国の権利を主張する様々な大将軍たちを討伐するため、スローンによる真のリーダーシップの下で数年にわたって働いたのである。後に彼はその輝かしい経歴における最後の戦いで片目を失い、ニラーンに構築されたスローンの手の司令官ヴォス・パークと合流するため、軍から退いたのだった。
また、フェルはスローンの要請で造られていたクローン部隊の親でもある。クローンたちはいくつかのスリーパー・セルへと送られ、スローンによる再始動指令を待つ天才的パイロットとして待機していた。彼らは人格こそフェルとは別人だが、パイロットおよび戦士としてのフェルの能力を豊富に継承していたのだ。しかし、多くのスリーパー・セルは開放的な空気と農業への愛着を取り戻し、スローンの死から10年後に発せられた再始動指令には従わないことを決定したのだった。
やがてガーキの戦いの直後、スーンターとシャル(ウィンサの本名)との間に5人の子供がいることが発覚した。その1人ジャグド・フェルは残存帝国軍で権力の座に就いていた人物である。後にスーンターとジャグドはチス宇宙軍のリーダーとなり、ユージャン・ヴォングの猛威に晒されていた銀河系の片隅で、チスの防衛に尽くすことになる。