アルメック
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アルメックは、惑星マンダロア出身のマンダロリアンである。クローン大戦中、彼は新マンダロリアン政府の首相を務め、新マンダロリアンの首都サンダリの邸宅で暮らしていた。新マンダロリアンの指導者サティーン・クライズ公爵の良き友人であり、忠実な支持者でもあったアルメックは、新マンダロリアンの平和主義を頑なに信奉し、マンダロアの利益の監視と代弁に全力を尽くしていたのだった。しかし彼の人々に対する献身振りは、やがて彼自身を破滅へと導くことになる。マンダロアがその中立性から共和国の援助を打ち切られると、アルメックは新マンダロリアンの人々により多くの必要な物資を届けるため、違法な密輸業者による闇市場取引のネットワーク構築に着手した。こうした密輸業者たちがスレーブンを混入したお茶でサンダリの人々に中毒症を蔓延させ、多くの子供たちを病院へ送り込んだのである。やがてアルメックは闇市場ネットワークの首謀者であることを暴露され、子供たちを中毒症で苦しめた罪により犯罪者として投獄されたのだった。
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経歴
惑星マンダロア出身のアルメックは、マンダロリアンの平和を愛する組織、新マンダロリアンのメンバーの1人であり、平和主義を強く支持していた。そしてクローン大戦勃発までに、彼は新マンダロリアンの首相に就任したのである。ヤヴィンの戦いの21年前、アルメックはマンダロアに到着したジェダイ・マスター・オビ=ワン・ケノービと、新マンダロリアンの首都サンダリで面会した。ケノービはジェダイ評議会の命によって、サティーン・クライズ公爵が独立星系連合のために戦うマンダロリアン軍を準備しているという噂の背後にある真相を調査するために訪れたのである。だが、アルメックはジェダイに対しその噂を否定する。彼はマンダロアが銀河共和国を裏切るようなことは決してないと心から信じており、マンダロリアンの悪名高き暴力主義はもはや過去のものに過ぎないと主張した。ケノービがマンダロリアンの傭兵ジャンゴ・フェットとの戦いについて言及すると、それを知らなかったのか、あるいはフェットがマンダロアだったという事実を受け入れたくないのか、いずれにしてもアルメックは、フェットは何らかの理由でマンダロリアン・アーマーを着ていただけの賞金稼ぎに過ぎないと断じ、彼の存在を切り捨てたのだった。
サティーン公爵に拝謁していたとき、ケノービが共和国の巡航艦を攻撃したとされるマンダロリアンの破壊工作員のホロ記録を示すと、アルメックは声を大にしてマンダロリアンがこのような犯罪を犯すはずがないと主張した。首相はこの疑惑のマンダロリアンの行方に関心を示したが、ケノービから犯人が尋問を受けるより自殺することを選んだと聞かされると、動揺を隠せなかった。その後、工作員の正体がデス・ウォッチの一員であることが判明する。このマンダロリアンから分裂した反体制派組織は、マンダロリアンに残忍な暴力主義を取り戻すことを目指しており、その最終目標は再び征服戦争を開始することだった。さらにその首領が、アルメックとサティーンが信頼すべき同盟者だと信じていた、マンダロアの衛星コンコーディアを統治するプレ・ヴィズラ総督であることが判明する。これらの事実を受けて、アルメックはサティーン公爵を護衛する忠実な部下および衛兵の一員となり、彼女の宇宙船<コロネット>まで同行した。彼女はこの船でコルサントへ向かい、銀河元老院にデス・ウォッチがマンダロリアン社会全体を代表する存在ではないことを訴えることになる。
元老院会議場で公爵がマンダロアの人々の利益を代弁している間、アルメックはマンダロアに残っていた。そこで彼は新マンダロリアンの偵察員から、デス・ウォッチがコンコーディアの基地で軍隊を集めているという報告を受ける。偵察員は、デス・ウォッチも民衆の支持なくしてマンダロアを乗っ取ることはできないと指摘し、アルメックもそれに同意した。だが彼は、デス・ウォッチの計画通り、共和国がマンダロアに軍隊を展開するようなことになれば、民衆も彼らを「解放者」と見なして支持に転じる可能性があることを危惧していた。他に頼れる相手のいないアルメックにはサティーン公爵の努力を信頼するしかなかったが、彼は公爵がマンダロアにクローン・トルーパーの占領軍を派遣しないよう元老院を説得できると信じていたのである。
公爵の努力は成功し、マンダロアはクローン大戦の膠着した状況から距離をおくことができた。だが中立の立場と引き換えに、惑星は物資の供給という共和国からの大きな援助を失うことになったのだ。そのため、アルメックは必要な物資を新マンダロリアンの人々に届けることを保障するという名目で、闇市場取引のネットワークの構築を請合ったのだった。その後、共和国のパドメ・アミダラ議員がサンダリを訪問し、元老院内の同情的な党派からの新マンダロリアン政府に対する援助を約束する。このときアミダラとサティーン公爵は、共和国との貿易が途絶えた隙を突く違法な密輸組織の存在を発見し、それによってマンダロリアンの子供たちの命が危険に晒されていることに気づいたのだった。ムーガンの密輸業者たちがお茶にスレーブンと呼ばれる毒薬を混入し、子供たちに中毒症を蔓延させていたのである。アミダラとサティーンからこの知らせを受けたアルメックは、この犯罪活動の背後でデス・ウォッチが暗躍していると考えた。だが、公爵と議員が密輸団の活動を壊滅させ、この事件の背景が新マンダロリアン政府内にはびこる汚職であることを突き止めると、首相を務める彼はこの問題の徹底調査を誓ったのだった。
その後、パダワン・アソーカ・タノが生徒たちに汚職の罪を教えるため惑星マンダロアを訪れたとき、アルメックこそが闇市場を支配する黒幕だったことが暴かれることになる。食料不足の真相を確かめるため政府の倉庫ベイに侵入したサティーン・クライズの甥、コーキーとその友人たちが、密輸業者、マンダロリアン・シークレット・サービス、そしてフードを被った謎の人物の会合を目撃したのだ。彼らはこの会合を記録するが、見つかってしまい、フードの人物はシークレット・サービスの隊員たちに彼らを追わせる。何も知らない子供たちは証拠を携えてアルメックと面会しようとしたのだった。首相は子供たちを反逆罪で逮捕しようとするが、彼らはアソーカによって助けられる。そして闇市場の会合が記録されたホログラムを見た彼女は、分析によって謎のフード姿の人物の正体がアルメックであることを知ったのだった。このとき子供たちが公爵にも会合の情報を示していたことから、アルメックはサティーンの逮捕も命じていた。アソーカは公爵を探しに向かうが、彼女を解放しようとしたそのとき、アルメックが姿を現し、正体を明らかにする。彼はマンダロアに物資を届けさせるため闇市場全体を背後から操っていたのだと語るが、サティーンは彼が物資を横領していたのだと訴えた。アルメックはサティーンに汚職の罪を着せるため、自白調書にサインするよう強いるが、彼女はそれを拒否した。彼は公爵を拷問するが言うことを聞かないため、代わりにコーキーを拷問しようとする。だが丸腰で拘束された状態だったにも関わらず、アソーカと学生たちは反撃を開始し、逆にアルメックにスレーヴィング・カラーをはめたのだった。アルメックと部下たちは降伏を強いられ、マンダロアの元首相はサティーンが閉じ込められていたのと同じ独房に収監されたのである。
ヤヴィンの戦いの20年前、デス・ウォッチが犯罪シンジケートとシスの兄弟、ダース・モールとサヴァージ・オプレスらと手を組むと、サティーンは政変の渦中で公爵の座から追放され、アルメックの隣室に投獄されてしまった。元首相は過去の行為に対する謝罪を拒否し、彼女の愚かな信念を嘲笑う。その後、彼はデス・ウォッチに裏切られたナイトブラザーによって引き立てられ、モールがプレ・ヴィズラを倒した後の傀儡の支配者の地位を与えられたのだった。そしてモールはヴィズラに、勝者がデス・ウォッチの忠誠を手に入れるという名誉を賭けた一騎打ちを挑み、それに勝利する。だが、ボ=カターン・クライズ率いる少数の反対勢力がモールへの服従を拒み、逃走した。その後、アルメックは首相に再任され、民衆にサティーンがヴィズラを殺害したと宣言したのである。彼は直ちに組閣を開始するが、モールはアルメックに、失敗した場合すべての責任を取ってもらうことになると警告したのだった。
人物と特徴
当初のアルメックは新マンダロリアンの平和主義の信奉者であり、新マンダロリアン政府が、過去のマンダロアが持っていた暴力による評価の払拭に成功したことを誇りに思っていた。彼は、マンダロアを進歩的な新マンダロリアン政府でなく、戦闘氏族とばかり結び付けようとする外界の人々の意見にうんざりしていたのである。彼は新マンダロリアン政府の最高位の要職に就いていたが、かつては謙虚な男として知られ、質素な服装を好み、人々への奉仕者を自負していた。だがアルメックが威厳ある外交官であり、有能な政治家だという事実に変わりはない。彼は、デス・ウォッチが民衆からの支持を回復させるために共和国の軍事介入を扇動し、市民たちに自らを解放者としてアピールするという計画を正確に見抜いていたのである。アルメックはサティーン・クライズ公爵の友人であり、彼女の統率力に大きな信頼を寄せていたのだった。
銀河共和国が中立を宣言したマンダロアへの交易ルートを閉鎖し、新マンダロリアンの人々が食糧不足に苦しむようになると、アルメックは人々を飢えから救うための問題解決に乗り出した。最終的に彼は違法な闇市場取引のネットワークを構築し、必要な物資を銀河系からサンダリへの密輸に頼るようになったのだった。だがその過程で、彼も欲望と腐敗の危険に直面した。人々を救おうとしていたアルメックは、ムーガンの密輸業者たちに毒入りのお茶を流通させることを許し、サンダリの罪のない子供たちを苦しめるという結果を招いたのである。さらに彼はこの事実を隠すため、長年の友人であり同盟者だったサティーン公爵を裏切り、彼女とその若き甥を拷問することで自らの平和主義の信念をも踏みにじったのだった。