ダーガ・ベサディ・タイ
(ダーガから転送)
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通常のハットよりさらに一回りも巨大な体をした醜悪な犯罪王ダーガ・ベサディ・タイは、ハットの犯罪シンジケートの1つとして知られるベサディ氏族の長、偉大なアラクの息子である。その巨体のため、もはや自分の力で動くこともままならず、常にリパルサーリフトを頼って移動していた。また、ナル・ハッタの宮殿では奴隷娼婦や巨大な体を扇ぐ召使いなど、多くの取り巻きたちに囲まれていることが多かった。
経歴
顔に大きなあざを持って生まれたダーガは、氏族の有力者たちからハットに禍をもたらす存在であると罵られていた。彼らはアラクに息子の殺害を勧めたが、アラクはダーガを溺愛し、ベサディの後継者として譲らなかった。そのためダーガも父親に深い愛情を抱いており、一方で自分の死を望んだ親族たちに強い不信感を募らせていた。
ダーガがおよそ100歳を迎えた頃、帝国による圧政に対して反乱の灯火が立ち上がると同時に、ハットのベサディ氏族とデシリジク氏族による対立も激化の一途を辿っていた。デシリジクの長ジリアクとその甥であるジャバは、ベサディの主要な収入源となっているイリーシアの奴隷事業を壊滅させようと目論んだ。彼らはアラクとダーガに不満をもつイリーシアの最高位司祭テロエンザを抱え込み、アラクの毒殺に成功する。最愛の父を失ったダーガは、これがデシリジクによる陰謀であることを確信していた。しかし、何も証拠が得られず、ついに彼はブラック・サンの首領プリンス・シーゾーに事件の解明について協力を求めたのである。
アラクの死の反響は予想以上に大きかった。醜いあざを持つダーガをベサディの後継者として認めようとしないハットたちが、一斉にダーガに反対姿勢を示したのだ。ダーガはここでもブラック・サンと接触し、反対勢力の一掃を依頼している。こうしてベサディのダーガに反対するハットたちは次々と不可解な死を遂げていき、一方のシーゾーもダーガに恩を売ることでハットの犯罪シンジケートを巧みに利用していたのである。やがてコルサントで分析されていたアラクの遺体からついにテロエンザによる毒殺の証拠が発見されると、ダーガはテロエンザとジリアクとの接点を突き止め、ジリアクに決闘を挑んだ。その結果ジリアクは死亡し、デシリジク氏族はジャバのものとなる。しかし、その直後には反乱軍によるイリーシアの解放作戦が行われ、ベサディ氏族はイリーシアの奴隷事業を完全に失ったのだった。
いくつものビジネスを失い、シーゾーに巨大な借りを背負ったダーガは、もはやブラック・サンにヴィゴとして仕えざるを得なかった。しかし、彼はダーク・プリンスから多くを吸収し、再び犯罪社会での権力を握ろうと暗躍することになる。表面上、彼は組織の政治的権力を楽しんでいるように見えるが、希にシーゾーの命令に反抗することもあり、他のヴィゴたちをシーゾー打倒に奮起させる秘密の計画をも目論んでいたのだ。事実、部下たちにも他のヴィゴの部下に対して反乱の種を巻かせていた。しかし、彼らのシーゾーに対する尊敬と恐怖は根強く、多くの幹部たちは組織への忠誠心を失っていなかった。
しかし、ダーガと同じくヴィゴの1人だったグリーンは簡単に操ることができた。シーゾーへの反逆を企てたグリーンは純粋に自分の野望を果たすために行動していると信じていたが、ダーガは慎重に彼を刺激し、万が一失敗しても自分が無関係だと思われるよう十分な距離をおいていたのである。彼は自分の陰謀が明るみに出ることを恐れており、常に自分がシーゾーの控えめな部下を演じていることを確認していたのだ。
ブラック・サンにおけるダーガの通常の役割はハットの犯罪王との接触だった。彼はハットの衛星ナー・シャダーを通過する密輸ルートに太いパイプを持っており、また、ハットが支配するクラトゥイニアンの貿易ギルドとも同盟を結んで活動していた。他のヴィゴたちは、ダーガがシーゾーや仲間のハットに対して強固な忠誠を維持していることをよく疑問視していたが、彼が自分自身にしか本当の忠誠を誓っていないことは紛れも無い事実なのである。
そしてシーゾーの死から9年後、ダーガは邪悪な野望を達成させるための一大計画を実行に移す。それは、惑星をも破壊可能なスーパーレーザーを持つ究極兵器を建造し、新共和国を脅迫しようというものだった。ダーガは元帝国軍の科学者ベヴェル・レメリスクを見つけ出し、計画への協力を取り付ける。さらに彼は亡きジャバ・ザ・ハットの宮殿から帝国軍で使用されていた秘密コードを発掘し、コルサントのインペリアル・パレスからデス・スターの設計図を盗み出すことに成功する。ダーガの犯罪組織は鉱物資源の豊富なホスの小惑星帯に基地を構え、ダークセイバーと名付けた超兵器の建造を開始したのだった。
時同じくしてダーラ提督率いる帝国軍が大反抗計画を開始しており、2つの敵の出現に新共和国は窮地に立たされる。そのなかでダークセイバー計画の調査を命じられたクリックス・メイディーン将軍が、部下を率いてホスへと向かった。しかし、メイディーンは部下の不注意によってダーガに捕らえられてしまう。処刑の際、ブラスターで彼の胸を撃ち抜いたのはダーガ自身だった。
しかし、ダークセイバー計画は意外な形で幕を下ろすことになる。自分の計画に酔いしれたダーガは、あらゆる欠陥の存在を信じようとしなかったのだ。事実、建造工事は手抜きだらけであり、レメリスクはそのことを何度も警告するが、ダーガはまったく聞く耳を持たなかった。自分の力を過信したハットの犯罪王にかつての精細さは微塵もなく、欠陥だらけのダークセイバーで小惑星帯からの脱出を命じたのだった。結果的に旋回すらできない超兵器は巨大な小惑星に衝突し、ダーガもろとも小惑星帯の塵と消えたのである。