シーゾー
(プリンス・シーゾーから転送)
| ||||||||||||||||||||||||||||||
|
シーゾーは、シズラン王室のファリーンの王子であり、有力な犯罪組織ブラック・サンの首領でもあった。シーゾーは都市惑星コルサントを本拠地とし、上級社会で冷酷な犯罪者としての顔と公に向けたカリスマ的な顔を使い分けていたのである。彼がファリーンを離れてるときに滞在していた宮殿は、インペリアル・パレスに程近く、やや壮大さに欠けるものだった。
ホスの戦い後、シーゾーはパルパティーン皇帝やダース・ヴェイダーと並び、銀河系で最も影響力のある人物の1人に数えられていた。彼の想像を絶する富は、謎めいた冷酷なヒューマン・レプリカ・ドロイドの暗殺者、グリの手を借りた秘密の犯罪取引に支えられていたのである。
目次 |
経歴
初期の人生
シーゾーは惑星ファリーンの裕福な王家の子息として誕生したファリーンの王子である。銀河共和国の晩年、シーゾー輸送システムズ社のトップにして、既に莫大な富を築いていた彼は、若年のころから明らかな浪費家として知られていた。彼は惑星コルサントの大都市の中心部、大統領宮殿の東に巨大な宮殿を作り上げるため、かつてのファーフォーラ摩天楼を完全に破壊し、その基礎としたのである。
クローン大戦の時代には、シーゾーは既に犯罪組織ブラック・サンの上層部に上り詰めており、この銀河抗争の終結を辛抱強く待っていた。そしてついに戦争が終結すると、シーゾーは新しい支配者、パルパティーン皇帝と素早く密接な関係を築きはじめたのである。
ブラック・サン
銀河系最大の犯罪組織ブラック・サンは銀河帝国の影の部分に潜み、その力を絶大なものに成長させていった。しかし、その存在を知る者は帝国の高官や大企業の幹部といった特権階級にいる者に限られており、公式にはすべてが闇に包まれていたのだった。そして、この事実はブラック・サンの繁栄にとっても非常に有益に働いていたのである。
ブラック・サンの力と影響力はクラトゥイーンの貿易ギルドとして知られるプルーヴォ2-4-1やジャバ・ザ・ハットの組織などとは比較にならず、同様な組織は限られた地域での活動や明らかに不当な取引きを余儀なくされていた。ブラック・サンはギャンブルや恐喝、密輸、スパイ活動、奴隷売買、スパイス取引など、銀河系におけるありとあらゆる犯罪行為を支配しており、その闇の頂点に君臨する人物こそが巨万の富をもつプリンス・シーゾーだった。彼は反乱同盟軍と帝国軍が互いに傷つき、どちらも真の勝利を得ないことを望んでいた。彼にとって、勝利とは自分にのみ許された特権だったのだ。
帝国はこのような巨大犯罪組織は人間によって支配されることを望んでいたが、エイリアンであるシーゾーはそのカリスマ性と機知に富んだ策略によって自らの力を増大させ、ついにパルパティーン皇帝さえも無視できない存在となり得たのだった。
故郷ファリーンの王室出身のシーゾーは数十億クレジットの資産を誇る超巨大企業シーゾー輸送システムズ社(XTS)の社長としても知られている。銀河系全域で大型コンテナ船や貨物船を管理しているXTSは、裕福な顧客から高価な品物の輸送を請け負うことによって莫大な利益を挙げており、同時にブラック・サンの犯罪行為を影で援助しているのである。
しかし、シーゾーの財産がすべてXTSやブラック・サンに流れているわけではない。彼はインペリアル・センター、すなわちコルサントに多くの衛兵や召使いを集めた豪華な宮殿を構えており、さらにその軌道上には<ファリーン・フィスト>と名付けられたスカイフックも所有している。食事にしても彼は銀河中から貴重な食材を集め、法外な金で雇った最高のシェフに調理させているが、それにも飽き足りずメナライ山脈にモニュメント・パークを見下ろす有名な高級レストランも所有している。
家族を襲った悲劇
彼の父はファリーンの王であり、シーゾーも王子として君臨していた。しかし、彼の目は常に外に向いており、皮肉にもこの銀河系進出への大きな野望が彼の命を救うことになったのである。およそ10年前、ファリーンに設置されていた帝国軍の研究所で大事件が起きた。生物兵器として開発されていた神経破壊バクテリアが流出したのである。このバクテリアに対する救命手段は開発されておらず、ダース・ヴェイダーは「消毒」のためスター・デストロイヤーで軌道上から研究所を破壊するよう命じたのだった。数時間にも及ぶターボレーザーの砲撃によってファリーンの都市は完全に壊滅し、バクテリアもろとも約20万人のファリーンが虐殺されたのである。その中にはシーゾーの両親と兄、2人の妹、そして3人の叔父も含まれていた。もし、彼がブラック・サンの仕事で故郷を離れていなければ、間違いなくシーゾーも殺されていただろう。
帝国の影
その後、シーゾーは二度と故郷に戻らず、家族を失ったことも一切口に出さなかったが、ヴェイダーに対する復讐心だけは決して忘れることがなかった。彼はその権力を利用して帝国の記録から事件に関するデータをすべて削除することに成功し、彼がヴェイダーに恨みを抱いていることは誰にも知られる心配がなくなったのである。
シーゾーはヴェイダーへの復讐を慎重に計画していた。彼はヴェイダーを巧みに揺さぶったが、シスの暗黒卿は強敵であり、まともに戦っても到底勝ち目がないことは十分に分かっていた。シーゾーはルーク・スカイウォーカーがヴェイダーの息子であること、そして皇帝がそのルークを欲しがっていることを知り、このことを利用しようと企んだのである。ルークを先に殺害し、それをヴェイダーの仕業に見せかければ、ヴェイダーは確実に皇帝の信頼を失って失脚することになるだろう。しかし、シーゾーの野望はヴェイダーの失脚だけには留まらず、自らがその地位を手にすることだった。もし、彼がヴェイダーに代わって皇帝に取り入ることができれば、いずれ銀河系全体を支配することも夢ではないのだ。
シーゾーの邪悪な計画を悟ったヴェイダーは、彼がルークの命を狙っていることを示す証拠の収集に全力を上げていた。しかし、皇帝にとってもシーゾーはまだ役に立つ存在だった。彼はヴェイダーをシーゾーから遠ざけ、2人の役立つ「道具」の緊迫したライバル争いを楽しんでいたのである。やがて帝国軍の第2デス・スターの建造が始まると、ヴェイダーがインペリアル・センターを留守にしている間を狙ってシーゾーは皇帝にある重要な提案を行う。それは、反乱軍に故意に第2デス・スターに関する情報を与え、罠に陥れようというものだった。ヴェイダーは猛反対を唱えるが、皇帝はその危険な賭けを気に入り、シーゾーの提案を受け入れたのである。
最期
第2デス・スターの情報を巡るコスリスでの戦いの後、シーゾーの宮殿に捕らえられたレイア・オーガナとチューバッカを救出するため、ルークはコルサントに潜入する。そこでついにシーゾーは若きジェダイと対峙するが、ランド・カルリジアンが宮殿のサービス・シュートにサーマル・デトネーターを投げ込んだため、犯罪組織の本拠地は大混乱に陥った。シーゾーは<ヴィラーゴ>で軌道上のスカイフックに逃れ、反乱軍の戦闘機部隊を掃討するスーパー級スター・デストロイヤー<エグゼキューター>と遭遇した。シーゾーはブラック・サンの艦隊に反乱軍の逃走を阻止するよう命じたが、うかつにもスカイウォーカーの名を送信してしまう。ヴェイダーはその証拠を逃さなかった。彼はシーゾーに降伏勧告を発し、それを無視したダーク・プリンスを滅ぼしたのだった。
人物と特徴
シーゾーは他の種族の女性にも大きな関心を寄せていた。ファリーンの男性である彼は人間型種族の女性を引き付ける強力なフェロモンを発散させることができるが、最大の効果を発揮させるには大きな興奮と集中力が必要とされる。そのため、シーゾーに魅せられた女性は彼の富によるもてなしを存分に楽しむことができても、それ以上の信頼とブラック・サンに関する知識を手にすることはできないのだ。事実、どんなに美しく賢明な女性であっても、シーゾーが1人の女性と数ヶ月以上にわたって一緒に過ごすことはほとんどなかった。その気になれば相手はいくらでも見つかる上に、彼は今まで自分と同等、あるいはそれ以上に知的と思える女性と出会ったことがなかったのである。シーゾーは女性との交際を終えると相手に高価な贈り物、ときにはコルサントに建てられた邸宅などを譲り、二度と自分に近づかないことを誓わせていた。この警告を拒否してなおシーゾーを求める女性がいた場合、その女性は哀れな末路をたどることになるのだ。
シーゾーの支配力を不動のものとしているのはブラック・サンの首領という地位だけではなく、むしろその恐ろしい外観によるところが大きい。ファリーンは長寿命な種族としても知られており、彼も見た目には30歳程度だが、実際には100歳を越えていた。それでも、彼は運動は退屈だが健康を維持するには必要不可欠なことだと考えており、命を狙われる機会が多いことからも、格闘技や射撃の訓練は絶えず続けていたのだった。彼の鍛え上げられた長身で堂々とした肉体と長い弁髪を生やした骸骨のような顔は、それだけで人々を恐怖させ、もはやその力を誇示する必要もなかったのである。