ハイパースペース
(ダークスペースから転送)
| ||||||||
|
ハイパースペース(ユージャン・ヴォングはダークスペースと呼ぶ)は、宇宙船が光速を超える速度での移動を行う際に使用する別状態の時空である。これは科学者にも完全に理解できていない事象であり、パラレル世界、宇宙の他次元、物理空間の代替モデル、あるいは単に光速を超える速度で移動した際に見える世界などと述べられている。
目次 |
技術的背景
通常、あらゆる物体は物理学における相対性原理に従う。すなわち、速度が光速に近づくにつれて質量が急激に増加し、加速するために必要なエネルギーもそれに応じて増加するため、到達可能な速度に限界があるのだ。逆に、タキオン物質は単独で光速以上の速度を有しており、このような限界速度以下の速度で進むことができない。科学者にこの壁を越えさせたものがハイパードライブ・テクノロジーである。この画期的な技術は、光速以下の宇宙船に障壁を越えさせ、光速の何千、あるいは何百万倍もの速度を与えることに成功したのである。
歴史
この原理はヤヴィンの戦いのおよそ50,000年前に、古代ラカタによって初めて発見されたものである。ラカタはフォースを利用したエンジンによって、銀河系規模の帝国を築き上げることができたのだ。ハイパースペースを利用した最初期の創造物(荒廃した惑星の遺跡で発見された奇妙なアーチや物質転送装置など)は、現在のハイパードライブ・テクノロジーを用いても再現することはできない。だが、コレリアンやデュロスは近代テクノロジーを利用したリバース・エンジニアリングによって、ラカタのフォース増幅装置と同等のものを作り上げ、初めての真のハイパードライブを完成させることができた。そのため、広く一般に利用されているにも関わらず、ハイパースペースの本質に関してはほとんど知られていない。一般に受け入れられている理論によると、ハイパースペースは「光速の限界」を回避するために別次元を利用しているのだという。一方で、ハイパードライブは物質をアザースペースや亜空間などの別の世界へ直接導き、超光速を実現しているのだという理論もある。いずれにせよ、現在のハイパードライブ技術者は数多くの複雑な科学的原理を認識しており、この超光速現象の無数の利用法を実現しているのだ。
旧共和国の最初の21,000年の間に、ハイパースペース・ビーコンの発達によってハイパースペース座標が作成された。やがて重力井戸から遠く離れた障害物のない空間にいくつもの宇宙ステーションが設営され、宇宙船はそこで共和国スペースレーン案内所の提供するデータをダウンロードできるようになった。そしてマンダロリアン大戦のころになると、ビーコンの代わりに航法コンピューターが使用されるようになり、ハイパースペース航法がさらに自動化されたのだった。
ハイパードライブの利用
ハイパードライブを使用する際に、宇宙船は定められた所定の作業を行わなければならない。航法コンピューターにコースを入力した後、船はそのコースに適した方向へと動き、ハイパードライブを起動する。その後、船が急激な加速を行い、ハイパースペースにジャンプすると、船内の乗員たちは星が平行線のように伸びる光景を目にすることになる。この加速は船外の者からも観察できるが、船のハイパースペース・ジャンプは爆発的な速度で行われ、船は一瞬にして実世界から消えてしまう。
ハイパースペースに入ると、宇宙船はそれまでいた空間、すなわちリアルスペースから消失する。この擬似移動として知られる現象は、従来の概念とはまったく異なる速度で移動するために生じた爆発的な加速によって発生するものである。ハイパースピードのもとでは、世界全体が青く揺らいだ超高速の「トンネル」へと縮められ、通常の走査や探知の手段から船を効果的に隠蔽してしまう。
船のハイパードライブの操縦は(例としてT-65 Xウィング・スターファイターの場合)、航法コンピューターに座標を手入力または無線送信を受信することによって与えることで行われる。ローグ中隊などではこの送信による方法を使用していたため、任務中は全員が同じ座標を手にすることができた。座標計算はやや危険な作業である。ハイパースペース中でブラックホールや恒星に接近しすぎると、移動者はそれらの重力によってハイパースペースから引きずり出されてしまうのだ。そのため、星系内でのハイパードライブの利用はほとんど行われていないが、戦略的に敵を奇襲する際に使用されることもある。
ハイパースペース航法は難解なため、よく利用される航路は居住者のいる星系に近接している。問題が発生した場合でも、近隣惑星との通信ができれば困難な状況を解決するための大きな助けとなるのだ。通常、こうした問題は座標計算のミスやデータベースに(恒星の消滅や誕生などの)最新のデータが入っていなかった場合などに起こりうる。誤った場所でリアルスペースに再突入した船を発見することは不可能に近く、多くの人々はその事実をカタナ艦隊の遭難事故から学んでいるのだ。
危険性
光速の何倍もの速度で航行することには多くの危険が伴う。この状態での衝突や接触は致命的な結果を招くことになり、特に重力の影響によって引き出された宇宙船は破壊されてしまうこともある。そのため、航路は「質量の影」、すなわち巨大な天体の重力井戸を外して設定しなければならず、このことは世代を通じて多くの方法で研究されている。ハイパースペース航路は惑星の質量を後方の壁として引かれることが多く、ハイパードライブの安全装置も航行可能地点から外れると自動的に船を停止させるのだ。
重力発生装置は、天体の重力を偽装することで部分的にハイパースペース航法を阻止する人工的なインターディクション・フィールドを生成することができ、これによってハイパースペースを航行中の敵を引きずり出したり、戦闘中における光速での逃走を阻止することができるようになる。海賊などのそれほど資金力のない組織は、重力発生装置や宇宙船による方法の代わりに、巨大な小惑星(または準惑星)を交易ルートへ引き寄せ、輸送を阻止するための手段や一時的な基地、あるいは敵による攻撃を防ぐシールドとして使用している。
また、ブラックホールは常に脅威的な存在である。少なくとも年に数隻の船がいくつかのブラックホールとの不慮の遭遇によって遭難しているのだ。このほぼ無限大の重力井戸は近づきすぎた船に悲劇的な結果をもたらすことになる。
船のシールド面の外側、すなわちハイパースペースそのものは、リアルスペースに住むあらゆる種族にとって致死的な空間である。ハイパースペースを航行中の船のエアロックから放り出された者は、リアルスペースの真空に晒される以上に容易く死にいたってしまうのだ。
宇宙船の観測デッキから長時間にわたってハイパースペースを眺めているだけでも、観測者はハイパー=ラプチャーと呼ばれるある種の錯乱状態に陥ってしまう。しかし、ダース・ヴェイダーは絶えず変化する光の渦巻き模様を好んで眺めていた。ただし、高次元の世界を眺めることは原則として良くないこととされているため、帝国軍の標準的な操艦手順では、ハイパースペース航行中はトランスパリスチールを不透明にすることになっていた。
センサーおよび通信装置の効果
航法上の危険に加え、ハイパースピードで航行中の宇宙船との交信にも根本的な困難が存在する。ハイパースペース内の船は従来の観点では存在しない物体であるため、ラジオや亜空間通信から完全に切り離されており、たとえ船に到達したとしても、あらゆる信号波長が大きく歪められてしまうのだ。ハイパーコムの信号であればハイパースペース内の船にも到達可能だが、船の航路の出発点または終着点から送信された信号であるか、あるいは同じ航路を航行中の船同士で送受信された信号でなければ、この方法でも交信することは非常に困難である。
また、交信における問題と同じ困難がセンサーにも存在する。ハイパースペース内で船にセンサーをロックした状態を維持することは不可能に近く、そのため敵と遭遇した際に光速で脱出することは極めて堅実な逃走手段となる。追撃を可能にする唯一の選択肢は、一般に標的が残した最後の航跡からいくつかのコースを算出し、船が適切なコースでハイパースペースを離脱するであろう場所の推測を試みることである。ただし当然のことながら、多くの船は追跡を逃れるために短いジャンプを行い、続けて敵が到達する前に目的地へ向けた長いジャンプを行うため、これは成功率の低い方法である。最良の選択肢は敵の船に自動追尾装置を取り付けることだが、長距離ではホロネットを装備した追跡装置でなければ役に立たず、しかもこれらは極めて高価なのだ。
ハイパースペース航行に関連した興味深い現象にクロノー放射と呼ばれるものがある。これは船がハイパースペースを出入りする際に生じる、短いながらも強力な放射性爆発であり、多くの場合は通常のセンサーの走査範囲外だが、数光秒先から一列に正確に並べられたセンサーによって検出することができる。ホスの戦いにおいて、オゼル提督が<エグゼキューター>への指示を誤り、星系の外側から密かに近づかずに接近しすぎてからハイパースペースを離脱したとき、反乱同盟軍はこの方法によって攻撃に備えることができたのだった。
通信
ハイパースペース航行は、銀河系の端から端までを結びつけるハイパースペースの主要な利用法だが、これが唯一の利用法というわけではない。ハイパーコム・テクノロジーはハイパースペースを通じて旧来の亜空間送受信装置よりはるかに高速かつ長距離の信号パケットを送信することができ、これを用いることでハイパードライブを搭載した宇宙船を大幅に上回る速度で通信を行うことができる。また、ホロネットは銀河系全域に膨大な量のデータを再送信するために相互接続されたハイパースペース・ビーコンのネットワークを利用することで通信可能範囲をさらに広げ、事実上任意の送信者間で即座に完全なホロ通信を行うことを可能としている。銀河帝国のもとではホロネットの利用は厳しく規制されており、新共和国のもとでもこのネットワークは膨大な維持費を必要としていたため、通常は政府の要人や裕福な人々の対面接続に限定して利用されていた。しかし、ニュース、エンターテイメント、その他の広範囲におよぶ放送は銀河系全域に送信され、各セクターの亜空間ネットワークに繰り返し送信されていたため、高価なハイパーコム・システムを持っていなくても、銀河社会のあらゆる階層の人々の目に触れることができたのである。
ナビゲーション
質量の影による危険(海賊による略奪を含む)があるため、ハイパースペース航路は細心の注意を払って算出される。光速の何倍もの速度での航行に反応できる人々は、強力なジェダイを除けば極わずかであり、旧来のセンサーや通信装置では光速以上の速さで情報を受信することができない。別次元で光速を超えて機能する亜空間センサーでさえ、ハイパースペース航行の莫大な速度のもとでは走査を継続させることができないのだ。そのため、航法コンピューターには航路上の天体に関する正確かつ高度な知識が要求される。これらの装置には詳細な星図が搭載されており、ジャンプが行われる前にある地点から別の地点へ行くための星間航法の計算を素早く行う能力が備わっている。
パイロットたちには航法コンピューターをうまく操作するための星間航法に関する基本的理解が要求されるが、ハイパースピードでの航行に必要な複雑な物理方程式を知る必要はない。ただし、ギヴィンやシニティーンなどの一部の種族はこの方程式の計算を自分の頭の中だけで行ってしまうため、コンピューターの助けを必要としない。また、星系はゆっくりと銀河系の中を移動しており、恒星も爆発と生成を繰り返しているため、コンピューターの内部に搭載された星図ライブラリは定期的にアップデートする必要がある。献身的な探検者や星図作成者は最初の宇宙レーンが開拓された1,000年後にはすでに存在していた。多くの宇宙旅行者は昔から存在するよく知られた交易ルートを使用するが、こうしたルートでは海賊や天体による妨害が最小限に維持されていることが保障されており、機器の不調があっても近くに助けを求めることができる。また、航行時間も正確に予測できるのだ。
ハイパースペース航行時間
一般に2つの惑星間を移動する際に必要なハイパースペース航行時間は両者の距離によって決定されるが、互いに接近しているように見えても、小惑星帯や星雲などの星間障害を迂回する必要があると、その時間は劇的に増加する。
こうした状況の一例はコルサントとオルデランの間の移動である。距離的にはオルデランはコルサントに非常に近いが、その航路上には恒星が密集し、更にその重力井戸によってナビゲーションが困難となる広大な未開のディープ・コアが存在するため、実に16時間におよぶ航行が必要となる。したがって皮肉にも、コルサントからオルデランへ向かうより、銀河系の反対側に位置するタトゥイーンからオルデランへ向かう方が実際にはより早く到着できるのだ。
航行時間 d=days h=hours |
ベスピン | コレリア | コルサント | ダゴバ | ダントゥイーン | エンドア | タトゥイーン |
---|---|---|---|---|---|---|---|
オルデラン | 8h | 6h | 16h | 1d 6h | 13h | 18h | 7h |
ベスピン | — | 6h | 16d 14h | 1d 3h | 22h | 1d 8h | 16h |
コレリア | — | — | 4h | 1d 7h | 12h | 17h | 4h |
コルサント | — | — | — | 12d 4h | 19h | 6d 12h | 22d 14h |
ダゴバ | — | — | — | — | 1d 8 h | 4d 1h | 1d 4h |
ダントゥイーン | — | — | — | — | — | 21h | 20h |
エンドア | — | — | — | — | — | — | 1d |