モン・モスマ
(モスマから転送)
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反乱同盟軍の指導者であるモン・モスマは、銀河系の再編を切望していた。彼女が他の指導者たちと決定的に異なる点は、自らの権力に堕落しないことだった。
解説
旧共和国の裁判官の娘として生まれたモン・モスマは、幼少のころから父が様々な紛争を解決する姿を見て育ち、外交と気転、妥協の重要性を学んでいった。また、彼女の母は故郷の惑星チャンドリラの総督であり、彼女はモスマに組織化とリーダーシップの手腕を教え込んだのだった。彼女の両親は共に知的かつ公正で、心の優しい人物だったが、自分たちの信念に対しては断固たる決意を持っていたのである。
やがて大人になったモスマは、両親と同じ信念から共和国元老院議員の道を歩みだし、史上最年少の若さでコルサントへの進出を果たした(この記録は後にレイア・オーガナ議員によって塗り替えられることになる)。血気盛んなモスマ議員は、議会でもパルパティーン議員をはじめとする大物政治家たちと堂々と論争を繰り広げ、ついには周囲の反対を押し切って保守派の主席元老院議員の地位にまで上り詰める。オルデラン選出のベイル・オーガナ元老院議員も、モスマの主要な対立相手の1人だった。オーガナの現実主義と皮肉な言動が、若いモスマの理想主義的な考え方と見事に衝突したのである。しかし、銀河系がクローン大戦の時代を迎え、パルパティーン最高議長が強大な権力を自らに集中させていくと、彼の野望を阻止しなければならないという点で、2人の意見が一致した。ついにはオーガナも道義心の強いモスマの重要性を認め、彼女の力強い支援者となったのだった。
クローン大戦末期、パルパティーン議長が宙域総督のシステムを導入し、元老院の政治的影響力が急速に失われていくと、議長に対するモスマとオーガナの疑念は確信へと変わっていった。彼らはチー・イクウェイ、パドメ・アミダラ、ファング・ザーら、数名の議員と密かに会談し、パルパティーンに反対する2,000名の議員の署名の入った嘆願書を提出することを決めた。彼らは議長に対して宙域総督たちの解任と、非常時特権の元老院への返還を要求したのだ。しかし、この計画は失敗に終わり、戦争の終結とともに共和国は帝国へとその姿を変えてしまった。モスマとオーガナは次の行動に出る機会を残すため、表面上はパルパティーン皇帝への支持を表明するが、元老院内の皇帝支持派議員たちは、モスマやオーガナ、そしてコレリア選出のガーム・ベル・イブリス元老院議員といった反対勢力の活動をことごとく押さえつけていったのである。
その後、モスマとオーガナはカンザム・ハウスで一連の会合を行い、帝国に対する反乱勢力を築き上げることで合意した。彼女は秘密裏に小規模な反乱グループへの資金提供を行い、その一方で彼女の政敵を演じるオーガナが、彼女を影から支援していたのである。こうしてモスマは反乱勢力の組織化を開始したが、やがてその活動も帝国保安局の知るところとなってしまった。しかし、オーガナの助力によって彼女は辛くも窮地を脱し、帝国保安局のエージェントが到着する直前に、コルサントからの亡命に成功したのだった。
帝国のお尋ね者リストの筆頭に名を連ねることになったモスマは、数年間におよぶ逃亡生活の間も、各地のレジスタンス勢力と積極的に会合を開き、反乱同盟軍結成の利点について説明を行っていた。そして、より力強い反乱組織を築くために統一されたリーダーシップを求めるベル・イブリスの誘いに応じ、彼女はコレリアン星系で行われた極秘の会合に参加した。このとき締結されたコレリアン協定によって3つの主要な反乱勢力が1つに団結し、同様に数多くの小規模グループも吸収されていったのである。
モン・モスマはその優れた直感によって瞬く間に反乱同盟軍の第一の指導者となった。彼女は様々なグループが帝国と戦う際の役割分担に自分の能力を発揮し、同時に優れた通信手段、迅速な決断、そして資金や軍需品、車両、兵器などの入手にも大きく貢献した。また、彼女は人々を自由へ奮起させることにも大きな力を注ぎ、優れた外交手腕によって、個人や企業、辺境の惑星などに反乱軍への参加を呼びかけていった。反乱軍では2年毎にメンバーの投票によって最高指導者を決定することになっていたが、モスマは一度も対立候補を迎えることなく、その地位に留まっていたのである。そして反乱同盟軍の体制が磐石のものとなると、彼女はついに力強い文体で「反乱の宣言」と呼ばれる声明文を書き起こし、それをパルパティーン皇帝に送り付けた。彼女はこの文章の中に皇帝による無数の犯罪行為を列挙して彼を糾弾し、反乱同盟軍の敵対姿勢を鮮明にしたのである。これによって、さらに多くの星系が同盟軍に加わったのだった。
その後、デス・スターによってオルデランが破壊され、ベイル・オーガナがこの世を去ると、反乱軍内部でモスマと対等の権力を持つ存在はガーム・ベル・イブリスただ一人となった。だが、このころから2人の関係は急激に悪化し、同盟軍の統率にまで影響が及ぶようになっていく。1人で独走するモスマを見たイブリスは、彼女が皇帝に取って代わろうとしているのではないかという懸念を抱くようになったのだ。だが、モスマにも彼に真実を納得させることはできなかった。そして、彼女がミルヴェインにある帝国軍の駐屯基地への攻撃を命じたとき、ついにイブリスは彼女の命令を拒否して多くの部下と共に同盟軍を離脱してしまったのである。
同盟軍最高指導者であり、同盟軍による仮想市民政府の国家元首でもあるモン・モスマにとって最も重要な使命は、同盟の結束を維持することだった。彼女は同盟軍が日増しに力を強くしている一方で、未だに極めて壊れやすい存在だということを十分に理解していた。たった1つでも決定的な損失を与えられれば、反乱軍は壊滅してしまうのだ。しかし、議員時代から「運命の預言者」と呼ばれていたモスマの助言によって、反乱軍は勝利の可能性が敗北の危険性をはるかに上回っている場合にのみ、戦うことができたのである。
やがて、反乱同盟軍はエンドアの戦いにおいてついに帝国を打ち倒したが、モスマは軍国主義化した同盟軍を十分に機能的な政府へと転換させるという困難な作業に直面していた。彼女は新共和国樹立へ向けた第一歩として、一連の外交会議からなる銀河議会を設立した。そして、新共和国が発足すると、彼女は初代国家元首に就任し、初期の成長期に経験した様々な脅威から新政府を守ることに貢献したのだった。しかし、ダーラ提督との戦いの最中に帝国支持者のファーガン大使によって放たれた未知の病原菌、ナノ・デストロイヤーに侵されたモスマは、死の床に就き、元首の座をレイア・オーガナ・ソロに譲ることになった。彼女はジェダイの治癒者シルガルによって死の病から解放されたが、もはや政治の世界の第一線に立つ力は残されていなかった。モスマは彼女にとって人生そのものだった政界から引退し、レイアへの良き助言者として余生を過ごすことになった。やがて新共和国と残存帝国軍との間で歴史的な和平協定が結ばれたが、モスマはその数年後、波乱の人生に静かな幕を下ろしたのだった。