ハン・ソロ
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解説
幼い頃に両親に捨てられたハン・ソロは、コレリアの路地で海賊ギャリス・シュライクに拾われ、彼の船<トレーダーズ・ラック>で働きながら奴隷同然の生活を送っていた。ときには物乞いとして街頭で小銭を稼がされ、ときにはスリを働いて上流階級の貴族たちから大金を盗ませられていたのだ。実際、ハンは自分の本当の名前も知らなかった。彼自身は自分の生い立ちを知りたがっていたが、シュライクは真実を一切明かさず、ハンを完全に所有物のように扱っていたのである。唯一、彼が自分との血縁を発見したのは、シュライクの命令で泥棒に入った家が偶然にも彼の従兄弟であるスラッカン・サル=ソロのいる屋敷だったということだけだった。だが、そのサル=ソロも冷酷非情な男であり、ハンの孤独な思いが救われることは無かったのだ。
ハンは同じように雇われていた同世代の少年たちと比べ、群を抜いて活発で頭のいい少年だった。ときおり潜り込んでいた学校ではガーム・ベル・イブリス元老院議員を驚かせるような質問をしたこともあり、またシュライクの金稼ぎのために出場していたスウープ・レースでは英雄的な活躍を見せていた。そして19歳のとき、彼はついに<トレーダーズ・ラック>から脱走することに成功し、新しい人生を歩み始めたのである。
宇宙船の操縦には自信のあったハンは、パイロットの募集広告を頼りに宗教惑星イリーシアへと向かい、トランダ・ティルの最高位司祭テロエンザに雇われることになった。彼はこの大気が荒れ狂う熱帯惑星で見事な操縦を見せ、ときには海賊をも撃退し、英雄として扱われるようになった。しかし、イリーシアはハットのベサディ氏族によって管理された惑星であり、その実態は信徒たちを奴隷として洗脳し、スパイスの精製に従事させるスパイス製造工場だったのだ。真実を知ったハンはトランダ・ティルたちに大きなダメージを与え、この惑星を脱出したのである。
その後コルサントにわたったハンは、カリダの帝国アカデミーに入学を果たした。彼はアカデミーを優秀な成績で卒業し、その後もキャリアを重ね、帝国宇宙軍司令官への出世コースは約束されたも同然だった。しかし、そんな彼の人生を変えたのは、他ならぬ彼自身の良心だったのである。ある日、彼は帝国軍の奴隷収容施設で1人のウーキーが鞭打たれている姿を目撃してしまった。そして、彼は自分の良心に基づく衝動でそれを止めてしまった。帝国の法律ではウーキーをはじめとするエイリアン種族の奴隷売買は合法とされており、ハンはその法律を守る立場にあったにも関わらず、奴隷を解放してしまったのである。法廷で有罪判決を受けた彼はその代償として軍籍を剥奪され、再び放浪を余儀なくされてしまった。一方、彼に助けられたウーキーのチューバッカはハンに「命の借り」と呼ばれる、生涯の忠誠を誓ったのだった。だが、すべてを失ったハンは自分の行動を誇りに思うことができなかった。
密輸業者に落ちぶれたハンは取るに足りない仕事で生計を立てていた。チューバッカはそれでも「命の借り」を返すべく、ハンについて回っていた。ハンはそんなチューバッカにいらつきを覚えていたが、数々の苦難を共にするにつれ、2人の間には大きな友情が芽生え、ついに彼はチューバッカの忠誠を受け入れた。そして2人は良き友人、そして良き相棒となったのである。ハンとチューバッカは帝国軍の追跡から逃れ続け、そしてハットの権力争いなどに巻き込まれながらも数年にわたって共に密輸の仕事を続けていた。なかでもケッセルでしか採ることのできないグリッタースティムの密輸は、2人にとって重要な収入源だった。ある日、ハンは悪名高きジャバ・ザ・ハットからグリッタースティムの密輸を依頼された。しかし、ケッセルで密輸の手引きをしていたモルース・ドゥールの裏切りによって、彼の愛機<ミレニアム・ファルコン>は帝国軍の密輸監視船の検問に見つかってしまった。彼は仕方なく密輸品のスパイスを宇宙空間に放棄し、結果的にジャバにとても返すことの出来ない多額の借金を背負うことになったのだった。
ジャバの怒りを買い、途方にくれていたハンに救いの手を差し伸べたのは、オビ=ワン・ケノービと名乗る老人だった。モス・アイズリーの酒場で、オビ=ワンは彼に17,000クレジットもの報酬でオルデラン行きのチャーターの仕事を持ちかけてきた。ハンはこの仕事に飛びつき、ジャバに返済の約束をすると、オビ=ワン、ルーク・スカイウォーカー、そして2体のドロイドを乗せてオルデランへと旅立った。しかし、ハンを待っていた運命は意外なものだった。オルデランは既にデス・スターと呼ばれる帝国軍の新兵器によって破壊されており、彼はオビ=ワン、ルークらと共に戦いへの道に進むことになった。反乱同盟軍の指導者の1人レイア・オーガナ姫を救出した彼らは、デス・スターの弱点を突き止め、それを破壊することに成功した。こうしてハンとチューバッカは反乱軍の信頼を得て、その後3年にわたって彼らと行動を共にすることになった。一方、ハンに逃げられたジャバは彼の首に法外な賞金を懸けており、賞金稼ぎたちもハンを捕らえるべく銀河を徘徊していたのである。
惑星ホスに秘密基地を構えていた反乱軍は、帝国軍の攻撃を受け、撤退を余儀なくされた。いつしか恋に落ちていたハンとレイアは共に<ファルコン>でホスを脱出したが、ダース・ヴェイダーの執拗な追跡によって追い詰められてしまった。ついにベスピンのクラウド・シティに辿りついたハンたちであったが、旧友ランド・カルリジアンの裏切りによって、ヴェイダーに引き渡されてしまった。彼らはルークを誘い出すための囮だったのである。ヴェイダーはハンをカーボン冷凍し、賞金稼ぎのボバ・フェットに身柄を渡したのだった。
フェットが彫像と化したハンをタトゥイーンへと連れて行くと、ジャバはそれを大変気に入り、宮殿の壁飾りとしたのだった。しかし、ハンは1人ではなかった。その1年後、彼との友情で結ばれた仲間たちはジャバ一味を滅ぼし、彼を救出することに成功した。そして、ハンは再び反乱同盟軍に将軍として迎え入れられ、帝国軍との戦いに協力することになったのだ。レイア、チューバッカらと共にエンドアに潜入したハンは見事に第2デス・スターのシールド発生装置を破壊し、反乱軍を勝利へと導いたのである。
その後、銀河は新共和国の時代へと移り、ついにハンはレイアと結婚することになった。帝国軍の残党や、新たな悪の軍勢との戦いは続いていたが、彼らはスローン大提督との戦いの最中にジェイセンとジェイナを、蘇った皇帝との戦いの最中にアナキンを授かった。ジェダイの素質を強く持つ3人の子供たちは叔父のルークが指揮するジェダイ・アカデミーでフォースの手ほどきを学び、たくましく成長していった。
一度は軍籍を引退したハンだったが、新共和国の高官たちは彼の才能と資質を高く評価しており、その後も幾度と無く彼を戦いに引きずり出していた。一時はみすぼらしい密輸業者だったハンも、いまや銀河系の平和を維持するために欠かすことの出来ない存在となっていたのだった。