モフ
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歴史
帝国のモフの起源は旧共和国の晩年、パルパティーン最高議長が非常時大権を用いてセクター総督法を発令し、銀河系全域に宙域総督を配置したときにまでさかのぼる。彼らは総督をより一般化した存在と見なされていたが、モフの称号は旧共和国と共に成長する小帝国の支配者への褒章として、パルパティーンから特別に与えられたものだった。この法令はパルパティーンのその後の野望、すなわち帝国における支配力の確立へ向けた道筋を示しており、アトリシアのような古代君主制の栄光と栄華の復活として明確に表現されていた。各モフは帝国顧問に報告を行うが、そのコピーはパルパティーンにも直接届けられていたのである。
しかし、初期のセクター総督法が制定されたのは共和国の時代であり、銀河元老院では二千名の嘆願署名という大きな反響として即座に警告が巻き起こった。パルパティーンは元老院の抵抗を政治的中枢における最も危険な敵対者の特定と排除のために利用しただけだったが、議会のはかない抵抗や、クローン大戦終結に伴う重要な政務、ジェダイの粛清への着手などによって最初のモフたちの任命は延期され、彼らの就任は新秩序の公布と銀河帝国の樹立から数週間後となったのだった。
セクターごとにモフを任命するという考え方は、共和国を太古の昔に1,000のセクターへ分割し、各セクターに元老院議員と地元議会を持たせたことと明らかな関連性がある。だが、最初のモフたちには議員たちが担当する宙域よりもかなり広い範囲を支配する権限が与えられていた。たとえば、セクター3のモフはハーラ・セクターのビミッサリに本拠地を置いていたが、彼の担当宙域はマイタラノア・セクターのキャッシークにまで及んでいたのである。この広大な空間は、共和国グランド・アーミーにおける20のセクター軍の活動範囲とほぼ一致していた。新しく編成された帝国艦隊がモフの指揮下に置かれたのもこのときであり、ごく少数の上級官僚の1人にはドレッドノート艦＜アイ・オブ・パルパティーン＞の指揮権も与えられたのだった。
ヤヴィンの戦いの直前に帝国元老院が解散された時点で、既知の歴史的に重要な1,000セクターの大半にモフが割り当てられており、銀河系における帝国の支配を確実なものとしていた。しかし、この間にもシステムには多くの改変がなされ、なかでも最も大きな変更点はオーバーセクター、あるいは最重要セクターとして新しく分類された宙域を統治する高位の総督、グランド・モフが創設されたことである。セスウェナ・セクターのモフ・ウィルハフ・ターキンによって提案されたこれらの宙域は、反乱同盟軍の活動や情勢不安によって従来のモフたちでは対処できないと考えられるようになった銀河系領域であり、その内部では軍事力、準軍事力、司法権の大幅な増強の牽制によって統治機構を強化するべきと考えられていた。最重要セクターには初期のモフたちが担当していた広大なセクターと同様の規模があり、モフたちが割り当てられた既存のセクターを多数内包していたが、それらはもはや新設されたオーバーセクターに従属する存在でしかなかった。たとえばインペリアル・センター・オーバーセクターはコアの大半を含んでおり、ターキンのオーバーセクター・アウターは実質的にかつてのアウトランド・リージョン全体を包含していた。また、ブライト・ジュウェル・オーバーセクターはリムのもう1つの広大な領域を含んでいた。
しかし、すべてのオーバーセクターがこうした過程を経て作られたわけではない。モフが単純にグランド・モフへ昇格し、既存セクター内の脅威に対処する追加資源を与えられる場合もあれば、いくつかの隣接セクターにまたがるトラブルの多い領域がモフの支配から切り離され、グランド・モフの統治下にある新しい最重要セクターに編入されることもある。場合によっては、単一の既存セクターがオーバーセクターに昇格し、いくつかの新しいセクターに分割されることもあった。実際に、タパニ・セクターでもこのような分割が計画されていたが、エンドアの戦いが勃発したことで実現せずに終わったのである。
グランド・モフの創設によって生じた階層化と同様に、旧共和国時代のセクターよりも小さな宙域を支配するためのモフが任命されたことによって、宙域総督の組織に複雑さが増していった。プラキスのような要塞惑星には独自のモフが割り当てられており、一方でインペリアル・センターでは惑星政府の閣僚さえもが独自の権限においてセクターとして組み込まれていた。モフ・カディア率いる惑星警備隊もその1つである。
エンドアの戦い後、わずかなモフやグランド・モフたちが帝国の支配権を巡る内戦の主役として大きな力を持つようになった。このとき最も強力なセクター艦隊とクエライ・オーバーセクターを支配していたのは、帝国宇宙軍司令官の1人、ズンジ提督である。一方で、ターキンの後継者、グランド・モフ・アーダス・ケインは抗争に加わらず、アウター・リムにおける自らの支配拠点の防衛に専念していた。モフたちによる最初の大きな行動は、グランド・モフ・ヒッサが主導した最重要セクターの総督たちによる機を逸した連携であり、彼らはこれをグランド・モフ中央委員会と呼んでいた。彼らはいくつかのオーバーセクターの力を集結させることができたが、帝国の他の宙域で勝利を収めるにはリーダーシップと自分たちの階級の正当性を外部に示す必要があることを認識していたのだった。
それでも中央政府の力が衰えるにつれてモフたちの動きは徐々に目立ち始め、集団行動の成果が発揮されていった。ヤヴィンの戦いの8年後には、多数のモフが帝国統治評議会の残党に加わり、宇宙艦隊総司令官としてスローン大提督を支持した。また、その2年後にはモフとグランド・モフたちが統治評議会に対し、共同で新しい皇帝を選出する権利を要求した。そしてさらに2年後までに、統治評議会の残党もついに内部崩壊し、帝国の残党における主要な統治機構としてのモフ評議会が台頭したのである。
こうした背景をよそに、エンドアの直後に離脱したグランド・モフ・ケイン、エイアトゥにおける夫の権力を強奪したレオニア・タヴィラなど、独立を宣言するモフたちも数多く存在した。その一部は単に反乱同盟軍の進撃によって味方から孤立させられただけだったが、自らを銀河社会の崩壊の中で苦しむ愛すべき市民たちの英雄的救世主と見なしていた者たちがいたことに疑いの余地はない。その他は、新秩序の主導を訴える上級司令官や官僚たちの抗争に無理やり巻き込まれているだけの忠実な帝国軍人たちだった。だが、帝国の支配権を巡って争う提督や顧問たちも、モフたちに無理難題を押し付けることによってその権力基盤が脆弱なことを暴くようなことはしなかった。それでも、帝国の分裂に個人的野心が大きく関わっていたことには変わりない。ディープ・コアのプラキスのフォガ・ブリル総督や、アウター・リムのアンチメリディアン・セクターのモフ・ゲタリーズなどは、銀河系の征服には至らなかったものの、セクター艦隊の兵器や要塞惑星の防衛力を盾に、何年にもわたって自分たちの領域に独裁君主として立て篭もっていたのである。彼らの大半は、自分たちが混沌とした帝国政府の地元総督に過ぎないという虚構を維持しており、新秩序の崩壊をセクター内で気づかれないようにしていた者さえいた。だがその一方で、高位モフのような壮大な新称号を名乗り、自己満足に浸っているだけの者たちも多かった。実際のところ、彼らの権力は手柄を立てた部下たちへの恩賞に依存していたのだ。たとえば、ゲタリーズは直属のセクター艦隊司令官を大提督に昇進させ、また、フォガ・ブリルは惑星経済の混乱に乗じて贔屓と奉仕と支配の新システムを作り上げることでプラキスの支配体制を強化していたのである。
エンドアの戦い以降、内部抗争と新共和国の拡大によって帝国が衰退していくなか、モフたちの多くも確実に力を失っていった。エンドアの戦いの時点で1,000人以上いたモフたちも、その後の5年で300から400人にまで減少し、その間一時的な復興の兆しはあったものの、ヤヴィンの戦いの19年後までにはインペリアル・スペースもわずか8セクターにまで減少していた。最後まで抵抗していたモフたちも次第に新共和国に屈服し、追放されていったのである。
この状況の中、ギラッド・ペレオン提督は生き残ったモフたちに、優勢となった反乱軍と和平を結び、自分たちに残されたわずかな領域で新秩序を維持することが最善の策だと説得することができた。その後、8人のモフとペレオン最高司令官が残存帝国軍の指導者となったのだった。モフたちが帝国となったのだ。中央政府と、新秩序監視委員会（コンプノア）および帝国情報部の軍事力は事実上消滅し、主として境界線の防衛用に戦略的軍事配備が残されるだけとなった。帝国の残骸はこのような自治セクター連合となり、モフたちは外部からの干渉がほとんどない状態で各自の星系を支配することになったのである。こうした状況はモフたちにとっても極めて受け入れやすいものだった。
やがてユージャン・ヴォング大戦が勃発すると、バスティオンやムーニリンストへの破壊的な攻撃があったにも関わらず、残存帝国軍のモフたちはその力をほとんど温存したままで生き延びることができた。その結果、帝国軍は侵略者の撃退に大きな役割を果たすことができたのだ。しかし、この戦争の最終段階、すなわち平和の最初の年に、モフたちはかつて新共和国の領域にあった多くの解放された星系に対して自分たちの権利を主張したのである。
こうした領域の拡大に関する徴候を除けば、インペリアル・スペースを新銀河同盟へ統合する試みがモフたちにどんな影響を与えたかを示す証拠は何もない。しかし、ヤヴィンの戦いのおよそ40年後には新しい銀河皇帝が選出され、フェル王朝のもとでモフたちは帝国の再興と独立を目指す指導者としての役割を持続させたのである。彼らはヤヴィンの戦いの127から130年後に繰り広げられたシス帝国戦争の時代まで、この地位を保持し続けたのだった。
しかしこのときまでに、モフの称号は宙域総督のオフィスから少なくとも部分的に切り離されるようになっており、この時代の主要なモフたちが支配する一連のセクターは、自治領というよりもむしろ帝国を構成する主要な領域として扱われていたのである。最高位のモフは軍の大提督に就任し、帝国情報部長官と帝国代表団の長がモフ評議会に加わっていた。この時代のモフ評議会の定員は6人だったため、他にも3人のモフが在籍していたが、これらは人数あわせでしかなかった。概してこのときの状況は、1人のモフが帝国艦隊を指揮し、他の一握りのモフたちが広大なセクターを支配するという、クローン大戦直後の状況とよく似ていたのである。
さらにこの時代のモフの1人、フェラウアは近人間のエイリアン種族チスだった。彼は何十年にもわたって新秩序と密接に関わっていたのである。
役割と権限
宙域総督法のもと、各モフたちにはセクター政府を監視するための幅広い権限と、官邸の保安、周辺市街地の秩序維持、派遣任務に赴く要人警護などを行うストームトルーパー部隊が与えられていたに過ぎない。だが、それでも二千名の嘆願署名を誘発させるには十分であり、旧共和国を転覆させるほどの大変革を引き起こしたのだった。
帝国元老院が再編後19年で解散されたときまでに、モフの持つ権限は当初とまったく異なるほどにまで増大していた。コンプノアの準軍事組織や帝国情報部として統合された諜報ネットワークは、いずれもセクター・レベルでモフのオフィスを素通りすることになっていたが、民事指揮系統のなかでは、もはやモフたちはあらゆる惑星総督の正式な上官だったのだ。なかでも最大の特徴は、宙域総督としてセクター・グループの巨大軍事資源を統括する権限が与えられていたことである。それぞれのモフは担当セクター内ですべての軍事力を動員させることができた。また、通常はモフの配下に高位提督や地上司令官など、そのセクターにおける宇宙軍と地上軍の高官たちも配置されていたが、彼らに権限が委任されることは稀だった。
同盟軍から提供された情報によると、通常のセクターにおける宇宙軍は、24隻のスター・デストロイヤー、1,600隻の他の艦船、800隻の支援船で構成されており、セクター地上軍の陸上戦力は774,576名の前線兵士、400,000名以上の支援兵員、さらに数十から数百の惑星駐屯部隊（通常は少将が指揮するストームトルーパー小隊である）によって構成されていたという。しかし、実際に配置されていた戦力はそれよりもかなり少ないことが多かった。ミノス星団のセクター・グループは時代遅れのヴィクトリーI級スター・デストロイヤー1隻とそれより小さな数隻の大型艦船だけであり、タパニ・セクターではオーバーセクターへの統合計画の前日まで、トーラン造船所に単一のバトルグループが配備されていただけだった。それでも、兵力と火力の点で帝国軍の力は銀河系に比類なきものであり、モフが数で圧倒されるような敵組織に直面することは極めて稀だった。
しかし、これらの戦力を保持することでモフに期待されていた役割は、秩序の維持、政治腐敗の防止、法の施行などの漠然としたものでしかなく、これらはセクター政府や地元の官僚機構への干渉に他ならなかった。彼らの権限はこれ以上明確に規定されていなかったのだ。モフの権限の強化において最も重要な点は、それが元老院と行政機構の排除の結果としてもたらされたものだということである。彼ら自身の権限が本質的に強化されたわけではなく、彼らの権限を忌避または回避する主な手段だった複雑な手続きと政治綱領が除去されただけなのだ。
もちろん、こうした曖昧な権限は市民の自由を著しく侵害し、専制的な独裁を招くことになった。モフは秩序の回復を名目として兵士たちに平和的デモへの発砲を命じたり、純粋な政治的反抗を鎮圧するために惑星を爆撃することさえもできたのである。しかし、モフが戦争や政治腐敗で荒廃した銀河系に権力を築いていたことは事実であり、分離主義テロリズムや過激派の扇動といった重圧があるなか、彼らの力は星系の秩序を維持するための必要悪として許容される傾向にあった。帝国政府が行う犯罪行為を厳格に扱えば、クローン大戦やその後の反乱に対処してきた彼らの権威そのものを否定することになってしまう。モン・モスマのような過激派議員は雄弁なプロパガンダで市民を扇動し、後にそれらは彼女の政治秘書兼スピーチライター、アーフル・ヘクストロフォン少佐によって監修された公認歴史書にも記されているが、モフたちはこうした誇大妄想を現実的状況から切り離す努力を行ってきたのである。帝国による暴政が反乱の火種となったことに疑いの余地はないが、反乱同盟軍が自らの行動によって自分たちの打倒すべき独裁体制を作り出し、あるいは少なくとも正当性を与えてしまった一面があることも忘れてはならない。
セクターとして正式に制定されていない宙域に割り当てられていたモフの存在については明らかになっていないが、要塞惑星のモフたちや、コルサント防衛軍司令官のモフ・カディア、ティスシャール惑星政府との連絡員だったモフ・ガイエッドなど、明らかに星間領域以外の領地に割り当てられていたモフたちも存在している。また、クァンタ・セクターを担当していたモフ・ジャジャーロッドは一時的に帝国エネルギー・システムの長官に任命されたが、後に就任したモッデル・セクター総督および第2デス・スター司令官としての立場との間に現実的な区分けがあったのかは定かでない。一方で、彼はホスの戦い直後にアノート・セクターにあった＜エグゼキューター＞にも乗艦していたが、これも第2デス・スター計画における彼の役割と関連したものであると考えられている。
ヤヴィンの戦いの130年後までには、モフの称号も大提督や帝国情報部長官などが保持するようになり、その役割にも多少の変化が現れてきた。独自の艦隊や担当セクターの防衛軍を編成することで、かつてのモフの役割と新しい状況が融和した可能性もあるが、これまでのところそれを示す根拠は存在していない。
階級章
ヤヴィンの戦いの19年前に最初に任命されたモフたちは、4本のコード・シリンダーを付けた帝国軍の制服を着ており、階級バッジには様々に組み合わされた赤色と2つの金色のタブの上に5本の青色のタブが付けられていた。ウィルハフ・ターキンは3つの赤いタブと2本の金色のタブを付けており、マーセリン・ウェセルは1本の赤いタブと4本の金色のタブだった。その後、モフたちは4本のコード・シリンダーを持つことが多くなったが、実際には様々なパターンの階級章が存在していた。すべてのモフについてそれぞれがどのような階級章を付けていたかは正確に記録されていないが、グランド・モフが3個ずつの青色と金色の四角形の上に6個の赤色の四角形を付けていたことは確実であり、数人のモフは提督の階級章と同じく、6個の青色の四角形の上に6個の赤い四角形が並んでいた。
特筆すべきは、多くのモフが職権上保持していたこれらの階級章が、モフの地位に特有のものであるという証拠がないことである。これはセクターにおける高位提督や陸上司令官などの軍高官とは対照的なことだった。
後年になると、モフ評議会に出席するモフたちは民間ローブを着用するようにもなった。一方で、バスティオン協定後にブラクサント・セクターのモフに任命されたエフィン・セアティは軍の階級章を外した制服を着用していたが、これは軍の高官でいつつも、宙域総督としてのオフィスはあくまで民間のものであるという彼の信念を強調するためのものだった。
モッデル・セクターのモフ・ジャジャーロッドがエンドアの戦いの際に中佐の階級章を付けていた理由は定かでない。ただ、モフに就任する以前にこの階級に就いていた可能性があり、より高位のモフの階級よりもかつての階級に愛着があったのかもしれない。また、この当時のセクター艦隊における指揮官は、実際にはマイケル・アンサーのように大佐や中佐であることが多く、提督は実質的な権限を持たない名誉職であることも多かった。
ヤヴィンの戦いの130年後になると、モフたちは宙域総督の職務から既に独立し、帝国全体で重要な地位に就いていた。彼らの制服はこの当時の標準的な帝国軍の制服に若干手を加えた仕様になっており、上着の首の部分に帝国軍記章、その下の中央部に階級章、襟の両側にいくつかのタブが付けられていた。だが、サンプルに乏しく、既知のデザインについても詳細まではよく分かっていない。多くのモフは襟の両側に2個の小さな赤いタブを並べていたが、大提督と評議会の上級メンバーを兼ねていたモーリッシュ・ヴィードは3個のタブを付けていた。また、帝国代表団のコンラッド・ラスは襟のタブの変わりに金色の翼を付けた特別な白い制服を着用していた。
