ナダー・ヴェブ
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ナダー・ヴェブは、銀河共和国と独立星系連合との間で起こったクローン大戦の時代にジェダイ・ナイトとして仕えたモン・カラマリである。クローン大戦以前まで、ヴェブはジェダイ・マスター・キット・フィストーのパダワンだった。だが戦争が始まると、フィストーは共和国グランド・アーミーのジェダイ将軍となり、戦争終結までヴェブの訓練を行うことができなくなってしまった。そのため開戦直後に、ヴェブはマスター不在の状況でジェダイの訓練を終え、ジェダイ・ナイトに昇格したのである。戦争が激化する中、彼はジェダイの治癒者として共和国の部隊に加わったのだった。
ヤヴィンの戦いのおよそ21年前、分離主義評議会のリーダー、ヌート・ガンレイ総督が共和国の拘束を逃れ、リパブリック・フリゲートを盗んで逃走した。ガンレイの再逮捕を目指すクローン・コマンダー・フィルとその配下のクローン・トルーパー部隊は、盗まれた船を追ってヴァセックの第3衛星へと向かう。そして到着してすぐ、ヴェブとクローンたちはこのモン・カラマリの元マスター、キット・フィストーと合流したのだった。彼もガンレイを追跡していたのである。ジェダイとクローンはこの衛星で巨大な要塞を発見し、続いてその内部の調査を行うが、やがて彼らは自分たちが連合国家元首ドゥークー伯爵によってこの衛星へ誘い込まれたことに気づくのだった。ドゥークーはジェダイ・ハンターとして名高い分離主義勢力のドロイド軍最高司令官、グリーヴァス将軍のテストを目論んでいたのである。
ヴェブたちはグリーヴァスの隠れ家に足を踏み入れてしまったことに気づき、このサイボーグの将軍と戦って逮捕しようと計画する。だが、グリーヴァスは戻りざまに多くのクローンを殺害し、ヴェブ、フィストー、フィルから逃れたのだった。さらに3人も城の中で罠にはまり、将軍のペット、ログウォートのゴアによってフィルが殺害されてしまう。ヴェブは激しい怒りと攻撃の衝動を爆発させ、グリーヴァスを倒すチャンスを得ると、フィストーの命令に逆らって将軍にライトセイバーで襲い掛かった。だが、モン・カラマリはグリーヴァスによって返り討ちとなり、キット・フィストーは将軍が逃走するまでに、辛うじて彼のライトセイバーを回収したのだった。
目次 |
経歴
クローン大戦
ナダー・ヴェブは惑星ダク出身のモン・カラマリである。彼はノートランのジェダイ・マスター・キット・フィストーに師事した、モン・カラマリとしては2人目のパダワンだった。ヤヴィンの戦いの22年前、ジオノーシスの戦いによってクローン大戦が勃発すると、フィストーは独立星系連合のドロイド軍に対する共和国グランド・アーミーのジェダイ将軍に任命された。フィストーは将軍としての任務を優先するためヴェブの訓練から離れることになり、ヴェブはマスター不在での訓練継続を余儀なくされたのである。ヴェブには故郷の記憶がなかったが、このモン・カラマリの若者は独立星系連合によって引き起こされたダクの崩壊に強く心を痛めていた。連合の指導者たちに同胞たちの苦しみに対する裁きを与えるため、ヴェブは毅然とした態度でこの戦争の前線で戦い、ついにジェダイ・ナイトへの昇格を勧められたのである。
やがてヴェブはジェダイの試練を通過し、晴れて一人前のナイトとなった。そしてクローン大戦が銀河系の各地で激しさを増すと、ヴェブはジェダイの治癒者として共和国の部隊に加わり、戦闘で負傷したクローン・トルーパーや他の共和国の人員への援助を行ったのである。彼は傷ついてもなお戦い続ける兵士たちを助けたのだった。戦時中のあるとき、ヴェブは第21ノヴァ・コープスとクローン・コマンダー・フィルの部隊の双方に所属していた。
ヌート・ガンレイの追跡
ヤヴィンの戦いの21年前、分離主義評議会のメンバーであるヌート・ガンレイ総督が、惑星ローディアを連合側に引き入れようとする試みに失敗した後、共和国部隊によって捕らえられた。だがガンレイは連合の数人のエージェントによって共和国からの脱出に成功し、奪い取ったリパブリック・フリゲートで逃走する。ナダー・ヴェブはクローン・コマンダー・フィルとその配下の小規模な分遣隊を従えて逃亡船の追尾ビーコンを追い、アウター・リムの岩の惑星ヴァセックの第3衛星に到達したのだった。そしてニュー級アタック・シャトルで着陸した直後、ヴェブとトルーパーたちはこのモン・カラマリのかつてのマスター、キット・フィストーと合流した。彼もガンレイを追ってこの衛星に来ていたのだ。フィルは2人のジェダイに、リパブリック・フリゲートの追尾ビーコンが近くの渓谷の南端から発信されていると報告し、一団は調査へと向かうのだった。
フィストーは無意味な能力の誇示だと考えたが、ヴェブがフォースを使って渓谷を隠していた厚い霧を払うと、岩の表面に一連の巨大なアーチ型の扉が姿を現した。ジェダイとクローンは扉に近づき、ヴェブは中に入るためにライトセイバーで入り口を切り裂こうとする。しかしフィストーはゆっくりと扉に近づき、入念にドアを調べ、彼らを中へと招いてくれる隠されたスイッチを見つけたのだった。ヴェブと分遣隊はドアを通って内部に侵入し、広間と回廊からなる暗い迷宮と、渓谷のはるか後方にまで広がる巨大な要塞を発見する。唯一明かりの灯った部屋へ向かって廊下を進むと、B1バトル・ドロイドの一団にジェダイの追っ手から自分を守るよう命令を出すガンレイの声が聞こえてきた。だが、これはジェダイを誘い込むための罠だった。フィストーとヴェブはニモイディアンに近づき、それがホログラムであることに気づいたのである。
ガンレイが大きな椅子に座り、こちらに背を向けているとばかり思っていたジェダイは、バトル・ドロイドの衛兵たちを斬り捨てた。若きヴェブはこの戦闘で特に激しい衝動を見せ、既に破壊されたドロイドの残骸をフォースで吹き飛ばす。さらにドロイドが全滅した後も、彼はフォースでガンレイのホログラムが座った総督の椅子を激しく回転させたのだった。ガンレイはジェダイとクローンが罠に足を踏み入れたとのだと笑いながら説明する。するとホログラムがドゥークー伯爵に切り替わり、伯爵は冷笑しながら共和国部隊への非礼をわびると、ガンレイの代わりに別の贈り物をすると申し出た。そしてドゥークーのイメージが消え、椅子のコントロール・パネル上でボタンが点滅しだしたのだった。
衝動でヴェブがボタンを押すと、もう1つの暗い回廊が現れた。その終端でジェダイとクローンたちは大量の機械の四肢が並ぶ部屋を発見し、自分たちがジェダイ・ハンターとして恐れられる連合ドロイド軍の最高司令官、グリーヴァス将軍の居城に足を踏み入れたことに気づいたのだった。ヴェブ、フィストー、そしてクローンたちは知らなかったが、ドゥークーはこれまでの連合の度重なる敗戦によってグリーヴァスの能力に疑問を抱くようになり、彼らを利用して将軍の実力をテストしようとしていたのである。ジェダイとクローンはグリーヴァスの城の捜索を続け、ヴェブはこのサイボーグがこれまでの戦争で殺害してきたジェダイから奪い取った戦利品の数々を見て怒りを抱く。そして共和国部隊からグリーヴァスの戦闘機＜ソウルレス・ワン＞が接近中との知らせを受けると、彼を抹殺して戦争の潮流を変える機会を得たことで、ヴェブの怒りは興奮へと転じたのだった。
共和国部隊が自分の隠れ家に侵入していることを知らなかったグリーヴァスは、城に戻った瞬間にヴェブ、フィストー、クローンの奇襲を受けた。クローンが将軍の逃走を阻止するためサイボーグの足にグラップリング・フックを発射し、ジェダイが襲い掛かる。そしてフィストーがグリーヴァスの両足を切断し、ヴェブが床に倒れた将軍にとどめを刺そうとした。だが、グリーヴァスは攻撃を防ぐと、ヴェブにクローン・トルーパーの死体を投げつけて彼を撃退したのだった。サイボーグは壁や天井の突起物を利用して城の奥深くへと逃走し、ヴェブとクローンがそれを追う。だが逃走を阻止しようとした2人のクローンが殺され、ヴェブはサイボーグを見失ってしまった。彼は仲間を失ったことに激怒し、クローンが足手まといにならなければグリーヴァスと戦えたはずだと吐き捨てた。フィストーは元パダワンの攻撃性に不安を感じ、死んだ者よりも今傷を負っている者に集中するよう告げる。生存者はヴェブ、フィストー、クローン・コマンダー・フィル、そしてもう1人のクローン・トルーパーだけであり、ヴェブはグリーヴァスとの対決を決意するが、フィストーは退却する必要があると判断していた。一方、制御室からホロカムを通じて彼らを監視していたグリーヴァスは、城を封鎖し、ヴェブたちを罠に誘い込んだのである。
対決
グリーヴァスは侵入者を皆殺しにしようとし、ヴェブ、フィストー、クローンたちの足元のトラップ・ドアを起動した。2人のジェダイは安全に着地することができたが、フィルともう1人のクローンは炎へ向かって落下してしまう。ヴェブはフィストーの助けを借りてフィルのアセンション・ケーブルを掴み、彼を助けることができた。だが、もう1人のクローンは炎の中へ転落死してしまう。さらに生き残った3人をグリーヴァスがペットとして飼っていたログウォートのゴアが待ち構えていた。ゴアは器用な尻尾でクローン・コマンダーを掴み、ヴェブがそれを助けようとするが、壁に叩き付けられてしまう。ゴアはさらにフィルを床に叩き付け、最後のクローンを殺害したのだった。ヴェブは再び攻撃に向かい、ゴアの尻尾を切断する。フィストーも怪物の首にライトセイバーを突き刺した。ゴアが死ぬと、ヴェブはフィルの遺体を抱きかかえ、亡きトルーパーに復讐を誓ったのだった。元パダワンの怒りに不安を感じたフィストーは、彼に復讐はジェダイの道に反すると思い出させるが、ヴェブは戦争によってルールが変ることもあり、今は生き残るための力が必要とされているのだと答える。ヴェブの言動に困惑していたフィストーは、変ったのはヴェブ自身だと指摘するが、ひとまず2人は先を急いだのだった。
やがて、ヴェブとフィストーはグリーヴァスのいる制御室の前まで到達した。医療ドロイドEV-A4-Dから修理を受けていた将軍は、IG-100マグナガードの小隊を引き連れてジェダイを探しいく。フィストーはグリーヴァスが制御室へ入ったときの動作を真似することで、この隠し部屋の扉を開けることができた。しかし、EV-A4-Dが制御室からジェダイの行動を監視しており、城のスピーカー・システムを利用してグリーヴァスにジェダイの存在を警告する。将軍はジェダイと対決するために引き返すが、ヴェブは自分一人で将軍と戦うと主張し、元マスターに逃げるようにと告げるのだった。フィストーは彼についてくるよう命じるが、EV-A4-Dが制御室のドアを閉めたため2人のジェダイは分断され、ヴェブだけが取り残されてしまう。若きモン・カラマリはグリーヴァスを倒す決意を固め、4体のマグナガードを破壊すると、将軍に襲い掛かった。将軍が死ねば戦争の行方が変り、銀河系に正義をもたらすことができると信じるナダー・ヴェブは、このサイボーグとのしばしの対決を楽しんだ。2人のライトセイバーが交差し、両者の動きが止まる。だがグリーヴァスは第3、第4の腕でヴェブの腹部にブラスターを連射し、彼を殺害したのだった。
ヴェブを抹殺したグリーヴァスは転げ落ちたジェダイのライトセイバーを手に入れた。キット・フィストーは制御室から元パダワンの死を目撃し、悲しみに打たれるが、自分のデルタ7B・インターセプターが待つ城の南の離着床プラットフォームへと向かう。そこで彼はグリーヴァスと交戦し、ヴェブのライトセイバーを取り戻すと、衛星から逃れたのだった。フィストーはコルサントのジェダイ聖堂に帰還し、ジェダイ・マスター・ヨーダとメイス・ウィンドゥに任務の結果とヴェブの死について報告する。ヴェブの著しい自制心の欠如はジェダイの教えに反しており、ヨーダはそれについて、この戦争がジェダイ・オーダーにもたらした負の効果なのかと疑問を抱いたのだった。
人物と特徴
ナダー・ヴェブはモン・カラマリのジェダイであり、顎から生えた1本の髭とオレンジ色の肌がその若さを示唆しいていた。彼はジェダイ・ナイトとして銀河共和国に仕える栄誉を授かるが、衝動的な性格からしばしばジェダイ規範に反して平和よりも戦いを求める傾向があった。ヴェブは種族の幸せを深く望み、分離主義評議会によってモン・カラマリにもたらされた苦痛への復讐を強く求めていたのである。ヌート・ガンレイを自分の手で捕らえられるかもしれないという知らせを得た彼は、ヴァセック第3衛星へ向かう機会を真剣に喜んだ。そしてヴァセックで、ヴェブは深い霧の中で道を切り開いたり、ガンレイの椅子を回転させるといった些細なことでフォースの力を利用してしまう。より慎重な手段をとる彼の元マスター、キット・フィストーとは対照的に、ヴェブはライトセイバーを持って自ら進んでグリーヴァスの城へと向かったのだった。
ヴェブは城の中で、最初にバトル・ドロイドをバラバラに破壊したことや、その後のグリーヴァス将軍への攻撃などを通じて、次第に暴力性を増していった。自分が将軍の聖域に足を踏み入れたことを知った彼は、グリーヴァスと戦う機会を得たことに興奮して息を上げる。これは戦争が彼に与えた効果と、このサイボーグによって殺されたジェダイの敵討ちの機会を得た喜びの両方からもたらされた衝動だった。また、ヴェブはグリーヴァスがこれまでに殺害したジェダイから獲た戦利品を見て激怒し、最初の遭遇では足を失って床を這いずる将軍に容赦ない攻撃を加えている。そしてグリーヴァスが逃げると、激高したヴェブはクローン・トルーパーに対して邪魔だと非難したのである。
ヴェブはトルーパーたちに怒りの矛先を向けたが、コマンダー・フィルの死には激しく取り乱し、グリーヴァスへの復讐を誓っている。キット・フィストーはその怒りについて彼を叱責するが、この点に関するヴェブの考えは変らなかった。戦争が既に若きジェダイを蝕んでおり、このモン・カラマリが持つジェダイに相応しい行動規範を変えていたのである。ヴェブは、従来のジェダイの慣習が戦時には対応できなくなっていると考えており、フィストーのようなベテランのジェダイがこのことに気づいていないと信じていたのだ。彼はかつてのマスターと意見を異にしたが、最終的には自分の命を犠牲にしてフィストーをグリーヴァスの城から脱出させることになる。
力と能力
モン・カラマリのナダー・ヴェブは水中でも30時間以上呼吸を続けることができた。彼はフォースを通じて傷を癒す能力を持っており、この力を使ってクローン大戦中の共和国グランド・アーミーを助けていた。また、ヴェブは周囲を覆う深い霧に包まれたグリーヴァスの城で、空気を綺麗にすることができた。さらにこのモン・カラマリは有能な戦士でもあり、1人で4体のIG-100マグナガードを倒した後、一時的にグリーヴァス将軍から自分の身を守っている。だが彼も最終的にはこのサイボーグによって倒されたのだった。
