エンパトジェイオス・ブランド
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解説
エンパトジェイオス・ブランドは、旧共和国の衰退期にジェダイ・マスター、ヤドルの下でフォースの道を学んだジェダイ・ナイトである。彼は分離主義者たちによる暴動が銀河系を混乱の時代へと導き、内乱や星系内紛争の再燃を促したとき、ジェダイとして様々な任務に当たっていた。このような紛争の1つに、惑星ディモックとリポブラスの間で争われた10年にもおよぶ長い戦いがあった。ブランドは両者の争いに話し合いによる平和をもたらすべく派遣された代表団の1人であり、この戦争の原因となった潜在的な問題を解決する助けとなったのだった。
だが、ブランドが仲間のジェダイ・ナイト、バルター・スワンやチェレミ・チュオウィックと共にディモックとリポブラスに派遣されたのは、この問題に対する3回目の調停のときのことだった。彼らは確かにこの戦いを終わらせ、一時的な平和をもたらしたが、ブランドらがコルサントへ戻ると再び戦争が開始され、ジェダイたちはこれらの惑星に対する4度目の任務に向かうことになったのだ。それでも戦争の際には、ブランドは銀河系の平和と正義を守るため、数々の難局にうまく対処してきたのだった。
しかし、クローン大戦が終結し、パルパティーン皇帝とダース・ヴェイダーによるジェダイ狩りとその殲滅計画が開始されると、ブランドはすぐにヴェイダーに発見されてしまった。ヴェイダーはハット・スペースの端までブランドを追跡し、彼の船を破壊した。ヴェイダーはそのときブランドも船と同じ運命を辿ったと考えたが、彼はこの攻撃を生き延びていたのである。
フォースはブランドに味方し、彼はガナスと呼ばれる未開の惑星に辿り着いた。ガナスは密輸業者の月ナー・シャダーの近郊にある巨大な放射性のガス雲によってその存在が隠されており、そのため銀河系の他の部分からうまく隔離された状態を保っていたのだ。ガナサンたちはこの惑星で望まざる訪問者を避けながら、独自の単純な社会を築いていたのである。だが、ガナサンたちは重症を負って死に瀕していたブランドを発見すると、彼を時代遅れのテクノロジーで治療し、機械の体を使うことで彼の命を救ってくれた。ヴェイダーとの遭遇後に残った彼の肉体は上半身と頭だけであり、ガナサンたちによって救われた後は、リパルサーリフトによって移動可能な金属製の球形ボディで生きていくことになったのだった。
ブランドは献身的な治療で命を救ってくれたガナサンに対して義務感を抱き、彼らに恩返しをしなければならないと考えた。そして、ガナサンが力強い支配者を求めていることを知ったブランドは、その地位に就くことに同意した。彼はエンパトジェイオス・ブランド王としてこの放射性のガス雲に隠された惑星に留まり、ガナサンたちとともに数十年にわたって暮らしていたのである。ガナサンの文化は銀河系の中枢から遠く離れており、誰にも知られていなかったため、ブランドはジェダイの粛清や帝国の台頭による虐殺を逃れることができた。やがて彼が再び銀河系に復帰し、ジェダイ・ナイトとしての役割を取り戻すのは、エンドアで皇帝が敗れてから何年も経ったときのことである。
帝国は敗れ、皇帝とダース・ヴェイダーは死亡した。しかし、パルパティーンは不測の事態に備えた計画をいくつも用意しており、彼の敗北を受けたダークサイドの達人たちが、そうした計画の1つを実行に移していたのである。皇帝の死後も彼の個人的な格納施設にはいくつものクローンが保存されており、パルパティーンはその中の1体に精神を転送することで、新しい肉体と共に復活することができたのだ。皇帝はダークサイドの達人たちを使って帝国の残存勢力を再編成し、新共和国に戦いを挑んだのだった。
そのころ、粛清を逃れたもう1人のジェダイ、ヴィマ=ダ=ボーダを連れてナー・シャダーを発ったハン・ソロとレイア・オーガナ・ソロが、帝国軍や賞金稼ぎのボバ・フェットから逃れるため、ブランドとガナサンたちを隠している放射性のガス雲に逃げ込んでいた。<ミレニアム・ファルコン>に致命的な損傷を受けた彼らは、運命的にブランドの王国に迷い込み、銀河系を覆う邪悪な力との戦いに対して、彼に助力を求めるのだった。ブランドはソロたちを救助し、このとき初めて自分が不在の間に銀河系で何が起こっていたのかを知ることになった。そして船を修理しながら、ブランドは蘇った皇帝と戦い、ジェダイ・オーダーを再建することに同意したのだった。
秘密の惑星ニュー・オルデランへ旅立ったブランドは、ルーク・スカイウォーカーに紹介された。皮肉なことにルークこそは、かつて彼を殺そうとしたダース・ヴェイダー、すなわちアナキン・スカイウォーカーの息子だったのだ。そして、ルークは他にもジェダイ・ナイトのカム・ソルサーと、ジェダイ訓練生のジェム・イザーナ、レイフ・イザーナを従えていた。彼らは後に再建されるであろうオーダーで、ジェダイとして訓練される最初の希望だった。ブランドはニュー・オルデランでイザーナ姉弟にフォースとジェダイ・ナイトの道を教えることになった。
しかし、ニュー・オルデランの位置はすぐに皇帝の知るところとなった。皇帝はジェダイの資質を持ったハンとレイアの子供たち、ジェイセンとジェイナを捕えるべく、この惑星に部下たちを送り込むのだった。カム・ソルサーとイザーナ姉弟が加わったことにより、ブランドたちはダークサイドの達人たちの攻撃を撃退することができたが、不幸なことにその代償としてジェムが戦いで命を落とした。ブランドの部隊はすぐに撤退し、辺境の惑星ネスピスVIIIでの同盟軍の再結集を強いられるのだった。
ネスピスVIIIで、ハン、レイア、そしてジェダイ・オーダーは、いつの日か偉大なジェダイ・ナイトとなるであろうアナキン・ソロの誕生という大きな祝福を受けた。しかし、それも皇帝に気付かれずにはいられなかった。このとき皇帝のクローンの肉体は急速に不安定な状態へと移行しており、彼はクローンを使用することによる肉体的な弊害のない、アナキンの幼い体に自分の精神を転送させようと思いついた。一方でブランド、ルーク、カム、レイフらは皇帝に対する闘志を燃やし、惑星ヴジャンにあるダース・ヴェイダーのかつての居城、バスト城へと侵入した。そこはダークサイドの達人たちが本拠地として使用していたのである。
その後、ソロたちと再度合流したブランドとジェダイの一団は、宇宙の荒野に隠れていた古代の惑星オンダロンに到着し、そこで皇帝がレイアと幼いアナキンを発見したことを知った。パルパティーンはアナキンの肉体を奪い取る準備をすすめていたのだ。そして、このときの皇帝との戦いでレイフ・イザーナが死亡し、復興したジェダイ・オーダーにおける2人目の犠牲者となるのだった。同時にパルパティーンもブラスターで撃たれ、致命傷を受けたが、彼の精神はまさに肉体を離れ、アナキンへと乗り移ろうとしているところだった。しかし、ブランドは皇帝の精神がアナキンの肉体に達する直前にそれを妨害し、邪悪な魂を自らの肉体に引き込んだ。だが、皇帝の精神に宿るダークサイドのエネルギーは、ブランドの肉体に収容するにはあまりにも大きすぎた。皇帝の精神は内側からブランドの肉体を蝕み、やがて死を覚悟した彼はルークらに別れを告げると、パルパティーンを道連れにこの世を去るのだった。暗黒の時代に一際明るく輝いていたジェダイ・ナイト、エンパトジェイオス・ブランドは、皇帝と共にフォースと1つとなった。そしてパルパティーン皇帝も、銀河系から永遠に滅んだのである。