ミー・ディーチ
| ||||||||||||||||||||||||||||
|
ミー・ディーチは、銀河帝国の夜明けの直前に活躍したアンバランの元老院議員である。ディーチはアンバランの故郷である影の惑星アンバラの出身であり、銀河共和国元老院でこの惑星の代表を務めていた。共和国と分離主義の独立星系連合との間で勃発したクローン大戦中、彼は共和国グランド・アーミーの創設と軍備拡大を強く支持するようになり、反戦主義者たちを激しく批判していた。ヤヴィンの戦いのおよそ21年前、このアンバランは同じく主戦論を唱えるカミーノアンのハリー・バートーニ議員と手を組み、グランド・アーミーに追加するための500万体以上のクローン・トルーパーを発注する法案を提出した。2人はオルデラン選出のベイル・オーガナをはじめとする反戦派の議員団と対立するが、最終的に議会での優勢を掴みとり、過半数の議員から発注に賛同する票を集めたのだった。
だが投票の直後に、オーガナの同盟者であるローディアンのオナコンダ・ファー議員が、共和国の軍事予算の徹底的な削減と、クローン・トルーパーの生産停止を求める法案を起草し、提出した。ディーチは予算削減法を巡る論戦の中で反対派のリーダーとして認識され、ファー、オーガナ、そしてその同盟者であるパドメ・アミダラ議員、モン・モスマ、ロロ・パーズを打倒するため、バートーニ議員と密接に共闘したのだった。法案への投票の直前には、憤慨したパーズ議員によってファーが殺害されるという事件が発生したが、しばらくの間、彼女は容疑から逃れることができた。法案を支持する数名の議員たちは、この暗殺が2人の間の政治的対立を動機としたディーチの犯行であると推測していたのである。だが、このアンバランがファーに抱く敵意はあくまでも職業上のものでしかなかった。そして、ディーチがこの犯罪への自分の関与を知っていると推測したパーズは、元老院のオフィスで彼を襲撃し、胸を貫くことで致命傷を与えたのだった。
目次 |
経歴
ミー・ディーチは銀河帝国勃興前の最後の数十年間に活躍したアンバランの政治家である。この時代に彼は銀河政治でのキャリアを追求し、ついには銀河共和国元老院で彼の種族の故郷、惑星アンバラを代表する元老院議員としての地位を手に入れたのだった。共和国と独立星系連合との間で勃発したクローン大戦の間、ディーチは共和国の首都惑星コルサントの共和国行政府ビルにアンバラの議員オフィスを構え、そこで議員としての活動を行っていた。またこの戦争の最中、彼は力強い主戦論者となり、新設された共和国グランド・アーミーを支持していた。この立場から、彼は政治と軍事に同じ視点を持つカミーノアンのハリー・バートーニ議員と密接な同盟関係を結んだのである。それとは逆に、ディーチのその雄弁な軍事主義思想はローディア選出のオナコンダ・ファー議員とたびたび衝突していた。ファーは戦争の初期に故郷があやうく連合の手に落ちそうになった後、かつての主戦論的立場を翻していたのである。
ヤヴィンの戦いのおよそ21年前、ディーチと仲間の議員たちは、兵士たちの犠牲とこの銀河系規模の戦争が共和国経済に及ぼす財政危機についての論争に巻き込まれた。経済的危機の増大に反応して、ティブリン出身の日和見主義の議員、ギューム・サムが、金融産業全体が一斉に規制されているなか、インターギャラクティック銀行グループの投資枠を拡大させ、共和国に新たな資金獲得への道を切り開くことを可能にする法案を提案した。この問題は数回におよぶ延期を経て、ナブー選出の反戦派議員パドメ・アミダラが、分離主義元老院も和平を求めていると訴えた後、投票に掛けられることになった。多くの議員たちも和平が締結されれば戦費のさらなる追加を行う必要はないと考えていたため、和平への取り組みによって財政再建法案を廃案に追い込もうとするアミダラの目論みは成功するかに思われた。だがまさに投票が開始されようとしたとき、連合のデモリッション・ドロイドがコルサント・パワー・ジェネレーターの制御室へ押し入り、ジェネレーターを破壊したのである。この大爆発によってギャラクティック・シティ全体が大規模な停電に陥ったのだ。この攻撃によってディーチの仲間の議員たちは勢いづき、金融規制の撤廃と戦争投資の継続を訴えたのだった。
攻撃の翌朝、元老院が再び召集され、ジェネレーターの破壊と分離種主義勢力との和平への取り組みに対する共和国の対応について協議が行われた。だが、アミダラとそのわずかな同調者を除くほぼすべての議員たちは和平に反対し、その代わりに元老院は軍備拡大への投資を行うため、新たな融資枠を使うことを求めたのである。ハリー・バートーニは緊急予算案を提出し、銀行グループからの融資によって彼女の故郷カミーノに500万体のクローン・トルーパーの増産を発注するよう提案した。ディーチもこの施策を強く支持する。このときアミダラが再び、連合にも未だ平和を求めている人々が存在すると主張すると、アンバランの議員はそれを遮り、大会議場で彼女が分離主義勢力のスパイと不適切な関係を持っているのではないかと糾弾した。双方の戦術が渦巻くなか、アミダラを反逆者だと罵る議員たちと、彼女を支持する少数の議員たちの間で議論が怒号へと発展する。パルパティーン最高議長は議員たちに静粛にするよう求めたが、このとき元老院に連合国家元首ドゥークー伯爵からのメッセージが届き、議論は打ち切られた。伯爵は、共和国によってなされた攻撃を考慮し、和平への取り込みを打ち切ると通告してきたのである。
バートーニの法案を支持する戦いの中で、ミー・ディーチはルーナのエドゥセル・バー・ガン、ライロスのオーン・フリー・ター、ターナブのモット=ノット・ラブ、クオレンのクリストー、そして人間のジン・ポールネス議員らと手を組んだ。多数派を占める彼らの動きは、戦争継続を目論む2人のシス卿、ダース・ティラナスとダース・シディアスに雇われた賞金稼ぎたちによる反対派議員への襲撃によってさらに加速した。もはや支持派議員団の勝利は明らかなものと思われたが、マス・アメダ副議長は最終投票に先立って、反対派のリーダーであるオルデランのベイル・オーガナに全議員の前での演説の機会を与える。そして投票の当日、オルデラニアンの議員による反対演説のための議会が招集されたが、オーガナは姿を現さなかった。彼は2人の賞金稼ぎによる襲撃で重傷を受け、病院に運ばれていたのである。ミー・ディーチはオーガナの苦境を気にも留めず、アメダに当初の予定の取り消しを求めると、反対演説なしで投票を行うよう要求した。副議長はしばしの抵抗を見せるが、チャンドリラのモン・モスマ議員がディーチを遮り、もうしばらくオーガナを待つよう呼びかけた後、彼の要求を受け入れたのだった。しかし投票が開始されようとしたそのとき、アミダラ議員が壇上に現れ、オーガナの代理として演説を開始する。ここで反戦主義者の彼女は情熱的に平和を訴え、元老院は彼女の嘆願に同調を示したのだった。ディーチとバートーニさえもが称賛の拍手を送ったのである。だが、アミダラの努力と彼女の演説が集めた支持に反して法案は可決され、500万体のクローン・トルーパーが発注されることになったのだった。
陰謀、調査、そして暗殺
ハリー・バートーニの法案は可決されたが、パドメ・アミダラとその同調者たちは戦争を外交によって終わらせようとする戦いを決してあきらめていなかった。その目的のために、彼女とオナコンダ・ファー議員は共和国の防衛費を削減することによって兵士の増産を停止させるという対案を提出したのである。ディーチはそれを愛国心に欠ける行為だと考え、法案を批判した。この戦いの中で、彼は政敵であるファーの反対を受けて立つことになる。アンバランの議員は世論を味方につけていたが、彼はファーの一派に対抗するため、ありとあらゆる武器を利用しようと考えた。そのため彼はこのローディアンを監視し、ライバルの不適切な取引や、政治的ダメージになりかねない行動などの、あらゆる情報を集めたのである。やがてディーチによる追跡はある結果をもたらした。ディーチは、ファーが密かにコルサントのデリック・メジャーの下にあるドックに向かい、何者かと接触したことを突き止めたのである。
その翌日、ディーチは元老院の本会議に出席し、大会議室で軍事費削減によってもたらされる利益とさらなる戦争拡大への危険性について訴えるアミダラの演説を拝聴した。そしてナブーの議員が演説を終え、彼女のリパルサーポッドを降りると、ディーチは元老院ロタンダの廊下で彼女と会い、法案について会話を交わす。アンバランは、彼女が演説の中で述べたような視点は危険であり、共和国の最善の利益を害すると主張したのだった。だが、アミダラはディーチの好戦的な外交姿勢を批判し、同盟者たちとの祝宴に向かう。すると、アミダラの演説が議会に好印象を与えたことを祝う酒席の中で、ファー議員が突如倒れ、心臓発作によって死亡したのだった。その後、ディーチはコルサントの離着床パッドで行われたかつてのライバルの葬儀に出席した。ローディアンの遺体は故郷での埋葬のため輸送船に運び込まれ、友人であり補佐でもあったシルードによって見送られたのである。
葬儀の後、ディーチは彼のオフィスでバートーニ議員と会い、ドメイン・デ・ラ・メゾン・サー・ル・ラック・ワインを楽しんでいた。このとき、2人はオナコンダの死因が毒殺であることを知ったアミダラとベイル・オーガナの訪問を受ける。この2人の反戦派議員は、ディーチとバートーニがファーと政治的に強く対立していたことから、いずれかが犯人であると推測していたのである。だが、アンバランとカミーノアンの議員はこの推理を一笑に付すと、ディーチはファーを好敵手として尊敬しており、バートーニはこのローディアンの反戦思想が彼女の提案に対する資金調達の目的に役立っていたと主張した。そしてアミダラとオーガナがオフィスを出ようとしたとき、ディーチは彼らに、ファーが死ぬ前の夜、デリック・メジャー下のドックで誰かと密会を行っていたという情報を提供する。2人は手がかりを求めてその場所を調査しに向かったのだった。そしてその夜、アンバランはオナコンダ・ファーの補佐であり、教え子であり、同僚議員でもあったロロ・パーズと対面した。パーズは戦争初期にファーが故郷ローディアを独立星系連合にもたらしたことについて憤慨しており、彼を殺害することでオフィスから排除しようと考えていたのである。当初、パーズは容疑から逃れていたが、やがて彼女はディーチがファーのドックでの密会のことを知っていることに気付いた。これは、元老院から退去するよう脅すために、パーズが師であるファーを誘い出したものだったのだ。パーズはアンバランによって彼女の犯罪が暴露されることを阻止するため、彼の胸を短剣で刺し、殺害したのである。
アンバランの議員の死体は、ドックから戻ったアミダラとオーガナによって発見された。パーズの偽装工作によって、コルサント保安部隊のタン・ディヴォ警部補はバートーニ議員が犯人だと断定したが、その後、意外な新事実によってこのローディアンの犯行が明らかになる。パーズはディーチとファーの両者の殺害容疑で逮捕されたのだった。そしてこの事件の数日後、共和国軍事費削減法案が元老院で否決された。さらにディーチの死後、議員の故郷アンバラは共和国への支援から手を引き、共和国からの脱退と、独立星系連合との同盟を採択したのである。
人物と特徴
ミー・ディーチは種族の一般的な特徴と同様に、冷酷で理路整然とした性格をしていたが、愛国主義の追求における情熱も持ち合わせていた。彼は愛国主義の重要性に重きを置いていたが、元老院での政敵たちはこれを、銀河系規模のクローン大戦から彼が利益を享受している証拠として捉えていたのである。アンバラの元老院議員として、ディーチは軍事主義の旗を掲げ、共和国グランド・アーミーの拡大、もしくは独立星系連合との戦争継続を支えるいくつかの法案を支持した。こうした立場から、このアンバランはクローン・トルーパーの故郷カミーノの代表として影響力を行使するハリー・バートーニ議員と密接な関係を構築したのである。
ディーチはオナコンダ・ファーを尊敬していたが、政敵たちへの脅迫を好み、冷酷な政治ゲームを楽しんでいた。
ディーチは白髪に灰色の目をしており、眼窩の周りに灰色の化粧をしていた。彼は角ばった灰色の胸部プレートを着用し、ドメイン・デ・ラ・メゾン・サー・ル・ラックを飲んでいることが多かった。