パドメ・アミダラ
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解説
ナブーの山村で暮らす貧しい両親のもとでパドメ・ナベリーとして生まれたパドメ・アミダラは、人生の初期にナブーでもっとも聡明で才能ある子供として見出された。こうして彼女は幼いころからナブーの政治的リーダーとなるべく訓練を受け、言語学から護身術にいたるまで、幅広い教育を与えられたのである。12歳を迎えると彼女は王女に任命され、来るべき時への準備として首都シードの監視官という重要な役割を任かされることになる。
やがて彼女は訓練の全ての課程を修了し、アミダラの名を授かった。そしてナブーの戦いのおよそ半年前、即位13年目を迎えたヴェルーナ王が外交政策を巡るスキャンダルによって退位を迫られるという事件が起る。即座に次期国家元首を選ぶ選挙が行われ、彼女は電子投票によってわずか4分で女王に即位したのである。このときアミダラは14歳という異例の若さだったが、史上最年少の国家元首というわけではなかった。むしろ彼女はナブーの歴史上、もっとも力量のある人物だったかもしれない。
女王の精巧なガウンとその装飾具は、ナブーの人々にとって重要な意味を持つ歴史的な記号をあしらったものである。また、彼女の白塗りの化粧には対象性を表現するために頬に美しい印が付けられており、下唇を分ける口紅は「思い出の傷跡」と呼ばれ、「偉大なる平和の時」が訪れる前の、ナブーにとっての苦悩の時代を表している。
通商連合がナブーへの侵略を開始したとき、アミダラ女王は決して動揺せず、冷静さと落ち着きを保っていた。救助に駆けつけたジェダイたちの助言を受け入れつつも、彼女はパナカ隊長や侍女たちに全幅の信頼を寄せていたのだ。アミダラは選択の余地がなくなるまで国民を戦争に巻き込むことを拒否し、コルサントへと向かう。首都に到着した彼女はパルパティーン議員と共に元老院議会に出席し、勇気と情熱を持ってナブーの現状を訴えた。だが、腐敗した元老院がナブーを救う可能性はほとんどなく、パルパティーンの忠告によってヴァローラム最高議長の不信任動議を起こす以外、彼女に打つ手はなかった。議長は罷免されたが状況が一変するはずもなく、アミダラは大きな危険を冒しつつも、国民の支えとなるべくナブーへと戻るのだった。
ナブーに戻ったアミダラは、長年にわたって文化的対立を続けていたグンガンとの和解に成功する。そして彼女はボス・ナス、ジェダイ、パナカの助力を受け、通商連合との最後の戦いへ向けた作戦を立案する。アミダラは自らもヌート・ガンレイの身柄拘束という任務を引き受けるが、これは極めて危険な役割だった。しかし、パナカとサーベの助けによって、見事に作戦を成功させたのである。その直後、タトゥイーンで出会ったアナキン・スカイウォーカーによって連合軍のドロイド司令船も破壊され、通商連合によるナブー侵略は完全に終わりを告げたのだった。
そして10年後、女王の座から退位したアミダラは、後継者ジャミラ女王からの公共への奉仕を続けてほしいという願いを聞き入れ、ジャー・ジャー・ビンクスと共にナブー選出の元老院議員に就任していた。そのころ、共和国ではドゥークー伯爵率いる分離主義勢力の脅威が増しつつあり、元老院でも共和国グランド・アーミー設立法案の是非を問う論争が沸き起こっていた。アミダラはこの法案に断固として反対の立場を表明し、貴重な反対票を投じるべくコルサントへと向かう。
しかし、コルサントに到着したアミダラは謎の暗殺者による爆破事件に巻き込まれ、彼女の囮となっていた侍女のコーデを失う。ジェダイ評議会はナブーの月のスパイス採鉱者による犯行だと告げるが、パドメは分離主義勢力が影で陰謀を企てていると直感していた。議員の危機を不安視するパルパティーン議長は彼女にジェダイの保護下に入るよう提案し、パドメはジェダイ・パダワンとなったアナキンと10年ぶりの再会を果たす。そして2人は暗殺の危機を逃れるためナブーへと戻った。やがてパドメとアナキンの間に愛が芽生え始めるが、政治家にとっても、ジェダイにとっても、特定の相手への愛は許されない感情だったのだ。
一方、アミダラ暗殺の真相を探ってジオノーシスに到着したオビ=ワン・ケノービは、暗殺の首謀者が通商連合総督の地位に留まり続けるヌート・ガンレイであることを突き止めた。しかし、ジオノーシスは分離主義者の本拠地となっており、彼はドゥークー伯爵らに捕らえられてしまう。師からの通信を受け取ったアナキンはパドメと共にジオノーシスへ向かい、増援に駆けつけたジェダイ・オーダー、そして共和国のために作られたというクローン軍を交えて独立星系連合のドロイド軍と壮絶な戦いを繰り広げた。彼らはこの戦いに勝利するが、結果として銀河系はクローン大戦と呼ばれる全面戦争へと突入することになる。
ジオノーシスの戦い後、コルサントでは共和国の壮大なクローン軍が銀河系の各地へと向かって送り込まれていたが、パドメはアナキンの護衛を受けてナブーに帰還していた。そして2人が初めて禁断の愛を交わしたのと同じ郊外の静かな湖畔で、彼らはC-3POとR2-D2の祝福を受けながら、ひっそりと秘密の結婚式を挙げたのである。この穏やかな愛情表現は、やがてアミダラと銀河系全体が直面することになる暗黒の瞬間への入り口となるのだった。
クローン大戦勃発後もパドメは共和国に忠実に仕えていたが、秘密の夫が急速にキャリアを延ばしていくに従い、徐々に心を乱していくようになる。アナキンは共和国全体に名を轟かせる戦争功労者となり、その功績に多くの善良な市民たちが心を躍らせる一方で、彼女は夫の身を案じて心労を深めていたのである。2人が互いを求められるわずかな時間は余りにも短かった。主戦場はコルサントから遠く離れたアウター・リムに集中しており、パドメはアナキンとほとんど会うことができなかったのだ。しかしアウター・リムでの激戦が終了したとき、彼女はアナキンに衝撃的な知らせを届けることになる。彼は父親になったのだ。
一方で、この戦争は共和国に絶え間ない変化を与えていた。無数の戦場で分離主義勢力と効率的な戦いを行うため、パルパティーン議長は元老院の軟弱な戦争遂行能力をすべて奪い取り、自身のポストにさらに多くの権力を集中させる政令を公布したのである。こうした権力の移譲は多くの人々、特に汚職によって腐敗した政治家たちによって歓迎されたのだった。
だがその一方で、元老院議員たちの小規模なグループは、パルパティーンによる度重なる憲法修正にますます不安を募らせていた。そして、ベイル・オーガナとモン・モスマは、秘密の会合において思い切った選択肢を提示する。この会合に招かれた他の理想主義の議員たちは、パドメ、ファング・ザー、ギディーン・ダヌー、チー・イクウェイ、テア・タニール、バーナ・ブリームーだった。彼らは最も身近な側近にも絶対にこの会合の内容を漏らさないと誓っていたが、パドメは同意こそしたものの、アナキンが自分の二面性を察知し、何かを誤解することを恐れていたのである。
パルパティーンに対する初期の意見陳述は、反乱として受け止められないよう極めて慎重に言葉を選んで行われたが、パドメはあくまでも法の枠内での外交的解決を望んでいた。そこで彼女はアナキンに、パルパティーンとの関係を使って戦争に対する平和的解決策を求めるよう懇願するが、愛する夫はその要請に憤慨する。彼はこのような申し入れは政治家が自分自身で行うべきだと考えていたのだ。共和国のシステムそのものへの彼女の疑念は、アナキンを悩ませた。彼にはパドメが分離主義者のように見え始めてきたのである。
パドメはパルパティーンの支配体制に正式に反対を唱える議員たちから、2,000名にもおよぶ署名を集めた。そして、彼女はこの嘆願書をパルパティーンに提出するが、彼はそれを無視したのだった。パルパティーンはパドメの意図について、注意深くアナキンに疑惑の種を植え付け、彼女を喪失するかもしれないというスカイウォーカーの恐怖心を煽り続けたのである。アナキンはパドメが出産中に死ぬという恐ろしい悪夢に悩まされていた。かつて母の死を予見した夢が現実になったことから、彼は精神的に非常に不安定な状態に陥っていたのだ。彼は妻を救うためならどんなことでもしただろう。失われるはずの命を救うという自然の摂理に反したダークサイドの力を手に入れるため、シスの暗黒卿ダース・シディアスと同盟を結ぶという選択肢も、彼にとっては躊躇する余地のない条件だったのである。
パドメは共和国の他の人々と同様に、パルパティーン議長がシス卿だったという事実を知らなかった。だが、シディアス卿はアナキンをダークサイドへ誘惑し、彼もダース・ヴェイダーとしてシス卿にひざまずいたのだ。ヴェイダーはジェダイ聖堂を襲撃すると、さらに分離主義勢力の幹部たちを殺害するためムスタファーへと向かう。こうしてクローン大戦は密かに終結したのだった。
パドメに真実を伝えたのはオビ=ワンである。彼はアナキンの転身の証拠を見たのだった。パドメは茫然自失となり、この闇に包まれた現実を理解することができなかった。彼女はアナキンと会うためムスタファーへと向かう。一方、オビ=ワンもパドメに気づかれぬよう、彼女の宇宙船に忍び込んだのだった。
事実はオビ=ワンの言うとおりだった。パドメは夫のした行為に理解を示すことができなかった。アナキンは歪められた感性の中で邪悪な行為に手を染め、自分たちに都合のいいように銀河系を改善し、子供たちのために腐敗した共和国を帝国へと変えたのだ。そして、力に自惚れた彼は、皇帝を倒し、銀河系を自分とパドメの好きなように支配しようと訴える。しかし、パドメはアナキンの変化を受け入れることができなかった。そして、オビ=ワンが彼女の宇宙船から姿を現したとき、激怒したアナキンは最悪の結論にたどり着く。彼は大きな裏切りの陰謀を直感した。彼は愛する妻が、自分を殺すためにかつてのマスターをムスタファーへ連れてきたと考えたのである。アナキンは手を上げ、フォースでパドメの喉を締め上げた。彼女は呼吸を失い、そのまま気を失ったのだった。
アナキンとオビ=ワンがムスタファーの溶岩採集施設で戦っている間、C-3POとR2-D2は動けないパドメを宇宙船に運び、看病をしていた。彼女は宇宙船の簡易医療設備やポリス・マサの完全な設備による手当てを受けたが、容態は一向に回復しなかった。パドメはアナキンがオビ=ワンの光刃によって受けたダメージも、溶岩によって焼かれた姿も見ていない。彼女はアナキンがどうなったのかを知らず、夫の中にまだ善の心が残っていると信じていたのだ。パドメは息絶えようとするかすかな意識の中で、そのことをオビ=ワンに告げたのである。
そして死の直前に、彼女はアナキンの悪夢に登場した奇妙なエイリアンの施設で、最後の力を振り絞って子供たちを出産する。双子には、母が自らルーク、レイアと名を付けた。オビ=ワン、ヨーダ、ベイル・オーガナは、子供たちを安全に守ると誓うことになる。
その後、パドメ・アミダラの遺体はナブーに返還された。彼女の国葬では、何千人ものナブー市民がその最愛の代表に敬意を表したのである。