分離主義勢力のドロイド軍
(独立星系連合のドロイド軍から転送)
| ||||||||||||||||||||||||||
|
分離主義勢力のドロイド軍は、クローン大戦において銀河系全体の覇権を確保しようとした独立星系連合の武装組織によって創設され、使用された、歴史上最大規模のドロイド軍である。この軍隊はドゥークー伯爵の分離主義運動に賛同した通商連合の独自軍や他の企業から提供されたバトル・ドロイドによって構成されていた。
分離主義軍はクローン大戦における様々な戦いに、グリーヴァス将軍、マンダロリアンの非公式なリーダー、フェン・シャイサ、セヴランス・タン、アサージ・ヴェントレス、ダージなど、数々の有能な司令官を置いていた。
目次 |
歴史
独立星系連合の創設
最終的に分離主義軍と呼ばれるようになった組織は、元来ほぼドロイドのみによって構成されたいくつかの巨大な軍組織として始まったものだった。これらが統合され、莫大な数を誇る超巨大軍隊が創設されたのである。
ヤヴィンの戦いの24年前、独立星系連合の創設に伴ってドロイド軍が組織され、その主要部はバトル・ドロイドと地上用攻撃車両からなる巨大な地上部隊によって構成されていた。この地上部隊は、HMPドロイド・ガンシップ、ヘイルファイヤー・ドロイド・タンク、水中用マンタ・ドロイド・サブファイターなど、多くの車両を使用していた。また、ドロイド軍はヴァルチャー・ドロイド・スターファイターをはじめとする様々な種類のドロイド・スターファイターによって構成される大規模な宇宙部隊も編成したのだった。こうした多種にわたる部隊は後にドゥークー伯爵によって分離主義勢力のドロイド軍へと再編される。やがてクローン大戦において、ドゥークーは銀河共和国を打破するためにこの新たなる分離主義軍を展開し、ジェダイ率いる共和国グランド・アーミーからの反撃を受けるのだった。
このドロイド軍は、通商連合、テクノ・ユニオン、コマース・ギルド、インターギャラクティック銀行グループ、企業同盟、その他の独立系分離主義勢力から提供されたバトル・ドロイドによって構成されていた。これらの組織はダース・シディアスによって巧妙に操られており、やはりシス卿の支配下にあったネビュラ・フロントなどの海賊組織による無差別攻撃から自衛することを名目に、各自の軍隊を拡張していたのである。さらにダース・シディアスは各企業のリーダーたちに対する一連の暗殺によって、彼らを自らの影響下にある人物たちへと巧みに挿げ替えていったのだった。
彼の指示のもと、これらの大企業はクローン大戦勃発の10年以上前に、バクトイド・コンバット・オートマタ社、コリコイド・クリエーション・ネスト社、ハオア・チョール・エンジニアリング社など、各社が支配する無数の工場施設から莫大な数のバトル・ドロイドの購入を開始していた。ナブー侵略はその到来を暗示する事件だったが、実際にはヤヴィンの戦いの22年前、ジオノーシスの戦いでドゥークー伯爵が100万を超すB1バトル・ドロイド、10万のB2スーパー・バトル・ドロイド、3,000のドロイディカ、その他多くのドロイドを実戦投入するまで、共和国はその脅威を理解していなかった。こうしてクローン大戦が始まったのである。
連合軍は無数の兵士たちを手に入れたが、創設当初は適切な軍事的リーダーシップを欠いていた。初期の軍に対する指揮権はドゥークーの部下であるチスの将軍、セヴランス・タンに与えられ、彼女もジェダイとの個人的な戦いに執念を燃やしていた。だが、タンは戦争の初期にエチュウ・シェン=ジョンによって殺されてしまい、その代わりとしてカリーシュの大将軍、グリーヴァスが即座に彼女の地位を継ぐことになる。トレンチャント宇宙ステーションでアサージ・ヴェントレスとダージに勝利したグリーヴァスは、そのサイボーグ化された身体能力をドゥークーに誇示し、正式にドロイド軍最高司令官の称号を手にしたのだった。一方、ヴェントレス、ダージ、フェン・シャイサ、スパー、オルトー・ストレイタスなどの他の司令官たちは、この戦争における様々な戦いで限定的な指揮を執ることになったのである。
クローン大戦
ヤヴィンの戦いの22年前にクローン大戦が勃発すると、連合宇宙軍を構成する何百万もの戦艦に支えられた分離主義勢力は、銀河系全域で銀河共和国の支配に挑んだ。開戦1年後の分離主義軍は数の上で劣勢だったが、さらに1年後、ヴジャンへの任務のときまでには戦力を拡大させ、その時点でドゥークーも政府間での断続的な欺瞞のやりとりの必要性に疑問を感じ、分離主義勢力の圧勝を想定していたのである。
分離主義勢力の戦術は強固な防衛にあった。開戦当初の戦力配置は自領域へのあらゆる攻撃をかわせるように考えられており、同時に彼らは軍事力の増強も進めていた。メイス・ウィンドゥら、共和国の将軍たちはこの事態を憂慮したが、これによって共和国も分離主義勢力(正確にはダース・シディアスによる計略)に対抗するための独自の軍隊を準備する時間を稼ぐことができたのだ。連合側の最初の武力行使は即座な勝利を求めるものではなかったが、共和国の優位を否定し、銀河市民に恐怖を植え付けるには十分なものだった。また、彼らは戦争の意図的な引き伸ばしのため、速やかな終戦を目指す連合側の人々の信用をも失墜させ、あるいはその殺害を実行したのである。
この間、連合はスワンプ・ガス、トライヘキサロフィン1138、クローンを標的としたナノウイルスなどの化学兵器の開発も進めていた。しかし、退却戦だけで勝てる軍隊は存在しないため、連合は迅速に行動を開始し、一連の勝利によって次々と惑星を制圧していった。また、ハイポリの戦いで共和国の軍隊にその存在が明らかにされたグリーヴァス将軍は、分離主義勢力の勝利の立役者として知られるようになる。彼は改造された精神と共和国への憎しみに突き動かされ、ドロイド軍に大規模な破壊と殺戮を命じたのだった。こうしてクローン大戦の戦禍は急速に拡大し、アトラケン、ホノガー、ハンバリーンなどをはじめとする、1,000を超す惑星が破壊された。ドロイドやエイリアン種族によってもたらされたこれらの恐怖は、次世代の銀河系に大きな差別の火種を残すことになる。
クローン大戦は実質的には銀河系を舞台とした1つの巨大なゲームであり、あらゆるゲームと同様にこの場合にも最後の一手があった。ジェダイによる追跡が迫っていることを知ったダース・シディアスは、グリーヴァスにコルサントへの攻撃を命令する。その結果、数億ものドロイドが惑星を覆い、ジェダイの関心をシス卿の捜索から逸らすことに成功したのだった。また、この攻撃はアナキン・スカイウォーカーをフォースのダークサイドに誘惑し、ドゥークー伯爵を抹殺するための計画でもあった。だが初期の成功に反して、この戦いは連合側の敗北に終わることになる。オビ=ワン・ケノービ将軍とスカイウォーカーがオープン・サークル艦隊を率いて到着し、彼らが最高議長を救出する間に、分離主義勢力は撃退されたのだ。
だがこの敗北もまだ終わりではなかった。数日後、ケノービによってグリーヴァスがウータパウで倒され、ダース・ヴェイダー、すなわちかつてのアナキン・スカイウォーカーによってムスタファーで分離主義評議会のメンバーたちが殺害される。そしてヤヴィンの戦いの19年前、殺戮を終えたヴェイダーはマスター・コントロール・シグナルを用いて銀河中の連合のドロイドを停止させる指令を送信した。指令が伝わり、マーカナをはじめとする辺境の惑星で一斉にドロイドが停止すると、指揮官たちは大混乱に陥るが、このとき正式にクローン大戦は終結したのである。
残存分離主義勢力の紛争
新しい銀河帝国は、コマース・ギルドのDSD1ドワーフ・スパイダー・ドロイド、IG-100マグナガード、通商連合の装甲型強襲用戦車などの、分離主義勢力のドロイド軍の残党を迅速に帝国軍へ吸収した。これらのドロイドはかつて分離主義勢力の本拠地だった惑星を銀河帝国へ強制的に組み入れるために使用されたのである。ヤヴィンの戦いの19年前には、ストームトルーパーの訓練補助のため、カリダで数多くのLM-432クラブ・ドロイドやB3ウルトラ・バトル・ドロイドが使用されていた。また、多くのスコーピネック・アニヒレーター・ドロイドが帝国軍事研究部門によって研究され、ビィスの皇帝の城へ運ばれている。
だが、分離主義勢力のドロイドすべてが帝国地上軍の一部となったわけではない。ヤヴィンの戦いの19年後には残存分離主義勢力が結成され、エナークなどの降伏を拒否した一部の惑星では、新帝国との戦いにバトル・ドロイドが使用されていた。また、ジオノーシアンのガイザー・デルソーはヤヴィンの戦いの11年前にムスタファーでドロイド軍の一部を再起動し、その後の第501大隊による惑星への激しい襲撃を招いたのだった。
また、少数のドロイド・ユニットが様々な人々によって修理および再プログラムされ、使用されていた。たとえばヴァガーリは、エンドアの戦いの数年後に行われた<アウトバウンド・フライト>の残骸を破壊する企ての中で、ドロイディカを使用している。他にも多くの独立組織が何体かのドロイドを入手し、様々な状況でそれぞれの目的のために使用された。顕著な例は、後に有名なオレンジ・パンサックとなるB2スーパー・バトル・ドロイドである。ジャグアーダ・ムーンに残されていたこれらのドロイドは、密輸業者の一団に再起動され、現地の帝国軍駐留部隊を殺戮したのだった。また、タイバー・ザーンは銀河内乱の最中にドロイディカ・マークIIを使用していた。
一方で、停止させられなかったドロイドも存在していた。ジオノーシスのドロイドは、ジオノーシスの戦いの際にプロ・クーンとキ=アディ=ムンディによって発見されたように、起動および停止に司令船を必要としなった。そのためこれらのドロイドは停止を免れ、ジオノーシスに取り残されていたのである。そしてヤヴィンの戦いの3年後、銀河内乱の間にウェッジ・アンティリーズがジオノーシスに墜落し、この事実を発見した。そして反乱軍がこの惑星から退却した後、帝国軍のストームトルーパーが残存分離主義勢力の最後の拠点にあったドロイドを完全に破壊したのだった。これによって残存分離主義勢力は公式に壊滅したのである。
連合のその後と独立
残存分離主義勢力の壊滅後も一部のドロイドは停止を免れており、すべてが終わった後に独自の社会を築こうとしていた。アージッドではE4バロン・ドロイドの1個分隊が既存政府を打倒して入植地を支配した。また、生き残っていたAシリーズ・アサシン・ドロイドはキャッシークの自然に帰還を果たしている。さらには、多数のマンタ・ドロイド・サブファイターがモン・カラマリに入植し、原住するクオレンたちとの共生関係を築いたという事例も存在する。ユージャン・ヴォング大戦の間には、ジェダイ・クリン=ファ・ギとアルダー・ロシェットがウェイランドである種のドロイドと遭遇したが、その正体は停止を免れたドロイド・トライ=ファイターだと考えられている。